マリウポリ 製鉄所“市民の避難完了” 避難さらに進むか不透明

ロシア軍が完全掌握をねらうウクライナ東部の要衝マリウポリで製鉄所に取り残されていた市民について、ウクライナとロシアの双方は7日、避難が完了したと明らかにしました。ウクライナ側はマリウポリからの避難をさらに進めたい考えですが、ロシアは戦勝記念日を前に攻勢を強めることも予想されます。

東部の要衝マリウポリでは、ロシア軍が包囲するアゾフスターリ製鉄所に取り残されていた市民を避難させるためとして、ロシア側が設けた一時的な戦闘停止の期限を日本時間の8日午前0時に迎えました。

これを受けて、ウクライナのベレシチュク副首相はSNSで、「アゾフスターリ製鉄所からすべての女性、子ども、高齢者を避難させた。この部分においての人道的活動は完了した」と発表しました。

また、ロシア国防省も声明を出し、「民間人を避難させる人道的な作戦は完了した」と明らかにしました。

ウクライナのゼレンスキー大統領は7日、新たに動画を公開し、女性や子どもなど300人以上が救助されたと述べたうえで、「私たちは避難の第2段階を準備している。負傷者や衛生兵が対象だ」などとして、兵士の避難も必要だと訴えました。

そのうえで、ゼレンスキー大統領は、「あす、私たちはマリウポリとその周辺のすべての住民のためにさらなる人道回廊を準備している」と述べ、マリウポリとその周辺の、より広い範囲で市民の避難を進めたい考えを示しました。

一方、ロシアは、第2次世界大戦で旧ソビエトがナチス・ドイツに勝利した9日の「戦勝記念日」を前に、マリウポリの完全掌握をねらい攻勢を強めることも予想され、市民の避難がさらに進むかは不透明な情勢です。

こうした中、G7=主要7か国の首脳は、日本時間の9日午前0時からオンラインの会合を開き、ウクライナ情勢について協議することになっています。

ゼレンスキー大統領も一部参加する予定で、ウクライナへの支援やロシアへのさらなる制裁などについて協議するとみられ、ロシアへの圧力強化に向けてどこまで一致した姿勢を打ち出せるかが焦点となります。