要衝マリウポリ ロシア側が完全掌握の可能性高まる

ロシアのウクライナ侵攻で当初から激しい攻防が続いてきた東部の要衝マリウポリで、ウクライナ軍は拠点の製鉄所にとどまっていた部隊の戦闘任務の終了を表明しました。ロシア国防省はウクライナ側の兵士などが投降したと明らかにし、ロシア側が製鉄所を制圧してマリウポリを完全掌握する可能性が強まったという見方が出ています。

ウクライナ東部の要衝マリウポリではロシア軍が侵攻当初から激しい攻撃を続けたのに対してウクライナの部隊が徹底抗戦し、先月プーチン大統領が作戦の成功を主張して以降はロシア軍がウクライナ側の拠点のアゾフスターリ製鉄所を包囲して部隊の投降を迫っていました。

ウクライナのゼレンスキー大統領は「兵士の中には重傷を負っている者もいる。英雄たちが生きることがウクライナにとって何よりも必要だということを強調したい」と述べ、ウクライナ軍の参謀本部は17日、製鉄所にとどまっていた部隊は戦闘任務を終えたと明らかにしました。

ロシア国防省は17日「この24時間でウクライナ側の戦闘員や兵士265人が武器を捨てて投降し、このうち51人が重傷を負っていて治療のため病院に送られた」と発表しました。

アメリカの有力紙ワシントン・ポストは「ウクライナの戦闘員は数週間にわたる製鉄所の防衛を終わらせた。マリウポリを失うことはウクライナにとって大きな後退となる」と伝えるなど、ロシアがマリウポリを完全掌握する可能性が強まったという見方が出ています。

マリウポリはロシアからウクライナ南部のクリミア半島へと続くアゾフ海沿岸部に位置する港湾都市で、ロシアは8年前に一方的に併合したクリミアとを結ぶ陸の回廊の確保などをねらってその掌握を重視してきたと分析されています。

ロシア側はマリウポリを掌握したあと、東部2州全域の掌握をねらってほかの戦線に集中するねらいだと見られますが、ウクライナ側の反撃でこのところ勢いを失っているという見方も出ています。

ウクライナ側は欧米の軍事支援を受けながら徹底抗戦を続けていて、戦闘のさらなる長期化が懸念されています。