自民公明国民 トリガー凍結解除 検討継続で合意 見送りへ

原油価格の高騰対策をめぐり、自民・公明両党と国民民主党の3党は、当面、石油元売り会社への補助金を拡充する一方、いわゆる「トリガー条項」の凍結解除については、制度の見直しも含め、早期に結論が得られるよう引き続き検討することで合意し、事実上、見送られることになりました。

自民・公明両党と国民民主党の3党は、実務者による検討チームが、原油価格の高騰対策をめぐるこれまでの議論の結果を取りまとめたことを受けて、19日午後、幹事長が国会内で会談しました。

そして、当面は、石油元売り会社への補助金を拡充・継続すべきだとして、補助額の上限である25円を超える高騰にも対応できるようにすることや、ガソリン1リットル当たり172円程度としている現在の価格抑制の基準を、168円程度を念頭に引き下げるよう求めることを確認しました。

一方、公明党と国民民主党が求めているガソリン税の上乗せ部分の課税を停止する「トリガー条項」の凍結解除については、ガソリンスタンドの事務負担が増えるなどの課題の解決策が見いだせていないとして、制度の見直しも含め、早期に結論が得られるよう引き続き検討することで合意し、事実上、見送られることになりました。

また、19日の会談では、家族の介護などに追われる「ヤングケアラー」と呼ばれる子どもたちへの支援について、新たに検討チームを立ち上げることで一致し、3党の枠組みによる政策協議は、今後も継続する見通しです。

自民 茂木幹事長「諸課題を議論していきたい」

自民党の茂木幹事長は記者団に対し「『トリガー条項』の凍結解除については、早期に結論を得るよう引き続き協議するとなっている。原油価格やウクライナ情勢の動向を見極めるとともに、凍結解除に伴う諸課題をどう解決するのか、それぞれの党で議論していきたい」と述べました。

自民 加藤前官房長官「必要な措置を」

自民党の加藤前官房長官は、記者団に対し「基本的な考え方はまとめたので、具体的にどういった形にするのかは、これから政府で議論がなされる。実務者の間では、原油価格の高騰対策に当たり、きちんと予算を確保して欲しいということを明確にしており、必要な措置が講じられなければならない」と述べました。

公明 石井幹事長「3党合意は大きな実績」

公明党の石井幹事長は、記者団に対し「実務者に精力的に協議してもらい、トリガー条項そのものは引き続き検討するが、当面の対策として補助金の在り方について3党で合意できたことは大きな実績だ。今後はトリガー条項を含む課題を各党内で検討し、検討チームに持ち寄ることで合意したので、実務者と相談しながら進めたい」と述べました。

公明 伊藤政務調査会長代理「凍結解除を念頭に対策を」

公明党の伊藤政務調査会長代理は、記者団に対し「3党の幹事長に報告し『了』とされた。公明党としては、今後、トリガー条項の凍結解除を念頭に、真に実効性のある原油価格高騰対策について結論を得たい」と述べました。

そのうえで、石油元売り会社への補助金の拡充については「ガソリン1リットル当たり172円としている価格抑制の基準は、消費税率の引き上げを加味すると168円になる。この数字を踏まえて、政府に制度の拡充を判断してもらいたい。これにより、補助額の上限もおのずと幅が決まってくる」と述べました。

国民 榛葉幹事長「今回の結果は極めて評価したい」

国民民主党の榛葉幹事長は記者団に対し「トリガー条項については、議論すればするほど大きな問題があることが判明したが、与党側からは『この問題のトゲをとり、早期に解決する』と言っていただいたので、今回の結果は極めて評価したい。引き続き協議を行い、党内でも真摯(しんし)に議論を進めていく」と述べました。

立民 西村幹事長「自民党が政策実現の壁に」

立憲民主党の西村幹事長は、記者会見で「われわれもトリガー条項の凍結解除を提案しているが、3党協議で、公明党と国民民主党が求めていたにもかかわらず、自民党が拒否した形で、自民党が政策実現の壁になっていることが明らかになった」と批判しました。

そのうえで、「補助金の拡充など、3党の合意内容を実行するには莫大な予算が必要になる。岸田総理大臣が、物価の上昇を踏まえた緊急対策の指示を出して、すでに3週間がたつなかで、いまだに補正予算案を編成するかどうかの結論が出ていないことは、極めて危機感に乏しい」と述べました。