大手商社の昨年度決算 7社すべて最高益 ロシア関連では損失も

大手商社の昨年度の決算は、資源価格の上昇を背景に7社すべてで最終的な利益が過去最高となりました。ただ、ウクライナへの軍事侵攻で経済制裁が科されているロシアに関連するビジネスでは、損失の計上などが相次ぎました。

大手商社7社が10日までに発表した昨年度の決算によりますと、グループ全体の最終的な利益は▽「三菱商事」が前の年度と比べて5.4倍の9375億円、▽「三井物産」が2.7倍の9147億円、▽「伊藤忠商事」が2倍の8202億円に上りました。

また、▽前の年度に赤字だった「住友商事」が一転して黒字となったほか、▽「丸紅」、▽「豊田通商」、▽「双日」も大幅な増益で、7社すべてが過去最高を更新しました。

これは、コロナ禍からの世界経済の回復やウクライナ情勢の緊迫化で、原油や石炭などの資源価格が上昇したことに加え、円安で利益が押し上げられたことが主な要因です。

ただ、欧米などから厳しい経済制裁が科されているロシアに関連するビジネスでは、▽石油や天然ガスの開発事業で、保有する株式などの資産価値を減額したり、▽航空機リース事業で損失を計上したりする商社が相次ぎました。

ロシア極東での石油と天然ガスの開発事業「サハリン2」に出資する三菱商事の中西勝也社長は、今後の対応について「エネルギーの安定供給の重要性や、日本の経済や社会への影響を総合的に勘案して適切に対応したい」と述べ、事業を続けていく考えを示しました。