
値上げラッシュ! 消費者物価を読み解くと…
あれもこれも、値上げラッシュの春。
3月の消費者物価指数は、原油価格の高騰などで2年2か月ぶりの高い伸びとなりました。
4月からの相次ぐ値上げ。ロシアのウクライナ侵攻で一段と上がった原油価格がこれから反映される電気代。
そして急速に進む円安によって日本の物価はどうなっていくのでしょうか。
データから詳しく読み解きます。
消費者物価 高い地域は?
まず、それぞれの地域の物価はどうなっているのでしょうか。

こちらは、総務省が公表している都道府県庁所在地ごとの3月の消費者物価指数をもとに、上昇幅が大きい地点を赤く、小さい地点を青く示した地図です。
そして、3月の生鮮食品を除いた指数を都市別にまとめてみると…
そして、3月の生鮮食品を除いた指数を都市別にまとめてみると…

原油価格の高騰でガソリンや電気代などのエネルギー価格は記録的な上昇が続いているため、暖房需要の多い寒冷地や車による移動でガソリン代を多く支出する地域で物価上昇が目立ち、全国の指数の0.8%を大きく上回っています。
実は各地ですでに…
一方、総務省は去年4月から携帯電話の割安プランの提供が始まり、全国では1.42ポイント程度、東京では1.08ポイント程度、指数を押し下げているとみています。
それでは携帯電話の料金プランを変えていない人の物価の実感はどうなっているのか。NHKは携帯電話料金の影響を除いた地図を独自に作成しました。
(東京は1.08ポイント、その他の地域は1.42ポイントをそれぞれ指数に足しました)。
それでは携帯電話の料金プランを変えていない人の物価の実感はどうなっているのか。NHKは携帯電話料金の影響を除いた地図を独自に作成しました。
(東京は1.08ポイント、その他の地域は1.42ポイントをそれぞれ指数に足しました)。

そうすると全国の多くの地域ですでに物価が大きく上昇していることがわかります。
原材料価格・電気料金の上昇に苦しむ豆腐店は

原材料価格などの上昇の影響は、ふだんの食卓に並ぶ豆腐や油揚げなどの加工品にも及んでいます。
東京・葛飾区で70年以上続く老舗の豆腐店では、国産の大豆を使った豆腐や油揚げ、がんもどきなどを店頭やインターネットで製造・販売しています。
東京・葛飾区で70年以上続く老舗の豆腐店では、国産の大豆を使った豆腐や油揚げ、がんもどきなどを店頭やインターネットで製造・販売しています。
国産大豆約1割高 容器も1割ほど値上がり

国産大豆の仕入れ価格は輸入大豆の価格上昇などの影響も受け、去年に比べ、30キロ当たり500円から1000円ほどと、およそ1割高くなっているということです。
また、商品の容器も原油高騰の影響を受け、3月、1割ほど値上がりしたということです。
このため店では4月1日、すべての商品を10円から20円値上げしたということです。
また、商品の容器も原油高騰の影響を受け、3月、1割ほど値上がりしたということです。
このため店では4月1日、すべての商品を10円から20円値上げしたということです。
米油の値上げ 電気料金の上昇で経営を圧迫

しかし、さらに追い打ちをかけるような連絡が届きました。
がんもどきや厚揚げを揚げる際に使う米油は、すでに4月、一斗缶=16.5キログラム当たりおよそ700円値上がりしていましたが、先週になって、さらにおよそ500円、5月値上げされると伝えられたということです。
そのうえ、豆腐や油揚げなどの製造工程、それに商品を保存する冷蔵庫まですべて電気でまかっており、電気料金の上昇も経営を圧迫しているということです。
家族3人で経営しているこの店では、さらなる商品の値上げは消費者が離れてしまうと考え、当面値上げはせず、自分たちの収入を減らして対応しようと考えています。
しかし、これまで店頭などに買いに来ていた飲食店は、新型コロナの影響で20前後から2店舗にまで減り、この店の去年の売り上げは3年前と比べ、4割近く減っているということです。
がんもどきや厚揚げを揚げる際に使う米油は、すでに4月、一斗缶=16.5キログラム当たりおよそ700円値上がりしていましたが、先週になって、さらにおよそ500円、5月値上げされると伝えられたということです。
そのうえ、豆腐や油揚げなどの製造工程、それに商品を保存する冷蔵庫まですべて電気でまかっており、電気料金の上昇も経営を圧迫しているということです。
家族3人で経営しているこの店では、さらなる商品の値上げは消費者が離れてしまうと考え、当面値上げはせず、自分たちの収入を減らして対応しようと考えています。
しかし、これまで店頭などに買いに来ていた飲食店は、新型コロナの影響で20前後から2店舗にまで減り、この店の去年の売り上げは3年前と比べ、4割近く減っているということです。

新井弘幸店長は「コロナ禍でも厳しいのに、値上げでさらにお客さんが離れてしまうと、経営的には難しくなります。原材料や油の価格の見通しが立たないので、今は様子を見ながら対策を考えていくしかない」と話していました。
それでも日本は低水準 世界で加速するインフレ

ただ、日本の物価上昇は海外の主要国と比べると、まだ低い水準です。
各国の3月の消費者物価指数は、去年の同じ月と比べて、アメリカで8.5%、ドイツで7.3%、イギリスで7%上昇していて、日本をはるかに上回っています。
新型コロナで低迷した需要が急激に回復したことや、それに伴う人手不足、ウクライナ侵攻をきっかけにした供給不安など、さまざまな要因が重なっていて、世界中で記録的なインフレに拍車がかかっています。
ただ、日本でも企業の間で取り引きされるモノの価格を示す企業物価指数の上昇率は、3月に9.5%と記録的な伸びとなっていて、今後、企業が商品価格への転嫁を進めれば、物価はさらに押し上げられることになります。
各国の3月の消費者物価指数は、去年の同じ月と比べて、アメリカで8.5%、ドイツで7.3%、イギリスで7%上昇していて、日本をはるかに上回っています。
新型コロナで低迷した需要が急激に回復したことや、それに伴う人手不足、ウクライナ侵攻をきっかけにした供給不安など、さまざまな要因が重なっていて、世界中で記録的なインフレに拍車がかかっています。
ただ、日本でも企業の間で取り引きされるモノの価格を示す企業物価指数の上昇率は、3月に9.5%と記録的な伸びとなっていて、今後、企業が商品価格への転嫁を進めれば、物価はさらに押し上げられることになります。
急速な円安も影響 家計負担は増す一方か
エネルギーや食料の多くを輸入に頼っている日本では、急速に進む円安も今後の物価に大きく影響します。
民間の信用調査会社、帝国データバンクが4月に実施した調査では、1年以内に値上げを予定している食品や飲料のメーカーは7割を超えました。
さらに、夏場の電気代は今の原油価格が反映されるため、冷房需要でエネルギー消費が増える時期に電気代がかさむことは避けられそうにありません。
物価上昇の家計への負担は今後も増える一方になりそうです。
民間の信用調査会社、帝国データバンクが4月に実施した調査では、1年以内に値上げを予定している食品や飲料のメーカーは7割を超えました。
さらに、夏場の電気代は今の原油価格が反映されるため、冷房需要でエネルギー消費が増える時期に電気代がかさむことは避けられそうにありません。
物価上昇の家計への負担は今後も増える一方になりそうです。