【詳細】ロシア ウクライナに軍事侵攻(18日の動き)

ロシアによるウクライナに対する軍事侵攻が続いています。
ウクライナの各地でロシア軍とウクライナ軍が戦闘を続けていて、大勢の市民が国外へ避難しています。戦闘の状況や関係各国の外交などウクライナ情勢をめぐる18日(日本時間)の動きです。
(日本とウクライナ、ロシアのモスクワとは6時間の時差があります)

マリウポリ市長の補佐役 “ロシアが市民の統制を強めている”

ロシア軍による激しい攻撃が続くウクライナ東部のマリウポリで市長の補佐役を務め、現在は、国内の別の都市に避難しているアンドリュシェンコ氏は16日、SNS上に投稿し、ロシア軍が18日からマリウポリへの人の出入りを禁止する方針だと明らかにしました。

また、17日に行った投稿では「ロシアの侵略者が市民に通行パスを発行している。パスがない場合は市内の移動も制限されることになる」としてロシア側がマリウポリで市民の行動を厳しく制限し、統制を強めていると批判しました。

ウクライナ西部リビウ州知事 “ミサイル攻撃で7人死亡”

ウクライナ西部のリビウ州のコジツキー知事は、日本時間の18日午後、リビウに4発のミサイル攻撃があったとSNSで明らかにしました。

このうち3発は軍事施設に対する攻撃で、自動車整備の施設も被害を受けたということです。

コジツキー知事はその後に開いた会見でこの攻撃で7人が死亡したことを明らかにしました。

また、リビウのサドビー市長によりますと、この攻撃で子ども1人を含む11人がけがをしたということです。

現地にいるNHKの取材班によりますと、リビウ市内では、日本時間の午後、防空警報が出ていたということです。

ロイター通信が配信した映像では、線路の近くにある自動車整備の施設は屋根が破壊され周辺にがれきが散乱しています。

施設では自動車のタイヤの交換などが行われていたとみられ、映像からは煙があがっている様子も確認できます。

プーチン大統領「欧米のロシアに対する経済戦略は失敗」

ロシアのプーチン大統領は18日、経済の関係閣僚らとオンライン形式で会議を開きました。

この中でプーチン大統領は「欧米諸国は新たな制裁を行い、ロシアの金融や経済状況を急速に弱体化させ、市場にパニックを引き起こすことなどをもくろんだ。しかし、こうしたロシアに対する電撃的な経済に関する戦略は失敗したと自信を持って言える」と述べたうえで、通貨ルーブルの価値が軍事侵攻前の水準に戻ってきているなどと欧米の圧力に屈しない姿勢を強調しました。

ロシア大統領府 報道官「停戦交渉 ウクライナに一貫性なく不満」

ロシア大統領府のペスコフ報道官は18日、ウクライナとの停戦交渉について、「交渉の枠組みの中で専門家レベルでの接触が続いている」と述べ対話の枠組みは維持されているという認識を示しました。

その一方、「『ウクライナ側には一貫性がなく、合意したはずの問題に関して頻繁に立場を変えている』としたプーチン大統領の発言を思い出してほしい。交渉の進展状況には非常にがっかりしている」と不満を表しました。

日本とスイスの首脳会談 対ロ制裁を継続する方針で一致

日本とスイスの首脳会談は総理大臣官邸で、18日夕方行われました。会談で両首脳は、ロシアによるウクライナへの軍事侵攻で多くの市民が犠牲になっているとして、ロシアの責任を厳しく問うとともに、一刻も早く侵攻をとめるためロシアに対する強力な制裁措置を継続していく方針で一致しました。また、岸田総理大臣は「ルールに基づく国際秩序が大きな挑戦にさらされている現下の情勢の中で『自由で開かれたインド太平洋』の実現に向けて同志国で連携を促進することが一層、重要だ」と述べ、スイスとの連携強化に期待を示しました。

ウクライナから国外に避難した人は493万人余りに UNHCR

UNHCR=国連難民高等弁務官事務所のまとめによりますと、ロシア軍の侵攻を受けてウクライナから国外に避難した人の数は、17日の時点で493万人余りとなっています。主な避難先は、ポーランドがおよそ278万人、ルーマニアがおよそ74万人、ハンガリーがおよそ46万人、モルドバがおよそ42万人などとなっています。また、ロシアに避難した人はおよそ52万人となっています。

“「人道回廊」2日連続で開けず” ウクライナ副首相

ウクライナのベレシチュク副首相は18日「人道回廊」と呼ばれる住民の避難ルートを2日連続で開くことができなかったとSNS上で明らかにしました。この中で副首相は「ロシア軍が東部などで攻撃とルートの封鎖を続けていて安全上の理由から避難ルートを開くことができない」とロシア側の攻撃が避難を妨げていると批判しました。

ゼレンスキー大統領「東部での攻撃 近い将来始まる」

ウクライナのゼレンスキー大統領は17日に動画を公開し、「ロシア軍は東部で攻撃の準備をしていて、近い将来始まるだろう。彼らはマリウポリを破壊しているように、ドネツク州とルハンシク州の都市やコミュニティーを壊滅させたいと考えている」と述べました。また、「ハルキウへの絶え間ない砲撃は続いている。この4日間だけでもハルキウでは18人が死亡し、106人がけがをした。これは一般の住宅地や民間人に対する攻撃で意図的なテロ行為にほかならない」と強く非難しました。

“16の施設をミサイル攻撃 弾薬庫など破壊” ロシア国防省

ロシア国防省は18日、東部ハルキウ州や南東部ザポリージャ州などで16の施設をミサイルで攻撃し、指揮所や弾薬庫などを破壊したとしたほか、ハルキウ州のイジューム近郊でウクライナ軍のミグ29戦闘機を撃墜したなどと発表しました。

「ロシア軍 マリウポリ掌握に時間かかることを懸念」英国防省

イギリス国防省は18日、ウクライナでの戦況分析を公表し「ロシア軍の司令官らはマリウポリを掌握するまでに時間がかかっていることを懸念している。ウクライナ側の抵抗はロシア軍のほかの地域での侵攻を遅らせている」として、ウクライナ側が激しく抵抗しているという見方を示しています。また「ロシア国防省は『都市への攻撃は行っていない』と主張しているにもかかわらずマリウポリの人口密集地が攻撃を受けている。これはチェチェン紛争やシリア内戦におけるロシアのアプローチと一致している」と指摘しています。

ウクライナから避難の女性 日本語学校に初登校 大阪

ウクライナへの支援を行う全国の日本語学校でつくるグループが生徒として受け入れたウクライナ人の女性が18日、大阪の学校に初めて登校し授業を受けました。
全国およそ40の日本語学校で作る「ウクライナ学生支援会」はウクライナからの避難者を無料で生徒として受け入れる支援を行っていて、これまでに8人を受け入れています。先週、大阪の学校に入学したウクライナ人のユリア・チェピジコさんが18日、初めて登校し、日本語の授業を受けました。チェピジコさんは午前8時半ごろ登校して校内の施設を案内されたあと、授業では「ドラマとアニメを見ることが好きです」などと日本語で自己紹介していました。

ハルキウ市長「完全に安全な場所がない」と避難呼びかけ

ロシア軍からの砲撃が続くウクライナの第2の都市ハルキウのイゴール・テレホフ市長は17日、SNSに投稿したビデオメッセージで「ハルキウには完全に安全な場所がないため私たちは人々をより危険の少ない場所に移動させている。そこでは住む場所、温かい食事、シャワー、医療支援を提供している」と述べ、市民の避難を支援している状況を説明しました。そのうえで「終わりのない砲撃の中で生活しているすべての人々に避難を呼びかける。ボランティアがそれを支援する」と述べ、市民に避難を呼びかけました。

東部ハルキウ州知事 “ロシア軍の砲撃で5人死亡 20人けが”

ウクライナ東部のハルキウ州の知事は州内にあるウクライナ第2の都市ハルキウの中心部などで17日、住宅地や病院などがロシア軍の砲撃を受け5人が死亡、20人がけがをしたことを明らかにしました。現地の映像では住宅から煙が立ちのぼり、消防隊員が駆けつけ消火活動が行われていました。地元の女性は「砲弾は私たちの家と近くにある病院を直撃した」と話していました。
また市内の幼稚園も砲撃を受け、窓ガラスが割れてガラスの破片が教室など広い範囲に散乱し職員が片づけ作業に追われていました。幼稚園の職員の女性は「4発の砲弾が飛んできて屋根が壊れ、ベッドが燃えた」と話していました。

マリウポリ ウクライナ側拠点の状況は

ウクライナ東部の要衝マリウポリでは侵攻を続けるロシア軍が街の完全掌握に向けて、製鉄所の敷地を拠点にするウクライナ側の部隊への攻勢を強めています。ロシア国防省は15日、ウクライナ側が拠点としていた別の工場を掌握したと発表していましたが、AP通信は17日、この工場や周辺の建物を撮影したとする映像を伝えました。映像では建物の一部が大きく壊れ、壁が崩れ落ちたり穴があいたりしているほか、壊れた戦車も残っていて激しい戦闘があったことがうかがえます。
また親ロシア派の武装勢力が敷地内にいる様子も撮影されていて、このうちの1人は戦闘にはロシアが一方的に併合したウクライナ南部のクリミアなどから兵力が投入されたとしたうえで「私たちは市民を守った」と主張していました。

ローマ・カトリック教会教皇 一刻も早い平和の実現訴える

ローマ・カトリック教会のフランシスコ教皇は17日、バチカンのサンピエトロ大聖堂でキリストの復活を祝うイースターのミサを執り行ったあとスピーチしました。この中でフランシスコ教皇は「残虐で無意味な戦争による暴力と破壊に苦しむウクライナに平和がもたらされますように」と述べたうえで各国の指導者に対して一刻も早い平和の実現を訴えました。また「戦闘によるウクライナの犠牲者、避難民、引き裂かれた家族、失われた生活や破壊された町のすべてを心にとどめています」として、ウクライナに思いをはせました。
新型コロナウイルスの感染拡大の影響で復活祭のミサやスピーチは去年とおととし出席者を限定して行われましたが、ことしは多くの信者の参加が許され、中にはウクライナの国旗を持った人の姿も見られました。

ウクライナ首相 “マリウポリまだ陥落していない 最後まで戦う”

ウクライナのシュミハリ首相は17日、アメリカのABCテレビに出演し、東部の要衝マリウポリについて「都市はまだ陥落していない。われわれの軍と兵士が今もそこにおり彼らは最後まで戦う」と述べて、現場の部隊はロシア軍による降伏の要求には屈せず戦い続けるとの見通しを示しました。
またマリウポリに残る市民の状況について「人道上の大惨事になっており包囲された都市で40日以上にわたって苦しんでいる。彼らは水や食料それに暖房も電気もない」と述べて、窮状を訴えました。さらにロシア側との停戦交渉についてシュミハリ首相は「ウクライナは可能なかぎり外交的な手段でこの戦争を止める用意をするつもりだが、ロシアが交渉を望まなければ最後まで戦う。われわれは降伏しないし、この国を離れない」と強調しました。

ウクライナ外相 “多くの市民殺害でロシア側との交渉難しく”

ウクライナのクレバ外相はアメリカのCBSテレビに出演し、首都キーウ近郊のブチャで多くの市民が殺害されているのが見つかったあとロシア側と交渉するのは難しくなったと指摘しました。そのうえでゼレンスキー大統領がロシア軍による攻撃でマリウポリの部隊に多数の死者が出た場合には停戦交渉の中止も辞さない考えを強調していることに関連して「マリウポリは越えてはならない一線になるかもしれない」と述べて、今後のロシア軍の出方が停戦交渉の行方を左右しそうだとの認識を示しました。

「絶対に降伏しない」 ウクライナ準軍事組織「アゾフ大隊」幹部

ウクライナ東部のマリウポリなどでロシア軍と戦闘を続けているウクライナの準軍事組織、アゾフ大隊の幹部がNHKのインタビューに応じ、降伏を迫るロシア側に対し「われわれには最新の武器があり効果的に戦うことができる。絶対に降伏しない」と述べ、徹底抗戦する構えを強調しました。
アゾフ大隊は2014年、ウクライナ東部の親ロシア派の武装勢力と戦うため義勇兵などで結成され、現在はウクライナの準軍事組織の精鋭部隊として東部の要衝マリウポリなどでロシア軍と激しく戦っています。このアゾフ大隊の司令官で首都キーウからマリウポリでの戦闘の指揮をとっているというマキシム・ゾリン氏が17日、NHKのオンラインインタビューに応じました。ゾリン氏はマリウポリの戦況について「ロシア軍は1万4000人以上の兵士を集結させマリウポリの50%以上を支配している。これに対しウクライナ側はアゾフ大隊と海兵隊など合わせて1000人程度が製鉄所を拠点に戦い、そのほかにも重要なインフラを守っている。ロシア軍部隊は30分に1回攻撃を仕掛け、1時間に1回空爆を行い、2、3時間に1回、海上の艦艇からミサイルを撃ち込んでくる。こうした状況が1か月以上続いている」と述べ、圧倒的に数的不利な状況での戦いを強いられていると説明しました。そしてロシア側がマリウポリの防衛に当たっている部隊に武装を解除し降伏するよう迫っていることについて「われわれは数の上では劣るが最新の武器があり、効果的に戦うことができる。アゾフ大隊は戦い続け絶対に降伏しない」と徹底抗戦する構えを強調し、支援のためキーウ近郊に配置していた部隊をマリウポリに向かわせていることを明らかにしました。

ロシアと同盟のベラルーシ “ウクライナ支援の志願兵増加”

ロシア軍と戦うウクライナの部隊と連携するためベラルーシから少なくともおよそ500人の志願兵が現地に赴き、戦闘に参加していることがNHKの取材で分かりました。ベラルーシは政権としては同盟国ロシアと連携を深めていますが、一部の市民の間ではロシアへの反発からウクライナを支援する動きが出始めています。
ウクライナの精鋭部隊アゾフ大隊は東部で攻勢を強めるロシア軍と戦闘を続けています。アゾフ大隊と連携する組織がポーランドの首都ワルシャワにあり、その代表パベル・クフタ氏(24)がNHKの取材に応じました。クフタ氏によりますと、ウクライナに軍事侵攻を続けるロシアへの反発からウクライナを支援したいというベラルーシ人の志願兵が増えているということです。クフタ氏はこうした人たちとSNSで連絡を取り、ポーランドで訓練を行ったうえでウクライナに送っていて、これまでに少なくともおよそ500人がベラルーシ人部隊としてアゾフ大隊と連携し戦っているということです。