ロシア 東部2州掌握ねらい攻撃続く ウクライナの抵抗で苦戦か

ロシアのプーチン政権は旧ソビエトがナチス・ドイツに勝利した「戦勝記念日」に当たる5月9日に向けてウクライナ東部2州の完全掌握などをねらい攻撃を続けています。しかしウクライナ国内の親ロシア派が当日の戦勝パレードの実施を見送るなどの動きも伝えられていて、ウクライナ側の抵抗を前にロシア軍が苦戦を強いられている状況が表面化し始めています。

ロシア国防省は28日、ウクライナ各地の軍事施設をミサイルで攻撃したほか東部ハルキウ州やドネツク州、ルハンシク州、それに南部ヘルソン州でウクライナ軍の無人機を撃墜したとするなどロシア軍は東部や南部を中心に攻撃を続けています。

こうした中、インターファクス通信は28日、東部ドネツク州の親ロシア派の武装勢力の指導者が、旧ソビエトが第2次世界大戦でナチス・ドイツに勝利した「戦勝記念日」に当たる5月9日に予定されていた現地での戦勝パレードを実施しないことを明らかにしたと伝えました。

その理由として武装勢力の指導者はウクライナ軍の攻撃の脅威があることを挙げ「州全域を完全に掌握したあとにパレードを開催する」としているということで、来月9日までにドネツク州全域を掌握することは難しくなったという認識を示した形です。

またロシアの独立系ネットメディアの「メドゥーザ」は27日、クレムリンに近い複数の情報筋の話として
▽親ロシア派の武装勢力が一部地域を事実上支配する東部ドネツク州とルハンシク州や
▽ロシアが掌握したと主張する南部ヘルソン州で5月14日と15日にロシアへの編入や独立の賛否を問う住民投票が一方的に行われる可能性があると伝えています。

この住民投票の結果を名目にロシアは東部2州や南部ヘルソン州のロシアへの併合を正当化しようとする思惑があるとみられていますが「メドゥーザ」は住民投票は当初4月下旬に予定されていたもののロシア側の苦戦により数回延期され、今後もさらに遅れる可能性があると指摘しています。

プーチン大統領は来月9日の「戦勝記念日」に合わせて東部2州の完全掌握や南部での軍事侵攻の成果をロシア国民に印象づけようとしているとみられていますが、ロシア軍がウクライナ側の抵抗を前に苦戦を強いられている状況が表面化しつつあります。