ウクライナ大統領府顧問 徹底抗戦続ける構えを強調

ロシアによるウクライナへの軍事侵攻が続く中、ウクライナのポドリャク大統領府顧問は、東部で今後、大規模な戦闘に発展する可能性があるという認識を示したうえで、徹底抗戦を続ける構えを強調しました。
ロシア軍が東部での攻勢を強める中、市民の犠牲がさらに増えることが懸念されています。

ロシア国防省は10日、東部のハルキウ近郊などでミサイル攻撃を行い、ウクライナ軍の地対空ミサイルシステムを破壊したなどと主張し、東部での攻勢を強めています。

人工衛星を運用するアメリカの企業「マクサー・テクノロジーズ」は、ハルキウから東に80キロほど離れた、ロシア軍が掌握しているとみられる地域で8日に撮影した衛星画像を公開し、この中では装甲車やトラックなどの大規模な車列が南へ向かって移動している様子が写っています。

こうした中、ロシアとの停戦交渉に当たるウクライナ代表団のポドリャク大統領府顧問は9日夜、国内のテレビ番組に出演し「大規模な戦闘のための準備はできている。東部ドンバス地域などで戦闘に勝たなくてはならず、そうなってから実質的な交渉の立場を得ることができる」と述べ、徹底抗戦を続ける構えを強調しました。

そのうえで「大統領どうしは、そのあとに会談を行うだろう。実現には2週間かかるかもしれないし、3週間かかるかもしれない」と述べ、東部での戦闘は長引く可能性があるという認識を示しました。
イギリスの公共放送BBCなどは9日、関係筋の話として、ロシア軍の南部軍管区のトップ、ドボルニコフ司令官がウクライナでの軍事侵攻の指揮を執ることになったと報じました。

ロシア軍が首都キーウから撤退する一方、東部での大規模な戦闘に向けて態勢を立て直すために任命されたとみられますが、ドボルニコフ司令官はプーチン政権が2015年に軍事介入し、多くの市民が犠牲になったシリアの内戦で現地の指揮を執ったことで知られていて、市民の犠牲がさらに増えることも懸念されています。