知床 観光船遭難 “危険な運航やめるよう忠告も聞かず” 証言

北海道の知床半島の沖合で観光船が遭難した事故で、同じ小型の観光船を知床で運航する会社の社長がNHKの取材に応じ、事故を起こした運航会社についてふだんから危険な運航をやめるよう忠告しても聞かないときがあったとして、運航の安全管理に疑問を投げかけました。

取材に応じたのは、遭難した「KAZU 1」(19トン)と同じ小型の観光船を知床で2003年から運航している会社の菅原浩也社長です。

みずからも知床の海で5、6年ほど運航経験があるという菅原さんは、2005年に知床が世界自然遺産に登録された前後から、より接近してヒグマなどを観察できる小型観光船の人気が高まったとしています。

小型船は、遭難した「KAZU 1」を運航する「知床遊覧船」を含めて、知床の斜里町側では4社が同じ航路、料金で運航しているということです。

知床の小型観光船の航路について「サケやマスの定置網と岩場を避けながら陸地に近づいて運航することから操船が非常に難しく、経験が大事で、自分の会社では船長は4年くらいは見習いをさせ、少しずつ難しいコースを覚えさせて1人前に育てている」として、船長には高い技量が求められると指摘しました。

一方、「知床遊覧船」の運航体制について「ベテランの船員がいなくなり、素人集団で知床の海を知っている人がほぼいない。また、従業員の大半が辞めた際、『引き継ぎはまともにできなかった』と前の船長が話していた」と証言しました。

また、ふだんの「知床遊覧船」の運航判断について「天候を踏まえてほかの3社が出港を見合わせるなかでも運航したり、途中で折り返すことを申し合わせても知床岬まで向かったりすることが1シーズンで5、6回はあった」と指摘しました。

知床岬周辺での運航については、トラブルが起きた場合に助け合えるよう、各社で出航時間をずらし沖合で追いつくように調整していたとしたうえで「1隻単独で行くのは仮に天気がよかったとしても望ましくない」としています。

そのうえで「危険な運航をやめるよう忠告しても聞かないときがあった。このまま商売をやっていて大丈夫なのかなと思っていた」として、運航の安全管理に疑問を投げかけました。

今回の遭難事故については、「ものすごく悲しく震えるくらいで、『知床遊覧船』に対する怒りを感じている。コロナ禍で各社とも経営が厳しくなっているが、安全がいちばん大事で、何かあってからでは遅い。お客さんの命を預かる運航会社が利益に走ってはいけない」と話しています。