ロシア マリウポリ完全掌握の可能性も 支配地域大きく拡大せず

ロシアのウクライナ侵攻で激しい攻防が続いてきた東部の要衝マリウポリでは、製鉄所を拠点としていたウクライナの部隊が投降したとみられ、ロシア側がマリウポリを完全掌握する可能性が強まっています。
一方、東部全体では、ウクライナ側の反撃によってロシア側の支配地域は大きく拡大していないとみられ、戦闘のさらなる長期化が避けられない情勢です。

ウクライナ東部ドネツク州のマリウポリでは、ロシア軍が侵攻当初から激しい攻撃を続けたのに対し、ウクライナ側はアゾフスターリ製鉄所を拠点に徹底抗戦を続けていました。

こうした中、ウクライナ軍の参謀本部は17日、製鉄所にとどまっていた部隊は戦闘任務を終えたと明らかにしました。

また、ロシア国防省も17日「この24時間でウクライナ側の戦闘員や兵士265人が武器を捨てて投降し、このうち51人が重傷を負っていて治療のため病院に送られた」と発表しました。

ロイター通信は、投降したとみられる、疲れた表情の兵士たちを乗せたバスがマリウポリから北に80キロほど離れた、ドネツク州内の親ロシア派の支配地域に到着する様子を伝えています。

また、アメリカのシンクタンク「戦争研究所」は16日、ロシア側がマリウポリの港で沈没したウクライナの船を引き上げるなどの動きがあるとしたうえで「港を再開させ、ロシアからの航路を確立しようとしている。マリウポリをめぐる戦いは終わりを迎えつつあるのかもしれない」と、ロシア軍がマリウポリを完全掌握する可能性が強まったという見方を示しています。

一方、ドネツク州を含め、ロシア軍が支配地域の拡大を目指す東部2州全体については「ロシア軍は地上作戦の失敗が続き、16日に前進は確認されなかった」と指摘しています。

ウクライナのゼレンスキー大統領は、17日に公開した動画で「ロシア軍は、攻め込もうとしている地域で成功を収めることができていない」と述べ、欧米の軍事支援を受けながら徹底抗戦を続ける姿勢を強調し、戦闘のさらなる長期化は避けられない情勢です。