日英首脳会談 “力による現状変更認めず” ロシアや中国念頭に

イギリスを訪れている岸田総理大臣は、ジョンソン首相と首脳会談を行い、ロシアや中国を念頭に、力による一方的な現状変更は世界のいかなる地域でも認められないという認識で一致しました。
また両国の安全保障協力を強化するため、自衛隊とイギリス軍が共同訓練などを円滑に進めるための協定の締結で大枠合意しました。

岸田総理大臣とジョンソン首相との首脳会談は、日本時間の5日午後7時半ごろからロンドンの首相官邸で2時間近く行われました。

この中で両首脳は、ロシアによるウクライナへの軍事侵攻は国際秩序全体の根幹を揺るがす事態だという認識で一致し、G7をはじめ国際社会が結束・連携して強力な制裁とウクライナ支援を継続していくことを確認しました。

また、岸田総理大臣の今回の東南アジア訪問を踏まえ、両首脳は、アジア・アフリカなどへの働きかけが重要だという認識で一致しました。

そして、ロシアによる軍事侵攻や、覇権主義的行動を強める中国を念頭に、ヨーロッパ・大西洋とインド太平洋の安全保障は不可分であり、力による一方的な現状変更は世界のいかなる地域でも認められないという認識で一致しました。

そのうえで「自由で開かれたインド太平洋」の実現に向け、両国で緊密に連携していくことを改めて確認しました。

会談では、両国の安全保障協力をさらに強化するため、自衛隊とイギリス軍が共同訓練を行う際などの対応を定める「日英円滑化協定」の締結で大枠合意し、今後、協定の早期署名に向け作業を加速させることを確認しました。

航空自衛隊の次期戦闘機のエンジン開発をめぐり、ことしの年末までに協力の全体像を合意することで一致しました。

また、経済安全保障やエネルギー安全保障の重要性を共有し、ウクライナ情勢で顕在化したリスクを踏まえ、日英両国やG7で連携を強化していく方針を確認しました。

さらに、イギリスのTPP=環太平洋パートナーシップ協定への加入をめぐって意見を交わしたほか、ジョンソン首相から、原発事故のあと続けてきた福島県産食品などの輸入規制措置について議会手続きが進めば、来月末までに撤廃する方針が伝えられました。

このほか、4日に北朝鮮が弾道ミサイルを発射したことを踏まえ、北朝鮮の核・ミサイルや拉致問題への対応に引き続き連携していくことを改めて確認しました。