“低所得の子育て世帯への給付金”など 自民 政府の対策案了承

物価の上昇を踏まえた緊急対策をめぐり政府は自民党の会合で、石油元売り会社に対する補助金の拡充や低所得の子育て世帯に子ども1人当たり5万円の給付金を支給することなどを盛り込んだ案を示し了承されました。

ウクライナ情勢に伴う物価の上昇を踏まえた緊急対策をめぐっては21日、自民・公明両党の幹事長が今年度予算の予備費を活用するとともに、予備費の積み増しなどのため補正予算案を編成し、今の国会に提出するよう政府に求めることで合意しました。

これを受けて政府は22日朝に開かれた自民党の経済成長戦略本部の会合で、緊急対策の案を示しました。

この中では原油価格の高騰対策として
▽ガソリン1リットル当たり172円程度としている価格抑制の基準を168円に引き下げたうえで
▽石油元売り会社への補助金を拡充し補助額の上限を25円から35円に引き上げるとともに、さらに価格が高騰した場合でも超過分の2分の1を支援する制度を設けるとしています。

また生活困窮者への支援策として
▽低所得の子育て世帯に対し子ども1人当たり5万円の給付金を支給することや
▽地方自治体による支援を後押しするため「地方創生臨時交付金」を拡充することなどを盛り込んでいます。

これについて出席者からは党の要望がおおむね反映されていると評価する意見が相次ぎ対策案は了承されましたが、補正予算案を編成し今の国会で成立を図ることについては「ほかの法案の審議に影響が出かねない」などと懸念する声も出されました。

一方、公明党も22日午後、党の会合を開き、緊急対策の案について意見を交わしました。会合では異論は出ず、今後の対応を石井幹事長らに一任することを決めました。

自民 高市政調会長「実現に向けしっかり仕事したい」

自民党の高市政務調査会長は記者会見で「自民・公明両党がそれぞれ政府に提言した項目について、政務調査会長どうしで費用や緊急性などを議論してきた。一部の相違点については幹事長で議論し最後の詰めを行って合意に至ったので、合意内容を評価し実現に向けてしっかり仕事をしていきたい」と述べました。

また今年度の補正予算案が編成されることについて「補正予算案を編成するかは大きな政治判断であり、なぜ必要なのか岸田総理大臣や関係閣僚がしっかり答弁することが大事だ。内閣の姿勢や政策を国民に説明しアピールすることで、参議院選挙で引き続き国民の信任をもらえるという考え方もあるのではないか」と指摘しました。

立民 泉代表「予備費を充てるのは閣議決定違反ではないか」

立憲民主党の泉代表は記者会見で、緊急対策の財源に今年度予算の予備費を活用することについて「予備費は『緊急の経費などを除いて国会の開会中は使わない』というのが財政民主主義の大原則で、過去に閣議決定もされている。燃油の高騰はことし1月からわかっており、予備費を充てるのは閣議決定違反ではないかと指摘していく」と述べました。

維新 藤田幹事長「選挙のための人気取りでしかない」

日本維新の会の藤田幹事長は記者会見で、政府の緊急対策のうち生活困窮者への支援策について「誰が、どの程度困っているのかリアルタイムで把握できていないのにいろいろと対象を絞って現金を給付するなど政策目的があいまいで、何のためにやるのかよくわからない。選挙のための人気取りでしかなく全く評価できない」と述べました。