ウクライナ マリウポリの製鉄所 “265人が投降” ロシア国防省

ウクライナ東部の要衝マリウポリで、ロシア軍が包囲しウクライナ側に投降を迫っていた製鉄所について、ウクライナ軍は戦闘任務を終了したと明らかにしました。
ロシア国防省は、ウクライナ側の兵士など265人が投降したと発表し、一部のロシアメディアは、ロシア軍が製鉄所をまもなく制圧するという見方を伝えています。

ウクライナではロシア軍が掌握を目指す東部で激しい攻防が続いていて、要衝のマリウポリのアゾフスターリ製鉄所では、ロシア軍が包囲し繰り返し投降を迫る中、ウクライナの部隊の抵抗が続いていました。

ウクライナ軍の参謀本部は日本時間の17日朝、製鉄所にとどまっていた部隊の戦闘任務を終了したと明らかにしました。
ウクライナのゼレンスキー大統領は16日動画を公開し、製鉄所について「マリウポリの兵士たちを救うための作戦が始まった」と明らかにしました。

そのうえで「兵士の中には重傷を負っている者もいる。英雄たちが生きることがウクライナにとって何よりも必要だということを強調したい」と述べ、兵士の避難を急ぐ考えを示しました。
またウクライナのマリャル国防次官は16日「53人の重傷者がアゾフスターリ製鉄所から医療施設に搬送され、211人が避難ルートを通じて移送された」と述べ、兵士の移送にあたってウクライナ軍が拘束したロシア軍の捕虜との交換が行われる可能性も示唆しました。

マリャル国防次官によりますと、重傷の兵士が搬送されたのは東部ドネツク州にある親ロシア派の武装勢力側の医療施設だということです。

一方ロシア国防省は17日「この24時間でウクライナ側の戦闘員や兵士、265人が武器を捨てて投降し、このうち51人が重傷を負っていて治療のため病院に送られた」などと発表しました。

製鉄所をめぐる状況について、ロシアの新聞「イズベスチヤ」は17日「ロシア軍が製鉄所を確実に包囲した後はウクライナ側の投降は時間の問題だとみられていた」としてロシア軍が製鉄所をまもなく制圧するという見方を伝えています。

またロシア国防省は、西部リビウ州の鉄道駅付近で、欧米側から供与され東部に輸送する準備中だったとする兵器を巡航ミサイルで破壊したとしたほか、北東部スムイ州や北部チェルニヒウ州でも訓練センターを攻撃し兵士たちを殺害したと発表するなど、北部や西部でも攻撃を続けていると強調しました。