【詳細】ロシア ウクライナに軍事侵攻(5月13日の動き)

ロシアによるウクライナに対する軍事侵攻が続いています。

ウクライナの各地でロシア軍とウクライナ軍が戦闘を続けていて、大勢の市民が国外へ避難しています。戦闘の状況や関係各国の外交などウクライナ情勢をめぐる13日(日本時間)の動きを随時更新でお伝えします。

(日本とウクライナ、ロシアのモスクワとは6時間の時差があります)

イギリス政府 プーチン大統領の元妻や親族らに新たな制裁

イギリス政府は13日、プーチン大統領の元妻や親族らに対して、資産凍結や渡航禁止などの制裁を新たに科したと発表しました。

新たに制裁が科されたのは、2014年にプーチン大統領と離婚した元妻のリュドミラ氏やプーチン大統領のいとこなど12人です。

欧米のメディアはプーチン大統領ら政権幹部が資産を隠すために、家族や親族などに資産を移していると伝えています。

今回の制裁について、イギリス政府は「公表されているプーチン大統領の資産は、ささやかなものだが、実際には家族や大統領とのつながりによって利益を得た選ばれたエリートたちのネットワークがプーチン大統領の生活を支えている」として意義を強調しています。

オデーサ副市長「ロシアが海上輸送妨害 農作物など輸出できず」

ウクライナ南部の港湾都市オデーサの副市長が13日、NHKのオンラインインタビューに応じ、ロシア軍によって海上輸送が妨害されているため、農作物などの輸出ができなくなっていると訴えました。

ウクライナ南部にある黒海沿岸の港湾都市オデーサ周辺では、占拠された沖合の島、ズミイヌイ島の奪還を目指すウクライナ軍とロシア軍の戦闘が続くなど攻防が激しさを増しています。

こうした中、オデーサのオレグ・ブリンダク副市長が13日、NHKのオンラインインタビューに応じ「当初ロシアはウクライナ東部と黒海、それにモルドバの沿ドニエストル地方の3方向から攻撃しようと試みていたが旗艦、『モスクワ』を沈没させるなど私たちはロシア軍の侵攻を防いでいる。オデーサではここ2か月、反撃の準備を進めてきた」と現在の状況を説明しました。

さらにブリンダク副市長は国内最大の港、オデーサ港の状況について、ロシアによって海上輸送が妨害されているためおよそ80隻の船舶が出港できない状態が続いていると訴えました。

そのうえでブリンダク副市長はウクライナからの穀物の輸出が滞っていることで、食糧不足の問題が世界的に懸念されていることについて「近年、ウクライナは農産物の輸出において役割が増していて、主にアフリカやアジア、それにヨーロッパ向けに輸出をしてきた。この状況が続けば、先進国で穀物価格が高騰するだけでなく、アフリカなどでは飢餓を引き起こす危険もあり世界的な問題だ」と述べ危機感をあらわにしました。

ロシア フィンランドとスウェーデンのNATO加盟を協議

ロシアでプーチン大統領や関係閣僚が出席する国家安全保障会議が13日、開かれました。

ロシア大統領府によりますと会議ではフィンランドとスウェーデンのNATO=北大西洋条約機構への加盟によって生じるロシアの安全保障への潜在的な脅威を議題に協議が行われたということです。

また、16日にモスクワで開催されるロシアが主導する軍事同盟、CSTO=集団安全保障条約機構の首脳会議についても意見が交わされたということです。

ロシアはフィンランドが新たにNATOへの加盟を速やかに求めるべきだとする立場を表明したことに反発を強めていて、会議でプーチン大統領は関係閣僚らと今後の対応について協議したものとみられます。

ドイツ ショルツ首相とロシア プーチン大統領 電話首脳会談

ドイツのショルツ首相とロシアのプーチン大統領が13日、電話による首脳会談を行いました。

ドイツ政府の報道官によりますと、会談は1時間15分に及び、ショルツ首相はプーチン大統領に対して一刻も早く停戦を実現し、外交による解決策を模索するよう促したということです。

また、ロシアによる軍事侵攻の結果、世界の食糧事情がとくに厳しい状況に陥っていて、その責任はロシアが負っていると指摘したとしています。

一方、ロシア大統領府によりますと会談はドイツ側の主導で行われたとしています。

プーチン大統領は、これまでの立場を繰り返したとみられ、停戦交渉についても「ウクライナ政府が実質的に止めている」として、交渉が進展しない責任をウクライナ側に転嫁しました。

G7外相会合 ウクライナ外相らも出席 軍事侵攻への対応など協議

ドイツで開かれているG7=主要7か国の外相会合は、13日から本格的な議論が始まり、加盟国の外相だけでなくウクライナのクレバ外相らも加わってロシアによる軍事侵攻への対応などについて、協議が行われています。

ドイツ北部のリゾート地バイセンハウスで12日から開かれているG7の外相会合は、13日午前、日本時間のきょう夕方から本格的な議論が始まりました。

これに先だって、イギリスのトラス外相は、「いまはウクライナへさらに武器を送り、制裁を強化してロシアへの圧力を強めることが非常に重要だ」と述べました。

また、EU=ヨーロッパ連合の外相にあたるボレル上級代表は、5億ユーロ、日本円にして670億円あまりの新たな軍事支援を行うと表明しました。

協議には林外務大臣、それにロシアの軍事侵攻を受けるウクライナのクレバ外相や、隣国、モルドバのポペスク外相も加わり、戦闘の状況や支援について話し合いました。

また、会合ではウクライナからの穀物の輸出が滞っていることで、懸念されている食糧不足の問題など、軍事侵攻の影響による世界的な課題への対応についても意見を交わすことになっています。

G7の外相会合は14日まで開かれ、海洋進出を強める中国や北朝鮮の核・ミサイル開発などについても議論が行われる予定です。

米シンクタンク分析 “ロシア軍 セベロドネツク周辺で攻勢激化”

アメリカのシンクタンク「戦争研究所」は12日、ロシア軍は、東部ハルキウ州のイジュームからの侵攻は失敗しているとする一方、東部ルハンシク州のセベロドネツクでは、周辺の町を掌握するなど部隊の進撃がみられ、今後数日間、この周辺で攻勢が激しくなるという分析を示しています。

ロシア軍は東部のドネツク州とルハンシク州の掌握を目指していて、この2州や攻撃の拠点となる地域でウクライナ軍との間で激しい攻防が続いています。

ウクライナからの避難者を招いて法要 長野 善光寺

長野市の善光寺で、ロシアの軍事侵攻が続くウクライナから長野県内に避難してきた9人を招いて法要が営まれ、犠牲者を追悼するとともに平和を祈願しました。

善光寺を訪れたのはウクライナから高森町に避難している女性や子どものあわせて9人や町の関係者などです。

一行はまず善光寺の関係者に案内されて、現在行われている御開帳の時に建てられる「回向柱」に触れていました。

そして、本堂へ移動して行われた法要で、ロシアの軍事侵攻による犠牲者を追悼するとともに、戦争のない平和な世界を祈願していました。

法要を終えてオレナさん(44)は「ウクライナを応援してくれている日本人に感謝しています。平和な世界になるように祈りました」と話していました。

また、アルチョムさん(13)は「父親が兵士で、現地では厳しい状況なので、無事を祈りました」と話していました。

ENEOSホールディングス ロシア産の石油の調達停止

ロシアによるウクライナへの軍事侵攻を受けて、石油元売り最大手のENEOSホールディングスの齊藤猛 社長は、13日の決算会見で、ロシア産の石油の調達を停止したことを明らかにしました。

齊藤社長は「ロシアの石油会社と交渉して調達はやめている」と述べ、ロシアによるウクライナ侵攻が始まったことし2月の時点でロシア産石油の調達を停止したことを明らかにしました。

会社では全体の輸入量の5%以下をロシアから輸入していましたが、風評リスクを考え決断したということです。先月中に最後の荷受けをして、今後は中東などから代わりに調達する方針です。

ロシア産の石油をめぐっては、ロシアから輸入量全体の4%を輸入していた出光興産も今後輸入しない方針を示しているほか、コスモエネルギーホールディングスは輸入しておらず、今後も輸入しない方針だとしています。

日本政府は今月9日、ロシア産の石油を原則禁輸する方針を表明しており、石油について「脱ロシア」が加速しています。

英国防省 戦況分析「ロシア軍 東部で攻勢強めようとしている」

イギリス国防省は13日、最新の戦況分析を公表し、ロシア軍はウクライナ東部にあるハルキウ州のイジュームやルハンシク州のセベロドネツクの近郊に兵力を集約していて、東部ドネツク州のスラビャンスクやクラマトルスクへの前進に向けた突破口を開こうとしていると指摘しています。

そして「この目的は、ウクライナ軍が西側にいる部隊から支援を受けられないように孤立させることだ」として、ウクライナ東部でロシア軍が攻勢を強めようとしているという見方を示しています。

一方、ウクライナ軍はセベロドネツクの西側を流れる川を渡ろうとしたロシア軍部隊の撃退に成功し、ロシア側に大きな損失が出たとしています。

これについてイギリス国防省は「戦闘が行われている状況では、川を渡る行為は大きなリスクが伴う。ロシア軍の司令官がウクライナ東部での作戦を進めるうえで重圧を感じていることを物語っている」として、ウクライナ東部でこう着する戦局を打開しようとロシア軍が焦りを募らせているのではないかと分析しています。

ゼレンスキー大統領 学校を標的としたロシア軍の攻撃を強く非難

ウクライナ北部のチェルニヒウ州で学校がロシア軍の攻撃を受けたことについて、ゼレンスキー大統領は12日に公開した動画のなかで「学校を攻撃して何を得られるというのだ。このような命令を下せるロシア軍の司令官たちは病的で救いようがない」と述べ、学校を標的としたロシア軍の攻撃を強く非難しました。
そのうえで「占領者が破壊した病院や学校、住宅や橋、そのすべてを必ず再建する。私たちの領土と国民を解放し安全を確かなものにするまで戦い続ける」と述べ、ロシア軍の攻撃に屈しない構えを示しました。

アゾフスターリ製鉄所の兵士の家族などが救出求めデモ行進

ウクライナ東部マリウポリのアゾフスターリ製鉄所でロシア軍と戦闘を続けているウクライナの兵士の家族などが12日、首都キーウで、兵士たちの救出を求めてデモ行進を行いました。

参加した兵士の妻や親類は「マリウポリを守る人たちを救え」などと声をあげながらキーウの通りを練り歩き、ウクライナ当局が入る建物の前に着くと、一刻も早い兵士たちの救出に向けあらゆる手段を講じるよう求めました。

参加した女性の1人は「製鉄所には薬がなく負傷した兵士たちは命を落とすしかない。治療すれば2、3週間で元気になれるのに、誰も彼らを助けようとしない」と訴えました。

ロシア軍兵士による市民銃撃や略奪とする映像 CNN

ウクライナの検察当局がロシア軍による戦争犯罪の捜査を進める中、アメリカのCNNテレビは、ロシア軍の兵士による市民の銃撃や略奪の現場を捉えたとする監視カメラの映像を伝えています。

CNNテレビが伝えたのは、首都キーウ近郊にある自動車販売店の監視カメラに記録されていた、ことし3月中旬の映像です。

映像には、▽道路を歩いていた店のオーナーと警備員だという2人が後ろから銃撃され、倒れ込む様子や、▽ロシア軍の兵士とみられる複数の人物が、店内で乾杯したり、物色したりする様子が記録されています。

CNNが、銃撃を受けた2人の家族に取材したところ、2人は死亡したということです。

CNNによりますと、ウクライナの検察当局もこの映像に記録されていることについて、ロシア軍による戦争犯罪の疑いで捜査を進めているということです。

ウクライナの検察当局によりますと、ロシア軍による戦争犯罪が疑われるケースは、今月12日の時点で1万1022件に上り、ロシア軍幹部や政治家など容疑者622人を特定したとしています。

独 大手電気メーカーのシーメンス ロシアでの事業から完全撤退へ

ドイツの大手電気メーカーのシーメンスは、12日、ロシアでの事業について、完全に撤退することを決めたと発表しました。

世界の鉄道市場で大きなシェアを持つシーメンスは、ウクライナへの軍事侵攻を受け、すでにロシアでの新規事業を停止していましたが、これまで行ってきた鉄道車両の整備などの事業は継続していました。

しかし、ロシアへの批判が高まる中、国際社会による制裁に歩調を合わせる形で、今後、ロシアでのすべての事業を順次縮小し、最終的には撤退するとしています。

シーメンスは、ロシアで170年近く事業を行ってきた歴史があり、現在もおよそ3000人の従業員がいるということで、声明で「ウクライナへの侵攻を非難すると同時に、従業員やウクライナの人々に人道的な支援を行っていく」としていて、撤退に当たり、ロシアの従業員への支援を行っていく方針も示しています。

米「フィンランドやスウェーデンのNATO加盟申請 支持する」

アメリカ・ホワイトハウスのサキ報道官は、12日の記者会見で「フィンランドやスウェーデンが加盟を申請するなら、アメリカは支持する。両国は、アメリカやNATOと価値観が近い防衛面での友好国だ」と述べました。

そのうえで、記者団から「NATOの拡大はロシアを刺激するリスクにつながらないか」と質問されたのに対し「NATOは防衛のための同盟で攻撃的な意図はない」と述べたうえで、フィンランドの加盟申請の動きはロシアの軍事侵攻がもたらした結果だと指摘しました。

ロシア政府系ガス会社 ドイツへの天然ガスを一部供給停止へ

ロシア最大の政府系ガス会社ガスプロムは12日、ドイツ向けの天然ガスのうち、ポーランドを経由するパイプラインでのガスの供給を停止すると明らかにしました。

ドイツは、ロシアによるウクライナへの軍事侵攻前の時点で、輸入するガスの半分以上をロシア産が占めていて、バルト海の海底を通る「ノルドストリーム」のほか、今回発表があったポーランド経由のパイプラインで供給されていました。

停止の理由について、ガスプロムは、ロシアによる制裁の対象の中に、このパイプラインの一部を所有する企業が含まれていたためだとしています。

一方、ドイツでエネルギー政策を担当するハーベック経済・気候保護相は、12日の記者会見で「ロシアからのガスは減っているが、補うことができる」と述べ、企業によるロシア産以外のガスの確保が進んでいると強調しました。

ドイツでは、天然ガスの調達の先行きが不透明になっているとして、ことし3月、政府がガスの供給状況をめぐり「早期警戒段階」を宣言していますが、ハーベック経済・気候保護相は、警戒のレベルを上げる考えはないと説明しました。

マリウポリ市長顧問「ロシアへの編入へ住民投票計画の情報」

マリウポリ市長の顧問、アンドリュシェンコ氏は12日、SNSで、「マリウポリのロシアへの編入に向けて住民投票を計画しているという情報がある」と明らかにしました。

そのうえで、詳しい内容は確認中だとしていますが、住民投票は、今月15日に予定されているという情報もあるとしています。

こうした動きについてアンドリュシェンコ氏は「マリウポリのロシアへの併合が加速しつつある」として強く反発しています。

軍事侵攻で死亡の子どもの数226人 被害を受けた教育施設1721か所

ロシアの軍事侵攻で死傷した子どもの数について、ウクライナの検察当局は、12日の時点で少なくとも▽226人が死亡し、▽417人がけがをしたと発表しました。

死亡、またはけがをした子どもが最も多いのは
▽東部ドネツク州で139人、次いで
▽首都があるキーウ州で116人
▽東部ハルキウ州で99人
▽北部チェルニヒウ州で68人などとなっています。

また、爆撃や砲撃による被害を受けた学校などの教育施設は1721か所にのぼり、このうち139か所は完全に破壊されたということです。

日本政府 ウクライナに食料品を提供 ポーランドで引き渡し式

ロシアによる軍事侵攻が続くウクライナ政府の要請を受け、日本政府は、パックごはんや缶詰などの食料品を提供することになり、隣国ポーランドで引き渡し式が行われました。

ポーランドの首都ワルシャワにある日本大使公邸で12日行われた引き渡し式には、日本側から農林水産省の武部新副大臣、ウクライナ側からはアンドリー・デシチーツァ駐ポーランド大使などが出席しました。

この中で武部副大臣は「日本は困難な生活環境に置かれているウクライナ国民への支援を惜しまない。ウクライナ国民の命と生活を支える一助になることを願っている」と述べました。
これに対しデシチーツァ大使は「今回の支援は単なる物品でなく、連帯の意思の表れだと思っている。ウクライナはこのことを忘れない」と述べ感謝の気持ちを伝えました。

今回送られる物資は、ウクライナ政府からすぐに食べることができる食料品を提供してほしいという要請があったことを受けて、在京のウクライナ大使館の職員が試食をして選んだということです。

このなかには、パックごはんやさば缶、缶詰に入ったパンなどの食料品およそ15トンのほか、寄付で集まった医薬品なども含まれています。

支援物資は今後、ウクライナや、避難民を受け入れているポーランドなどの周辺国に送られる予定だということです。

南東部ザポリージャ州でロシア軍による砲撃 少なくとも1人死亡か

ロイター通信は、ウクライナ南東部のザポリージャ州の町で11日、住宅や工場がロシア軍による砲撃を受け、地元当局の情報として、少なくとも1人が死亡し、3人がけがをしたと伝えました。

11日に撮影された映像には、金属関連の工場が攻撃を受けた際の様子が映っていて、建物からオレンジ色の炎が高く上がったあと、黒煙が立ち上る様子が確認できます。

ロシア大統領府 軍事同盟CSTOの首脳会議開催を発表

ロシア大統領府は12日、ロシアが主導する軍事同盟のCSTO=集団安全保障条約機構の首脳会議を16日に首都モスクワで開催すると発表しました。

ロシアのプーチン大統領やベラルーシのルカシェンコ大統領、それに中央アジアのカザフスタンのトカエフ大統領など、加盟する6か国すべての首脳が出席するとしています。

ウクライナへの軍事侵攻を受けてロシアとNATO=北大西洋条約機構の対立が深まるなか、12日には軍事的に中立な立場をとってきたフィンランドが新たにNATOへの加盟を速やかに求めるべきだとする立場を表明し、ロシアは反発を強めています。

プーチン大統領としては、CSTO加盟国の首脳をモスクワに招いて、みずからが主導する軍事同盟の結束をアピールし、NATOをけん制するねらいがあるとみられます。

北部チェルニヒウ州 学校がロシア軍の攻撃受け3人死亡

ウクライナの非常事態庁は、北部のチェルニヒウ州で12日未明、学校がロシア軍の攻撃を受け、3人が死亡、12人がけがをしたと明らかにしました。

亡くなった人の年齢などは分かっていません。

非常事態庁がフェイスブックに投稿した映像には、建物の大部分が崩れ落ちわずかな外壁しか残っていない様子が映っているほか、そばに止めてある車両が破壊されているのが確認できます。

“市民の死亡 少なくとも3541人” 国連人権高等弁務官事務所

国連人権高等弁務官事務所は、ロシアによる軍事侵攻が始まったことし2月24日から今月11日までに、ウクライナで少なくとも3541人の市民が死亡したと発表しました。

このうち239人は子どもだとしています。

地域別でみると、東部のドネツク州とルハンシク州で1897人、キーウ州や東部のハルキウ州、北部のチェルニヒウ州、南部のヘルソン州などで1644人の死亡が、それぞれ確認されているということです。

また、けがをした市民は3785人に上るとしています。

ただ国連人権高等弁務官事務所は、東部のマリウポリなど激しい攻撃を受けている地域での死傷者の数については、集計が遅れていたり、確認がまだ取れていなかったりして統計に含まれておらず、実際は大きく上回るという見方を示しています。

ウクライナから国外に避難 約602万人(11日時点)

UNHCR=国連難民高等弁務官事務所のまとめによりますと、ロシア軍の侵攻を受けてウクライナから国外に避難した人の数は、11日の時点でおよそ602万人にのぼっています。

主な避難先は▽ポーランドがおよそ327万人、▽ルーマニアがおよそ89万人、▽ハンガリーがおよそ58万人、▽モルドバがおよそ45万人などとなっています。

また、▽ロシアに避難した人はおよそ78万人となっています。

英 石油大手シェル ロシアでの一部事業の売却発表

イギリスの石油大手シェルは12日、ロシアで手がけてきた小売り事業をロシアの大手石油会社ルクオイルに売却することで合意したと発表しました。

合意には、ロシアの中部や北西部にあるガソリンスタンド411店舗のほかモスクワの北西にある潤滑油の製造工場が含まれるとしています。

金額は明らかにしていませんが、売却の手続きは、規制当局の承認を条件に、ことしの後半に完了する見通しだとしています。

シェルは、ロシアによるウクライナへの軍事侵攻を受けてロシアからの原油や天然ガスなどの調達を段階的に終了させ、事業から完全に撤退する方針を示していて、初めて、事業の一部の具体的な売却先が発表されたことになります。