ロシア “マリウポリの負傷兵 避難で合意” 発表も 攻撃続くか

ロシア軍がウクライナ東部でウクライナ軍との攻防を続ける中、ロシア国防省は、要衝のマリウポリでウクライナ側の負傷兵を製鉄所から避難させることで合意したと発表しました。

一方、マリウポリの市長がNHKのインタビューに応じ、製鉄所ではロシア軍による激しい攻撃が続いていると訴えました。

ウクライナでは、ロシア軍が掌握を目指す東部で激しい攻防が続いていて、ロシア国防省は16日、東部ドネツク州やルハンシク州そして、ハルキウ州で、ウクライナ軍の弾薬庫や指揮所などをミサイルで破壊したなどと発表しました。

これに対し、ウクライナ東部ではハルキウ州の知事が16日、地元メディアに「ウクライナ軍の部隊がロシアとの国境に到達し、領土を取り戻しつつある」と述べたほか、アメリカ国防総省の高官もウクライナ軍がハルキウの周辺に展開していたロシア軍の部隊をロシアとの国境近くまで押し返したとする分析を明らかにしました。

また、ウクライナ東部ではロシア軍とウクライナ軍との間で砲撃の応酬が続いていて、ロシア側が大きく支配地域を拡大することはできていないとの見方を示しました。

一方、東部の要衝マリウポリをめぐりロシア国防省は16日、ロシア軍が包囲しているアゾフスターリ製鉄所の中に取り残されているウクライナ軍の負傷兵を避難させるため、一時的に停戦することでウクライナ側と合意したと発表しました。

これに先立ち、ウクライナ側は製鉄所から負傷兵を避難させるよう要求していて、ロシア国防省は、今回の合意で負傷兵を東部ドネツク州にある親ロシア派の武装勢力側の医療施設に搬送する予定だとしています。

ボイチェンコ市長は16日、NHKのオンラインインタビューに応じ「マリウポリのおよそ9割がロシア軍に占領されていて、今も10万人以上の市民が取り残されている。市の近郊に避難した人に対してロシア軍は住宅の提供を持ちかけるなどして、市内に呼び戻そうとしている」と述べ、ロシア側が阻んでいるとして避難が進んでいない実態を明らかにしました。

また、アゾフスターリ製鉄所について市民が取り残されている可能性もあるとしたうえで、「製鉄所には空爆や海からの攻撃が続いている。ロシア軍の攻撃によって製鉄所で大きな火災が発生し燃え広がった。現代的な武器が使われたようだ」と述べ、ロシア軍による激しい攻撃が続けられているとしています。