【詳しく】ロシア ウクライナに軍事侵攻(5月7日の動き)

ロシアによるウクライナに対する軍事侵攻が続いています。

ウクライナの各地でロシア軍とウクライナ軍が戦闘を続けていて、大勢の市民が国外へ避難しています。戦闘の状況や関係各国の外交などウクライナ情勢をめぐる5月7日(日本時間)の動きを随時更新でお伝えします。

(日本とウクライナ、ロシアのモスクワとは6時間の時差があります)

ロシア「戦勝記念日」を前に 軍事パレードの予行演習

ロシアでは第2次世界大戦でナチス・ドイツに勝利したことを祝う「戦勝記念日」を前に、7日、首都モスクワで、軍事パレードの予行演習が行われ、ウクライナへの軍事侵攻に支持を訴える演出が披露されました。

プーチン大統領は、戦勝記念日のパレードで国内外にロシアの軍事力をアピールするとともに、1年で愛国心がもっとも高まるこの日に、ウクライナでの戦闘の長期化が指摘されるなか、式典でどのような演説を行うか注目されています。

英国防省 戦況分析 「ロシアの最新鋭の戦車 破壊された」

イギリス国防省は7日、ツイッターでウクライナの戦況分析を公表し、ロシア軍の最新鋭の戦車「T-90M」が戦闘中に少なくとも1台、破壊されたとしています。

また、この戦車以外にも、ロシア軍が最新の装備や兵器をウクライナでの戦闘で数多く失っていると指摘しています。ロシアへの制裁の一環として、軍事利用が可能な電子機器の輸出が制限されていることから、イギリス国防省は、ロシア軍が被害を受けた装備を元の水準まで回復するには、大きな困難がともなうと分析しています。

ロシア ウクライナ軍に抵抗したとする高齢女性の逸話を拡散

ロシアのプーチン政権は、今月9日の「戦勝記念日」に向けて愛国心の高まりを演出しようと、ウクライナ軍に抵抗したとする高齢女性の逸話を政権をあげて拡散するなどプロパガンダに利用しています。

ロシアでは4月、ウクライナの村で、旧ソビエトの国旗を手にした高齢女性がウクライナ軍とみられる兵士に近づき、国旗を踏みつけられたことに抗議しているとする動画が、SNS上で拡散しました。国営テレビは「ロシアによる解放を待っていた女性がウクライナ軍に勇気を示した」などと伝えましたが、女性の名前や女性が住む村など詳しいことには触れていません。

国連安保理 議長声明を採択 ロシア含め全会一致

ウクライナ情勢をめぐり国連の安全保障理事会は、ロシアによる軍事侵攻以降、初めて議長声明を採択し、平和的な解決策を探るグテーレス事務総長の努力を強く支持すると表明しました。グテーレス事務総長はロシアとウクライナを相次いで訪れるなど仲介外交を進めていて、今後、具体的な成果につながるかが焦点です。

ウクライナからポーランドへの避難者 3割ちかくが帰国か

4月24日までの2か月間に、ウクライナから隣国ポーランドに避難したおよそ294万人のうち、3割ちかくにあたるおよそ85万人が帰国していたことがポーランド当局への取材でわかりました。

米 ウクライナに1億5000万ドル相当の追加の軍事支援

アメリカのバイデン政権は6日、ロシアと戦闘を続けるウクライナに対し新たに1億5000万ドル、日本円にしておよそ195億円相当の追加の軍事支援を行うと発表しました。

▼りゅう弾砲の砲弾2万5000発のほか、▼移動式レーダーシステム、▼電波妨害装置などを供与するとしています。

国務省によりますと、アメリカによる軍事支援はことし2月下旬にロシアが軍事侵攻を開始して以降、合わせておよそ38億ドルに上るということです。

また国防総省のカービー報道官は6日の記者会見でアメリカが供与したりゅう弾砲について、6日までにウクライナ軍の兵士220人以上が訓練を終え、現在も150人以上が訓練を行っているほか、移動式レーダーシステムについても兵士15人が使い方の訓練を終えたと明らかにしました。

カービー報道官はウクライナ東部では、ロシア軍とウクライナ軍の間で激しい砲撃戦が起きているほか、制空権をめぐる攻防も続いているとしたうえで、戦況に応じて今後も支援を行っていく考えを強調しました。

ゼレンスキー大統領「すべての『橋』が壊されたわけではない」

ウクライナのゼレンスキー大統領は6日、イギリスの王立国際問題研究所のオンラインイベントに参加し「マリウポリは決して降伏しない。ただ、まちの建物は完全に破壊されてしまった」と述べました。

そして「唯一残されたアゾフスターリ製鉄所から市民をできるかぎり避難させている。もしロシア軍が市民やけが人などを殺害すればこれ以上の交渉を行うことはできない」と述べ、ロシア側をけん制しました。

そのうえで、停滞しているロシアとの停戦交渉については「最低でも侵攻前の2月23日の状況に戻し、兵士を撤退させることだ。通常なら、そうした状況で初めて交渉を始められるが、ロシア側にしてみれば撤退するためには何かを言う必要があるのだろう。まだすべての『橋』が壊されたわけではない」と述べ、双方にとって交渉の再開が必要だという考えを示しました。

ウクライナ副首相「製鉄所から50人避難」

ウクライナのベレシチュク副首相は6日、ロシア軍に包囲されている東部マリウポリのアゾフスターリ製鉄所からの市民の避難状況について「きょう、女性と子ども、それに高齢者合わせて50人を避難させ、あすの朝も避難活動を続ける。しかし、ロシア軍は停戦合意に常に違反していたため、避難に時間がかかった」とSNSに投稿し、ロシア軍が避難を妨害したと批判しました。

一方、ロシア国防省も6日、声明を発表し「アゾフスターリ製鉄所でウクライナの民族主義者が拘束していた民間人を避難させる作戦が実施された。11人の子どもを含む50人が救出された」と明らかにしました。

ハンガリー首相 “ロシアから石油輸入 年内禁止の制裁案に反対”

EU=ヨーロッパ連合が発表したロシアからの石油の輸入を年内に禁止する制裁案について、加盟国の1つ、ハンガリーの首相は「ハンガリー経済に核爆弾を落とすようなものだ」などと述べ、経済的影響の大きさから反対する姿勢を示しました。

ハンガリーのオルバン首相は6日、地元ラジオ局に出演し、石油の輸入量のおよそ65%をロシア産が占めるとして、ほかの産地のもので代替するには製油所の改修に巨額の費用が必要になると説明しました。

そのうえで、石油の価格も上昇するなどとして「EUの制裁案はハンガリー経済に核爆弾を落とすようなもので、受け入れることはできない」と述べ、反対する姿勢を示しました。

エネルギー面でロシアに大きく依存するハンガリーは石油などの制裁には当初から難色を示していて、ロイター通信は、EUが来年末までの猶予期間を検討しているとも伝えています。

しかし、オルバン首相は、ロシアへの依存から抜け出すには5年間は必要だと主張し「EUとの協力と対話に関心はあるが、それはわれわれの事情が考慮されてこそ、可能になる」と述べ、歩み寄りを求めました。

EUによる制裁の実行にはすべての加盟国の同意が必要ですが、同じようにロシアに依存するチェコやスロバキアも猶予期間を求めているとされ、調整は難航も予想されます。

アゾフ大隊「市民を避難させるための車 ロシア軍が攻撃」

ウクライナ東部の要衝マリウポリのアゾフスターリ製鉄所で今も数百人の市民が取り残されていると見られる中、製鉄所を拠点としているウクライナの「アゾフ大隊」は6日、SNSに「市民を避難させるための車をロシア軍が攻撃し、兵士1人が死亡し、6人がけがをした。ロシア軍はすべての合意を破り、避難する市民の安全を守っていない」と投稿しました。

アゾフスターリ製鉄所をめぐり、ロシア国防省は5日から7日までの3日間、一時的に戦闘を停止し、市民が避難するための「人道回廊」を設置すると発表しましたが、「アゾフ大隊」は破壊された車の写真やけがをした兵士と見られる動画を投稿し、ロシア軍が市民の避難を妨害していると批判しています。

ドイツ ウクライナへ りゅう弾砲7両供与へ

ドイツのランブレヒト国防相は6日、ウクライナへの軍事支援として、遠距離からの砲撃が可能な自走式のりゅう弾砲7両を供与すると明らかにしました。

ドイツ軍によりますと、りゅう弾砲の射程は30キロで、弾薬によっては40キロの距離からも届くということです。

これに合わせ、来週からドイツ国内でウクライナ軍の関係者に対し、りゅう弾砲を扱う訓練を始めるとしています。

ランブレヒト国防相は「残忍な侵略戦争に勇敢に立ち向かい、成功を収めているウクライナとの連帯を続ける」と述べ、ウクライナを支援する姿勢を強調しました。

ドイツは、ロシアによる軍事侵攻を受け、それまで慎重だった紛争地への武器の供与について方針を転換し、ウクライナへの対戦車兵器や携帯型の地対空ミサイル「スティンガー」などの供与を発表しました。

現地で市民の深刻な被害が明らかになってからは、より強力な兵器を送るべきだという声が議会などで上がり、4月下旬には「対空戦車」と呼ばれる自走式の対空砲の供与も発表しました。
(関連)国際部・野原。

イギリス国防省は7日、ツイッターでウクライナの戦況分析を公表し、ロシア軍の最新鋭の戦車「T-90M」が(てぃー・きゅうじゅう・えむ)戦闘中に少なくとも1台、破壊されたとしています。

また、この戦車以外にも、ロシア軍が最新の装備や兵器をウクライナでの戦闘で数多く失っていると指摘しています。

ロシアへの制裁の一環として、軍事利用が可能な電子機器の輸出が制限されていることから、イギリス国防省は、ロシア軍が被害を受けた装備を元の水準まで回復するには、大きな困難がともなうと分析しています。