マリウポリ 製鉄所“市民の避難完了” ロシアは攻勢強めるか

ロシアによるウクライナへの軍事侵攻が続く中、東部の要衝マリウポリにある製鉄所に取り残されていた市民を避難させるため、一時的な戦闘停止の期限とされていた7日、ロシア側とウクライナ側は、ともに製鉄所からの市民の避難が完了したと明らかにしました。ロシアとしては、9日の「戦勝記念日」に向け、マリウポリの完全掌握を狙って一層攻勢を強めることも予想されます。

ロシア国防省は7日、ウクライナ東部のハルキウ州の鉄道駅近くにある武器などの集積場所を、短距離弾道ミサイル「イスカンデル」で攻撃し、破壊したと発表しました。

破壊した武器は、欧米側がウクライナに供与したものだとしています。

一方、ウクライナ国防省は、ツイッターで、南部オデーサ沖の黒海にある島でロシア軍の揚陸艇を破壊したと明らかにしました。

攻撃には、トルコ製の無人攻撃機「バイラクタルTB2」を使用したとしていて、公開された映像では、港に接岸しているように見える揚陸艇が攻撃を受けて爆発し、煙が上がる様子などが確認できます。
こうした中、東部の要衝マリウポリでは、ロシア軍が包囲するアゾフスターリ製鉄所に取り残されていた市民を避難させるためとして、ロシア側が一時的な戦闘停止の期限としていた7日、日本時間の8日午前0時を迎えました。

これを受けて、ウクライナのベレシチュク副首相は、SNSで「大統領の命令は実行された。アゾフスターリ製鉄所からすべての女性、子ども、高齢者を避難させた。この部分においての人道的活動は完了した」と発表しました。
続いてゼレンスキー大統領は新たな動画で「女性や子どもなど300人以上が救助された。アゾフスターリ製鉄所から民間人を避難させた」と述べました。

そのうえで「私たちはマリウポリとその周辺の住民のために人道回廊の継続を計画している」と述べ、ウクライナ政府として、マリウポリからの市民の避難をさらに進める考えを示しました。
また、ロシア国防省も声明を出し「民間人を避難させる人道的な作戦は完了した」と明らかにしました。

ロシアとしては、プーチン大統領が重視する、第2次世界大戦で旧ソビエトがナチス・ドイツに勝利した9日の「戦勝記念日」に向け、軍事侵攻の成果をアピールしようと、マリウポリの完全掌握を狙っているとみられています。
ウクライナ側は「ロシア軍が製鉄所への突入を行っている」と主張していて、ロシア軍が、徹底抗戦の構えのウクライナ側の部隊がとどまっている製鉄所を制圧するため、一層攻勢を強めることも予想されます。