【詳細】岸田首相会見

岸田総理大臣の記者会見の詳しい発言内容です。

各国歴訪「確かな成果を得た」

岸田総理大臣は記者会見で「国際社会が大きな歴史的な岐路に立つ中、東南アジア、ヨーロッパの合わせて6か国を『平和を守る』との目的で訪問し、確かな成果を得たと手応えを感じている」と述べました。

「ウクライナはあすの東アジアかもしれない」危機感を

岸田総理大臣は、ウクライナ情勢がインド太平洋地域に与える影響について「普遍的価値を共有する国々の協調がますます重要であり、同盟国や同志国と連携し、力による一方的な現状変更をインド太平洋、とりわけ東アジアで許してはならない」と指摘しました。

そして「『ウクライナはあすの東アジアかもしれない』という危機感を背景に、日本の対ロシア政策を転換し、G7=主要7か国と協調して制裁などきぜんとした対応を実行している」と述べました。

そのうえで「アメリカのバイデン大統領が日本を訪問した際、日米同盟をさらなる高みに引き上げる。また『自由で開かれたインド太平洋』の実現に向け、日米豪印4か国のクアッド首脳会合やASEAN=東南アジア諸国連合の首脳との対面外交を積極的に進めていく」と強調しました。

さらに「台湾海峡の平和と安定は、日本の安全保障はもとより国際社会の安定にとっても重要だ。台湾をめぐる問題が対話により平和的に解決されることを期待するというのが従来から一貫した立場であり、引き続き関心を持って注視していく」と述べました。

新型コロナ対策「徐々に社会経済活動を回復させていく」

今後の新型コロナ対策については、「引き続き平時への『移行期間』として最大限の警戒感を維持しながら徐々に社会経済活動を回復させていく。感染状況は大都市圏を中心に減少が続いているが、連休中の人出増もあり予断は許されない」と指摘しました。

そして、保健医療体制の維持・強化やワクチン接種を引き続き着実に進め、大型連休後の感染状況を見極めたうえで、来月にも専門家の見解も踏まえつつ、水際対策を含めた新型コロナ対策を段階的に見直していく考えを示しました。

物価高騰「日本経済に構造的な影響もたらす可能性」

原油価格や物価の高騰については、「喫緊の課題であると同時に日本経済に構造的な影響をもたらす可能性もある。中長期的視野を持ちつつ先手先手で対応し新型コロナからの回復を確かなものにするためにも『2段階のアプローチ』で万全の経済運営を行っていく」と強調しました。

そして「第1段階として、先般取りまとめた『総合緊急対策』を迅速に実行し、第2段階として夏の参議院選挙後には『新しい資本主義』のビジョンと実行計画、骨太の方針に基づく総合的な方策を具体化し、エネルギー分野を含め経済社会の構造変化を日本がリードしていきたい」と述べました。

TPP「アメリカの復帰が望ましい」

イギリスのTPP=環太平洋パートナーシップ協定への加入をめぐる協議については、「TPPはハイスタンダードでバランスの取れた新しい時代のルールを世界に広める意義があり、これからのインド太平洋地域の経済秩序にとって大変重要な役割を果たすものだ。貿易・投資分野でも戦略的にも重要なパートナーであるイギリスの加入は大きな意義がある」と述べました。

また「インド太平洋地域の国際秩序への関与という戦略的な観点から、唯一の同盟国であるアメリカがTPPに復帰することが望ましい」と述べ、今月下旬に予定されている日米首脳会談の機会などを通じ、アメリカのTPP復帰を働きかけていく考えを示しました。