ウクライナ大統領「マリウポリの製鉄所からの避難 2日も予定」

ウクライナのゼレンスキー大統領は、ロシアによる軍事侵攻が続く中、東部の要衝マリウポリにある製鉄所からの市民の避難が、5月1日に続いて2日も行われる予定だと明らかにしました。
ただ、ウクライナ東部ではロシア軍が攻勢を強めていて、避難が2日連続で行われるかどうかは、引き続き予断を許しません。

ウクライナのゼレンスキー大統領は5月1日、動画をSNS上に投稿し、東部の要衝マリウポリにあるアゾフスターリ製鉄所から市民の避難が始まったことを明らかにしました。

製鉄所には、数百人の市民がとどまっているとされていて、このうちおよそ100人が第1陣として出発したということで、南東部のザポリージャでウクライナ側の担当者と合流することになっているとしています。

ゼレンスキー大統領は、「重要な回廊が初めて機能し始めている。すでに100人を超える市民が避難した。あすも避難が続けられるよう、すべての条件が整うことを期待する」と述べ、2日朝、日本時間の2日午後に第2陣の避難が行われる予定だと明らかにしました。

ロシア国防省も1日、「プーチン大統領の主導によって、ウクライナの民族主義者に拘束されていた女性や子どもを含む市民80人が、製鉄所の敷地内から解放された」と発表しました。

一方で、ロシア軍がウクライナ南部オデーサの軍事飛行場の滑走路をミサイルで破壊するとともに、ウクライナ東部のドネツク州やハルキウ州の軍事施設7か所も攻撃したとしています。

ドネツク州のキリレンコ知事は、州北部でロシア軍による攻撃があり、市民4人が死亡、11人がけがをしたと明らかにしたほか、ハルキウ州のシネグボフ知事も、住宅地がロシア軍の攻撃を受け、3人が死亡、8人がけがをしたとしていて、市民に対し避難所にとどまるよう呼びかけています。

マリウポリからの市民の避難をめぐっては、国連のグテーレス事務総長が4月26日にロシアのプーチン大統領と会談したあと、国連と赤十字国際委員会が避難に関与することで原則的に合意したと、国連が発表していました。

ただロシア軍は、東部や南部への攻勢を強めていて、アゾフスターリ製鉄所からの市民の避難が2日連続で行われるかどうかは、引き続き予断を許しません。

アゾフ大隊 “製鉄所から避難”の映像公開

ウクライナの東部マリウポリでロシア軍と抗戦を続ける「アゾフ大隊」は、5月1日、拠点としている製鉄所から市民が避難する様子だという映像を公開しました。

映像では、多くの人たちがはしごを伝って、地下から地上に出てくる様子や、製鉄所の敷地内とみられるがれきの中を歩く様子が撮影されています。

バスの中には生後6か月になったばかりだという赤ちゃんの姿もあり、一緒にいた女性は「2か月もの間、待っていました」と話していました。

また別の女性は、「大人は耐えることができていましたが、子どもたちはいつも食べ物を欲しがっていました」と、食料不足だった状況について話していました。

その後、映像では、人々が乗り込んだバスが荒廃した町の中を移動する様子や、国連やICRC=赤十字国際委員会のスタッフであることを示す服装をした人たちがバスから降りる人たちを出迎える様子も確認できます。