ロシア「戦勝記念日」前に攻勢強める 欧米は追加制裁の構え

ウクライナへの侵攻を続けるロシア軍は、プーチン大統領が重視する今月9日の「戦勝記念日」を前に、マリウポリなど東部への攻勢を強めています。
これに対し欧米各国は、EU=ヨーロッパ連合がロシアからの石油の輸入を年内に禁止する方針を発表したのに続き、アメリカのバイデン大統領もG7の首脳とさらなる制裁について今週、協議することを明らかにしました。

ウクライナへの軍事侵攻を続けるロシアのショイグ国防相は、4日に開かれた国防省の会議で、東部ルハンシク州とドネツク州で支配地域を広げていると戦果を強調したうえで、要衝マリウポリについてはすでに掌握し、平和な市民生活が確立されていると主張しました。

プーチン大統領は、第2次世界大戦で旧ソビエトがナチス・ドイツに勝利した今月9日の「戦勝記念日」に向け軍事侵攻の成果を国民に印象づけたい思惑があるとされ、東部の支配地域を拡大しようとしているものと見られます。

ただ、アメリカ国防総省の高官は4日、ロシア軍はウクライナ側の激しい抵抗を受け、動きが非常に遅く、全体的に停滞しているという見方を示しました。
このうちマリウポリでは、ロシア軍が包囲するアゾフスターリ製鉄所に今も数百人の市民が取り残されていると見られますが、ウクライナの「アゾフ大隊」の司令官は4日、テレグラムに投稿した動画で「敵が製鉄所の敷地内に侵入してすでに2日目に入り、激しい、血みどろの戦闘が行われている」と述べました。

ウクライナのゼレンスキー大統領はビデオメッセージで、マリウポリと郊外から4日、344人が救出されたことを明らかにする一方、製鉄所などに残されている女性や子どもたちの救出に向け、交渉を続けているとしています。

こうした中、EUの執行機関、ヨーロッパ委員会は4日、ロシアに対する追加の制裁案を発表し、ロシアからの石油の輸入を年内に禁止することが盛り込まれました。

アメリカのバイデン大統領も4日、記者団に「われわれには追加の制裁をする用意が常にある」と述べ、G7の首脳とさらなる制裁について今週、協議することを明らかにしました。

ウクライナへの軍事支援を続けるとともに、ロシアに対する追加の経済制裁でも足並みをそろえ、圧力を強めたい構えです。