和歌山のIR計画白紙に 県議会が整備計画案を反対多数で否決

和歌山県が誘致を目指しているカジノを含む、IR=統合型リゾート施設の整備計画について、和歌山県議会は20日の本会議で、計画を国に申請するための県の議案を反対多数で否決しました。
これにより県は今月28日の期限までに国に計画の申請を行うことができなくなり、和歌山のIR計画は白紙に戻ることになりました。

和歌山県は和歌山市の人工島「和歌山マリーナシティ」にIRの誘致を進めていて、和歌山県議会は、県が提出した整備計画を国に申請するための議案について、先週から臨時議会を開いて審議を行ってきました。

19日の特別委員会での採決では「資金調達の計画が不確実だ」などといった指摘が相次ぎ、議案は委員会で否決されました。

これを受けて20日開かれた本会議で、無記名投票で採決が行われた結果、賛成18、反対22で、議案は否決されました。

これにより和歌山県は、今月28日の期限までに国に計画の申請を行うことができなくなり、和歌山のIR計画は白紙に戻ることになりました。

和歌山県 仁坂知事「痛恨の極みだ」

IRの議案が否決されたことについて和歌山県の仁坂知事は「痛恨の極みだ。和歌山の衰退を止めるために、IRを最大の起爆剤にしようと思っていたが、次の成長因子を失った状態になった。この計画に全力を尽くしてきたので、次のシナリオがあるわけではないが、別の手段で和歌山県の力を必死に高める責任があると考えている」と述べました。

県民からさまざまな意見

和歌山県議会がIRの議案を否決したことについて、県民からはさまざまな意見が聞かれました。

和歌山市の40代の女性は「否決でいいと思います。IRで治安が悪くなるといった反対意見が私の周りには多かったです」と話していました。

和歌山市の60代の男性は「否決は当然だ。もう一度白紙に戻して、和歌山という街がどうあるべきかしっかり議論してほしい」と話していました。

和歌山県海南市の60代の男性は「否決は残念です。企業が撤退していくなかで、IRによって雇用が生まれると思っていた。できればIRの議論を復活してほしい」と話していました。

和歌山県那智勝浦町の30代の男性は「IRができてもらったほうがよかった。個人商店などが潤うと思うし、経済で期待していた」と話していました。

和歌山県紀美野町の30代の男性は「経済面で大きな起爆剤として期待する一方で、治安への懸念で不安な気持ちもあったので、今回の否決で安心した面もあります」と話していました。

松野官房長官 “慎重に審査し計画認定”

松野官房長官は、記者会見で「国は、今後自治体から提出される計画の認定の可否を判断する立場にあり、個別の自治体の動向についてコメントすることは差し控えたい。日本型IRはカジノだけでなく国際会議場、展示場、大規模な宿泊施設を併設し家族で楽しめるエンターテインメント施設とする予定で、わが国が観光先進国となる上で重要な取り組みだ。認定の期限はIR整備法上、特段の定めはなく、慎重かつ十分な審査を行うことによりわが国のIRとしてふさわしい計画を認定していきたい」と述べました。

また松野官房長官は、ギャンブル依存症対策をめぐって「依存症対策の推進基本計画を策定し、全力で推進している。政府一体となって、依存症により不幸な状況に陥る人をなくし健全な社会を構築するために基本計画に基づき全力で取り組んでいきたい」と述べました。

横浜も撤回 誘致は大阪と長崎のみに

カジノを含むIR=統合型リゾート施設について、政府は2020年代後半の開業を見込んで国内に最大3か所整備する方針で、整備計画の申請を今月28日まで受け付けています。

これまでに大阪府と大阪市、和歌山県、それに長崎県が、誘致を目指して、施設を設置・運営する予定の事業者を選定し、整備計画づくりを本格化させてきました。

一方、横浜市は去年8月の選挙で当選した市長が翌月に誘致の撤回を表明しました。

今回、和歌山県が期限までに申請を行うことができなくなったため、誘致を目指す自治体は大阪府と大阪市、長崎県のみとなりました。