ロシア マリウポリ完全掌握見通し強まるも ウクライナ反撃強化

ロシア国防省は、ウクライナ東部の要衝マリウポリの製鉄所から大勢の兵士などが新たに投降したと発表し、これまでに投降したのは959人に上るなど、ロシアがマリウポリを完全掌握する見通しが強まっています。
これを受けてロシアは、東部2州全域の掌握に向けた攻勢を強めたい考えですが、ウクライナ側は、欧米の軍事支援を受けて反撃を一層強める構えです。

ウクライナ東部で激しい攻防が続いてきた要衝マリウポリについて、ロシア国防省は18日「アゾフスターリ製鉄所からウクライナ軍の兵士などが投降し続けている。この24時間で29人の負傷者を含む694人が投降した」と発表しました。

これで今月16日以降、ウクライナ側から投降したのは合わせて959人に上りました。

ウクライナ軍の参謀本部は17日、製鉄所にとどまっていた部隊は戦闘任務を終えたと明らかにしていて、ロシアがマリウポリを完全掌握する見通しが強まっています。

ロシアは、8年前に一方的に併合したウクライナ南部のクリミアにつながる陸の回廊の拠点としてマリウポリの完全掌握を目指していて、アメリカのシンクタンク「戦争研究所」は16日、「港を再開させ、ロシアからの航路を確立しようとしている」とロシアによる支配の既成事実化が進んでいると指摘しています。

一方、ウクライナのポドリャク大統領府顧問は17日、マリウポリでの戦闘について「ロシア軍をマリウポリに引き付けることで、東部と南部で占領作戦を行うロシア軍の動きを滞らせた」と述べ、ほかの地域でのロシア軍の作戦に影響を与えるなど効果があったと強調しました。

さらに、ウクライナのスミルノウ内務相顧問は17日、地元のテレビ番組に出演し、「敵は、6月終わりから7月のはじめにかけて私たちの反撃を強く感じることになるだろう」と述べました。

ロシアは、マリウポリでの戦闘の結果も踏まえて東部2州全域の掌握に向けた攻勢を強めたい考えですが、ウクライナ側は、欧米の軍事支援を受けて反撃を一層強める構えで双方の攻防はさらに激しくなるとみられます。