【詳細】ロシア ウクライナに軍事侵攻(5月6日の動き)

ロシアによるウクライナに対する軍事侵攻が続いています。

ウクライナの各地でロシア軍とウクライナ軍が戦闘を続けていて、大勢の市民が国外へ避難しています。戦闘の状況や関係各国の外交などウクライナ情勢をめぐる5月6日(日本時間)の動きを随時更新でお伝えします。

(日本とウクライナ、ロシアのモスクワとは6時間の時差があります)

G7 8日オンライン首脳会議へ ゼレンスキー大統領も参加

G7=主要7か国のことしの議長国、ドイツ政府は、今月8日、オンラインの会合を開き、G7各国首脳とウクライナ情勢などについて協議すると発表しました。ウクライナのゼレンスキー大統領も一部参加するということで、ロシアへの圧力強化について話し合われるものと見られます。

ドイツ政府は6日、今月8日にショルツ首相がG7のオンライン会合を開き、ウクライナ情勢などについて協議することを発表しました。
会合にはゼレンスキー大統領も一部参加するということです。

G7を巡ってはアメリカのバイデン大統領が、今月4日、EU=ヨーロッパ連合がロシアからの石油の輸入を年内に禁止する追加の制裁方針を発表したことを受けて、近くG7各国とロシアへのさらなる制裁などについて対応を協議する考えを示していました。

会合の翌日となる9日は、ロシアが、第2次世界大戦で旧ソビエトがナチス・ドイツに勝利した「戦勝記念日」の大規模な式典を行うことになっていて、それを前にG7各国がロシアへの圧力強化に向けてどこまで一致した姿勢を打ち出せるかが焦点となります。

ウクライナから国外避難575万人

UNHCR=国連難民高等弁務官事務所のまとめによりますと、ロシア軍の侵攻を受けてウクライナから国外に避難した人の数は、5日の時点でおよそ575万人となっています。

主な避難先は、
▼ポーランドがおよそ314万人
▼ルーマニアがおよそ85万人
▼ハンガリーがおよそ55万人
▼モルドバがおよそ45万人などとなっています。
また
▼ロシアに避難した人はおよそ72万人となっています。

“沈没した「モスクワ」の位置情報 米が提供” 米主要メディア

アメリカの複数のメディアは5日、4月、沈没したロシア黒海艦隊の旗艦「モスクワ」に関する情報をアメリカがウクライナ側に提供していたと報じました。

4月14日に沈没した巡洋艦「モスクワ」について▼ウクライナ側は対艦ミサイルで攻撃したとしていますが▼ロシア国防省は火災によって艦内の弾薬が爆発して大破し、消火を試みたものの失敗したと発表していて、ウクライナ軍から攻撃を受けたかどうかは言及していません。

こうした中、アメリカの複数の主要メディアは5日、当局者の話として「モスクワ」への攻撃はウクライナ軍によって行われ、攻撃の前にアメリカがウクライナ側に「モスクワ」を特定するための機密情報を提供していたと報じました。

具体的には、アメリカが黒海を航行していた艦船についてウクライナ軍から照会を受けて「モスクワ」と特定し位置情報を提供したということです。

アメリカのメディアは、提供された情報が「モスクワ」に対する攻撃に不可欠だったとする一方で、ウクライナ側が「モスクワ」を標的にするかどうかについてアメリカは事前に把握していなかったと伝えています。

「少なくとも223人の子どもが死亡」ウクライナ検察当局

ロシアによるウクライナへの軍事侵攻で犠牲になる子どもが増え続けています。

ウクライナの検察当局は、5日の時点で少なくとも223人の子どもが死亡したと発表しました。また、少なくとも408人がけがをしたとしています。

死傷した子どもが最も多いのは東部ドネツク州で139人、次いで首都があるキーウ州で116人、東部ハルキウ州で95人、北部チェルニヒウ州で68人などとなっています。

また、爆撃や砲撃による被害を受けた学校などの教育施設は1607にのぼり、このうち121の施設は完全に破壊されたということです。

ロシア国防省 “日本海で新型対潜ミサイル発射演習”

ロシア国防省は、極東の太平洋艦隊のコルベット艦が日本海の海域で新型の対潜水艦システム「オトベト」のミサイル発射演習を行ったと6日、発表しました。また、ミサイルが艦上から発射される映像を公開し、ミサイルは水中にある標的に命中し、成功したとしています。

ロシアメディアによりますと、射程は最大で50キロメートル、最高速度はマッハ2.5で、水深800メートルまで到達するということで、コルベット艦やフリゲート艦などに搭載されるとしています。

ロシアによるウクライナへの軍事侵攻をめぐり各国との対立が深まる中、日本やアメリカをけん制するねらいがあるものと見られます。

「ロ軍 9日までに製鉄所を掌握しようとしている」

ウクライナ大統領府の顧問を務めるアレストビッチ氏は5日、メディアのインタビューに応じ「ロシア軍はプーチン大統領に“勝利”を提示するため、今月9日までにマリウポリのアゾフスターリ製鉄所を掌握しようとしている」という見方を示しました。

そのうえで「製鉄所の敷地内での戦闘が3日連続で続いていることからも、彼らの必死さがわかる」と述べ、第2次世界大戦で旧ソビエトがナチス・ドイツに勝利した今月9日の「戦勝記念日」に向けてロシア軍が戦果を急いでいると指摘しました。

ゼレンスキー大統領「製鉄所にまだ女性や大勢の子ども」

ウクライナのゼレンスキー大統領は5日、新たに動画を公開し、東部のマリウポリで国連やICRC=赤十字国際委員会の支援を受けて、5日も市民の救出活動が行われたことを明らかにしました。

そのうえで「今週、アゾフスターリ製鉄所から150人以上、マリウポリやその周辺から300人以上が人道回廊によって避難し、医療や財政的な援助など必要な支援を受けている」と述べました。

一方で「今も、ロシア軍はアゾフスターリ製鉄所への攻撃をやめていないが、まだ女性や大勢の子どもが残っており、助け出す必要がある。この地獄を想像してほしい。2か月以上も砲撃や爆撃、すぐそばで人々が亡くなる状況が続いている」と述べて、救出を急ぐ必要があると訴えました。

マリウポリで約500人の避難に成功 国連

国連のグテーレス事務総長は5日、安全保障理事会の会合で、ウクライナ東部マリウポリのアゾフスターリ製鉄所やその周辺の地域から、これまで2回にわたり、合わせておよそ500人を避難させることに成功したとしたうえで「避難に向けた3回目の活動が進行中だ」と明らかにしました。

また、人道問題担当のグリフィス事務次長は「けさ、マリウポリとアゾフスターリから市民を避難させるため、新たな活動を開始した」と述べました。

ただ、グテーレス事務総長は「避難を成功させるため、完了するまで詳細については話さない方針だ」と述べ、詳しい内容は明らかにしませんでした。

ウクライナ支援の国際会議で65億ドルの支援表明

ロシアによる軍事侵攻が続くウクライナの人たちを支援するための国際会議が隣国ポーランドで開かれ、参加各国や民間企業などから総額65億ドル、日本円でおよそ8500億円の支援が表明されたことが説明されました。

この国際会議は、スウェーデンとともに各国に開催を呼びかけたポーランドの首都ワルシャワで5日開かれ、EU=ヨーロッパ連合のフォンデアライエン委員長や、各国の代表が参加しました。

会議では、ウクライナのゼレンスキー大統領がオンラインで演説し「ウクライナの再建は第2次世界大戦後にヨーロッパの国々が再建されたときと同じように、われわれの時代と未来にとって歴史的な模範となるべきだ」と述べ、復興に向けた支援を訴えました。
そして、ポーランドのモラウィエツキ首相は、参加各国や民間企業から総額65億ドル、日本円でおよそ8500億円の支援が表明されたと明らかにしました。

集まった支援金は国内外に避難しているウクライナの人たちへの人道支援のほか、ロシア軍によって破壊された生活インフラの再建などに充てられるということです。

モルドバ “当面はロシアのエネルギーに頼らざるをえない”

国内で消費される天然ガスのすべてをロシアからの供給に頼っているモルドバの政府系ガス会社のトップが取材に応じ、ロシアがヨーロッパの一部の国へガスの供給を停止する中でも代替のエネルギーの確保が難しいため、当面はロシアのエネルギーに頼らざるをえないという認識を示しました。

モルドバの政府系ガス会社「モルドバガス」のバディム・チェバンCEOは5日、NHKのインタビューに応じました。モルドバでは、消費される天然ガスのすべてが、ウクライナを経由するロシアからのパイプラインで供給されています。

そうした中で、ロシア最大の政府系ガス会社、ガスプロムは先月、ポーランドとブルガリアへの天然ガスの供給を停止しましたが、チェバン氏は「モルドバで供給が停止されるのは支払いが滞るなど商業上の理由があった場合のみだ。政治上の判断による供給停止はない」と述べ、現状ではモルドバへのガス供給に影響はないという見方を示しました。

また「モルドバガス」は、株式の半数以上をガスプロムが保有していることから、ロシアの強い影響下にあるとされていますが、チェバン氏は「株式を保有するモルドバ政府には拒否権もある」と述べ、ロシアによる経営への影響はないと強調しました。

そのうえで「2年前まではウクライナからのパイプラインのみだったが、今はルーマニアやバルカン諸国とも結ばれている」と述べ、ロシア以外からの供給網の確保も進めていると説明しました。

一方で「ガスの消費は工業分野で多く、代替が難しい」と指摘し、当面はロシアのエネルギーに頼らざるをえないという認識を示しました。

ゼレンスキー大統領 クラウドファンディング開始と発表

ウクライナのゼレンスキー大統領は5日、ウクライナへの支援のために一般から広く寄付を募るクラウドファンディングを始めたと自身のSNS上で発表しました。

ゼレンスキー大統領はSNS上に投稿した動画の中で「ウクライナは自国の自由のためだけではなく、世界の民主主義国家の自由のために戦っている」と述べました。そのうえで「クリックだけでウクライナの防衛隊を守り、市民を救い、ウクライナを再建するための寄付ができる。ウクライナの勝利に対する貢献を私たちは忘れない」と寄付を呼びかけました。

寄付は、特設サイトからクレジットカードなどで行うようになっていて、▽防衛や地雷除去の支援、▽医療支援、▽復興支援の3つの分野から寄付する人が使いみちを選ぶ仕組みです。

寄付金は中央銀行から関係省庁に配分され、24時間ごとに用途などについての報告が公表されるということです。

ウクライナ公共放送 現地の状況を発信

ウクライナの公共放送は、動画投稿サイト、ユーチューブで現地の状況を国内外に英語で発信していて、5日、新たな動画を公開しました。

この中では、東部ルハンシク州で一日の間にロシア軍による砲撃が24回あり、市民5人が死亡したと伝え、破壊されたとみられる集合住宅などの建物の写真を公開しています。

また、東部ドネツク州では、5日、クラマトルスクの中心部が攻撃を受け、住宅や学校が破壊されて少なくとも25人の市民がけがをしたとしています。

そして、キーウ州ではロシア軍の地雷によって消防車が爆発し、3人がけがをして病院に運ばれたほか、トラックを運転していた35歳の男性が別の地雷の爆発で手や足にけがをしたということです。

さらに、北部のチェルニヒウ州で、自身が暮らす住宅が3月にロシア軍による攻撃を受けた際、外にあるトイレに行っていたために命拾いをしたという64歳の男性を取材しています。男性は1か月にわたって攻撃を免れたトイレの中で足を折り曲げた状態で寝泊まりし、その後、近くの施設に避難したということです。男性は「私はずっとトラック運転手をしていて、座席で小さくなって寝ることには慣れていた」と話しています。

「アゾフ大隊」副司令官「ロシア 停戦の約束守らず」

ウクライナの「アゾフ大隊」の副司令官は5日、テレグラムに投稿した動画で、東部マリウポリのアゾフスターリ製鉄所からの市民の避難について「ロシアが停戦の約束を守らず、市民に避難の機会を与えていない」と述べ、激しい戦闘が続き避難が思うように進んでいないと訴えました。

そのうえで「安全な避難を実現させるよう国際社会に訴える」と述べました。

さらに、この副司令官は「ゼレンスキー大統領に対し、けがをしてひどい痛みに苦しんでいる兵士たちを救出するよう訴えている。また、亡くなった兵士の遺体を収容する機会を与えてほしい」とも述べ、兵士たちの過酷な現状を訴えました。

ベラルーシ大統領 “長期化は想定外”

ロシアと同盟関係にあるベラルーシのルカシェンコ大統領は5日、AP通信のインタビューに応じ、ロシアによるウクライナ侵攻について「このように長引くとは思わなかった」と述べ、長期化は想定外だったという認識を示しました。

そしてプーチン大統領が核兵器の使用も辞さない構えを示したという見方が出ていることについてルカシェンコ大統領は「核兵器の使用は容認できない。なぜなら核兵器は私たちの近くにあり、アメリカのように海を隔てていないからだ」と述べました。

またベラルーシ軍が始めた軍事演習について「すべてのイベントは自国の領土で行っていて、誰も脅かさないし、脅かすつもりもない」と述べ、ウクライナ軍の部隊を北部にとどまらせ東部に展開できないようにするねらいだという見方を否定しました。

そのうえで、ロシアとウクライナの停戦に向けた交渉について「私たちはいかなる戦争も断固として受け入れない。私はロシアの立場を知っていて、ロシアがウクライナに何を提案しているかも知っているが、なぜウクライナはこの交渉に興味を示さないのか」と述べ、進展しないのはウクライナ側に非があると主張しました。

そしてルカシェンコ大統領は、プーチン大統領がNATOとの全面的な対立を望んでいない可能性が高く、アメリカのバイデン大統領の姿勢しだいで戦闘はすぐに終わるという持論を展開しました。

ヘルソン市長 支配の既成事実化進めるロシアを批判

ロシア軍が掌握したと主張するウクライナ南部の都市・ヘルソンの市長がNHKのインタビューに応じ、支配の既成事実化を進めるロシアを批判しました。

イーホル・コリハイエフ氏は、ロシアがヘルソンを掌握したと主張した先月、ロシア側によって一方的に市長を解任されました。

5日、NHKのオンラインインタビューに応じたコリハイエフ氏は「市外に避難することができず、私たちは人質状態だ。ウクライナのテレビも遮断されていて市民の心理的な疲労は限界を超えている」と述べ、ロシア軍の占領下で市民は精神的にも抑圧されていると訴えました。

ともに働いていた市の職員たちは解雇されずに自宅で待機するよう命じられていますが、ロシア側に加担しないよう辞職する職員が相次いでいるということです。

またロシア側が占領の正当化のため実施するのではないかと伝えられている住民投票について「いつ行われるのかは依然として明らかになっていない」としたうえで「市民は自由なウクライナに住みたいと願っているのは確かだ」と述べ、ロシア側が結果を操作するのではないかと強い懸念を示しました。

そのうえで「われわれはロシア軍を招いたことは一度もない。ロシア軍の行動は民主主義的とは言い難い」と述べ、支配の既成事実化を進めるロシアを批判しました。