マリウポリ市長 “10万人以上の市民 避難を” 実現は不透明

ロシア軍に市内の大部分が掌握されたウクライナ東部のマリウポリの市長は取り残されている10万人以上の市民を避難させるよう訴えましたが、実現するかどうかは不透明です。東部でロシア軍がさらに攻勢を強める構えの中、アメリカはウクライナ軍の支援を急ごうと追加の軍事支援を発表しました。

ウクライナ東部の要衝、マリウポリは大部分がロシア軍に掌握されウクライナ側の部隊や多数の市民がとどまる製鉄所については、ロシアのプーチン大統領が攻撃は中止したうえで一帯の包囲を続けるよう指示しました。

こうした中、マリウポリのボイチェンコ市長は21日、メディアの取材に対し市内には10万人以上の市民が取り残されているとしたうえで「残っている人の命はウラジーミル・プーチンたった1人の手の中にあることを理解することが重要だ」と述べ、市民を避難させるよう訴えました。

一方でボイチェンコ市長は避難のためのバスなどをロシア側が繰り返し攻撃してきたと批判し、市民の避難が実現するかどうかは不透明です。

ロシア軍はウクライナ東部でさらに攻勢を強める構えで、アメリカ国防総省の高官は東部ではロシア軍とウクライナ軍との間で一進一退の攻防が続いているとの認識を示しつつも、ロシア軍の地上部隊が引き続き追加で投入され戦力の増強がはかられていると指摘しました。

バイデン大統領 8億ドルの追加軍事支援を発表

アメリカのバイデン大統領は21日「ロシアが戦争を次の段階に進めようとする中で今は極めて重要な時だ」と演説し、ウクライナ軍の支援を急ぐため、りゅう弾砲や無人機などを含む8億ドル、日本円にしておよそ1000億円の追加の軍事支援を行うと発表しました。

また、アメリカ国防総省は来週26日にドイツにあるアメリカ空軍の基地でNATO=北大西洋条約機構の加盟国など、関係国がウクライナへの安定した軍事支援の取り組みなどについて協議する会合をオースティン国防長官の主催で開くと発表し、欧米各国はウクライナへの支援を加速させています。

松野官房長官「人道危機 一層悪化を深く憂慮」

松野官房長官は閣議のあとの記者会見で「マリウポリをはじめとする各都市の惨状と人道危機の深刻さ、そして破壊のすさまじさに強い衝撃を受けている。マリウポリ制圧の宣言を契機としてロシアがさらなる侵略を行い人道危機が一層悪化することを深く憂慮している」と述べました。

そのうえで「ロシアによる非道かつ残虐な行為を最も強いことばで非難する。即時に攻撃を停止して部隊をロシア国内に撤収し、マリウポリをはじめロシア軍が侵攻している都市への人道支援や市民の退避を妨害しないよう強く求める」と述べました。