ウクライナ東部 ロシア軍の攻勢に抵抗続く 支配の既成事実化も

ウクライナ東部ではロシア軍が今月9日の「戦勝記念日」を前に戦果をあげようと攻勢を強めているのに対し、ウクライナ軍の抵抗が続いています。一方、南部ではロシア軍が掌握したと主張する一部の地域で1日からロシアの通貨ルーブルを導入するなど、支配の既成事実化を進める動きが加速しています。

ウクライナへの軍事侵攻を続けるロシア軍は、第2次世界大戦で旧ソビエトがナチス・ドイツに勝利した今月9日の戦勝記念日を前に、戦果をあげようと攻勢を強めています。

ロシア国防省は先月30日、空軍がウクライナの17の軍事施設をミサイルで攻撃し、このうち東部のドニプロペトロウシク州で指揮所やミサイルなどの保管施設を破壊したと発表しました。

東部の戦況についてアメリカやイギリスの国防当局は、ロシア軍がウクライナ側の抵抗に直面し、進軍に遅れが生じ、兵士の士気が低下するなど、苦戦が続いていると分析しています。

一方、ロシアの国営メディアによりますと、ロシアが掌握したと主張する南部ヘルソン州や南東部ザポリージャ州の都市メリトポリなどで1日からロシアの通貨ルーブルが導入され、支配の既成事実化を進める動きが加速しています。

またヘルソン州のノバ・カホウカにはロシア革命の指導者レーニンの像が再建されました。

ウクライナとロシアが一つの国を構成していた旧ソビエト時代を思い起こさせ、「ロシア化」を進めたいねらいがあるとみられます。

さらにロシアの独立系ネットメディアの「メドゥーザ」は、ヘルソン州で今月14日と15日に独立の賛否を問う住民投票が一方的に行われる可能性があると伝え、住民投票の結果を名目に将来のロシアへの併合を正当化する思惑を指摘しています。

一方、ウクライナと国境を接するポーランドの政府は陸軍が1日から1か月間にわたり、国内各地で軍事演習を行うと発表しています。

これをめぐって、プーチン大統領の側近の1人でSVR=対外情報庁のナルイシキン長官は先月28日声明を出し、ポーランドが「平和維持部隊」を名目にウクライナへ部隊を派遣しようとアメリカとともに計画しているという情報があると主張し、欧米側を批判しました。

ロシアは欧米によるウクライナへの軍事支援を繰り返し批判してきたことから、ポーランドの軍事演習にも警戒を強めているとみられ、欧米との対立が一層深まることも予想されます。