ロシア軍 戦力集中投入も ウクライナの抵抗で 戦況はこう着

侵攻を続けるロシア軍は、ウクライナ東部に戦力を集中的に投入し、2週間後の「戦勝記念日」に向けて、支配地域を広げるねらいとみられますが、ウクライナ側の抵抗を前に、戦況はこう着しているもようです。ウクライナ側は、アメリカが新たに表明した軍事支援などを受けて、激しく抵抗を続けるとみられ、ロシア側の苦戦も予想されます。

ロシア国防省は25日、ウクライナ東部ハルキウ州のウクライナ軍の拠点をミサイルで攻撃し、弾薬庫などを破壊したとしたほか、ハルキウ州や南部ヘルソン州の各地でウクライナ軍の無人機13機を撃墜したと発表するなど、東部や南部で攻撃を強化しています。

ロシア軍は、先週21日に東部の要衝マリウポリの掌握を宣言したあとは、東部2州の完全掌握に向けて地上部隊を集中的に投入しているとみられます。

戦況を分析しているイギリス国防省は25日「マリウポリの製鉄所を包囲すると決めたことで、多くのロシア軍の部隊がマリウポリ市内に足止めされ、再配備できなくなっている。ロシア軍は疲弊し、戦闘の効率が低下している」と指摘しています。

そして「ロシア軍が作戦の焦点を東部ドンバス地域の完全な占領に移して以来、補給面や戦闘の支援が十分ではなく、ロシアにとって大きな前進はない」としていて、ウクライナ側の抵抗を前に、ロシア側も損害を受けるなど、戦況はこう着しているもようです。

こうした中、アメリカのブリンケン国務長官とオースティン国防長官が24日、ウクライナの首都キーウを訪問し、ゼレンスキー大統領と会談しました。

会談後に会見した両閣僚によりますと、ウクライナや周辺国が武器を購入できるよう、合わせて7億1300万ドル、日本円で900億円余りを提供するなど、軍事支援をさらに強化する考えを説明したということです。

プーチン大統領は、2週間後の来月9日に迫った、旧ソビエトが第2次世界大戦でナチス・ドイツに勝利した「戦勝記念日」で、支配地域を広げたと国民向けに戦果を強調したいねらいとみられます。

ただウクライナ側は、アメリカが新たに表明した軍事支援などを受けて激しく抵抗を続けるとみられ、ロシア側の苦戦も予想されます。