日中外相会談 “ウクライナ情勢で中国も責任ある役割を”

林外務大臣は、中国の王毅外相とオンライン形式で会談し、ウクライナ情勢をめぐり、ロシアの軍事侵攻は国際法の明確な違反だと非難したうえで、国際社会の平和と安全を維持するため、中国にも責任ある役割を果たすよう求めました。

会談は、去年11月の電話会談以来、半年ぶりで、冒頭、林外務大臣が、ウクライナ情勢などで国際社会は大きな挑戦に直面しているとして「建設的かつ安定的な日中関係」の構築に向け協力を呼びかけたのに対し、王毅外相は、両国の関係を強固にして発展させていきたいと応じました。

そして、林大臣は、ウクライナ情勢をめぐり、ロシアの軍事侵攻は国際法の明確な違反だと非難したうえで、国際社会の平和と安全を維持するため、中国にも責任ある役割を果たすよう求めました。

また、尖閣諸島を含めた東シナ海や南シナ海、それに香港や新疆ウイグル自治区などでの中国の行動に重ねて深刻な懸念を表明し、台湾海峡の平和と安定の重要性を強調しました。

さらに、林大臣は、新型コロナの感染拡大により上海で厳しい外出制限が続く中、日本人の安全確保や、日本企業の経済活動の保護などを適切に行うよう求めました。

一方、両外相は、ことしが日中国交正常化50周年であることを踏まえ、双方の努力で、国民の交流や経済の協力を後押ししていくことが重要だという認識で一致しました。

王毅外相 「日米協力 中国の発展損なうものであってはならない」

中国外務省によりますと、王毅外相は、林外務大臣との電話会談の中で「ことしは両国の国交正常化50周年であり、両国関係の歴史のうえで重要な節目だ。これを契機に、両国の国民がともに努力してつくりあげてきた友好を強化し発展させていくべきだ」と述べました。

そして、日中間でまとめられた政治文書の原則と精神の順守や、デジタル経済や気候変動などの分野での協力の強化を呼びかけました。

一方で、王外相は「日本側ではこのところ、台湾など中国の核心的利益や重大な関心事に対して否定的な動きが目立ち、一部の政治勢力がいわれなく中国を攻撃し、信頼関係を著しく損なっている」と述べ、日本側に中国への批判を強める動きがあると指摘しました。

また、アメリカのバイデン大統領が日本を訪問し、日米豪印4か国のクアッド首脳会合が開催される予定であることにも触れ「日米が連携して中国に対抗するという論調が勢いを増していることは警戒すべきだ。日米は同盟関係だが、中国と日本は、平和友好条約を締結している。日米の協力は、中国の主権や安全保障、発展の利益を損なうものであってはならない」と述べ、日米両国をけん制しました。