韓国 ユン大統領 就任後初演説で北朝鮮にワクチンなど支援表明

韓国のユン・ソンニョル(尹錫悦)大統領は、就任後初めてとなる演説で、新型コロナウイルスの感染拡大が伝えられる北朝鮮について「必要な支援を惜しみなく行う」と述べ、ワクチンの提供など支援の用意があると表明しました。

ユン・ソンニョル大統領は16日、韓国の国会で、就任後初めて演説しました。

この中でユン大統領は、弾道ミサイルの発射を続ける北朝鮮に対して「形式的な平和ではなく、北の非核化プロセスと南北間の信頼構築が好循環で進む持続可能な平和を作らなければならない」と述べました。
そのうえで、北朝鮮で新型コロナウイルスの感染拡大が伝えられていることに関して、人道支援は政治や軍事的な状況に関係なく提供するとして「北が応じれば、ワクチンを含む医薬品や医療器具、要員など必要な支援を惜しみなく行う」と述べて、支援の用意があると改めて表明しました。

これを受けて韓国統一省の報道官は、北朝鮮に支援に関する実務者協議を提案する方針だと明らかにしました。

しかし北朝鮮は、保守のユン政権に対し国営メディアなどを通じて批判を繰り返していて、韓国側の提案に応じるかは不透明です。

“直面している危機と挑戦に協力を”国会多数派の野党に呼びかけ

ユン大統領は、就任後初めての国会演説で「われわれが直面している危機と挑戦に対しては、陣営や派閥を乗り越え、党を超えた協力がこれまでになく求められている」と述べて、野党に協力を呼びかけました。

そのうえで、新型コロナウイルスで打撃を受けた自営業者への支援金などを盛り込んだ補正予算案を早期に通過させるよう求めました。

韓国の国会は現在、保守系の与党「国民の力」が議席のおよそ4割、革新系野党「共に民主党」がおよそ6割と、野党が多数派となっていて、ユン大統領としては、各種政策の推進には野党の協力が欠かせません。

しかし「共に民主党」は、ユン大統領の一部の閣僚指名に強く反対していて、ユン政権は発足当初から国会対策で困難を強いられています。