アメリカ 新たな制裁発表 “ロシアへの新規投資禁止”

アメリカのホワイトハウスは、ウクライナの首都近郊で多くの市民が殺害されているのが見つかったことなどを受けて、ロシアに対する新たな制裁を発表し、ロシア最大の金融機関とのすべての取り引きを禁止するとともに、ロシアへの新規の投資を禁じました。

アメリカのホワイトハウスは6日、ロシアに対する新たな制裁を発表しました。

新たな制裁はロシア最大の金融機関「ズベルバンク」や、国内4位で民間最大の金融機関である「アルファバンク」について、アメリカの国民や企業とのすべての取り引きを禁止するとしています。

アメリカはこれまでにもほかの主要な金融機関に制裁を科していることから、今回の制裁によってロシアの銀行部門の3分の2以上との取り引きが禁止されることになるということです。

さらにロシアを世界経済から一段と孤立させるためとして、アメリカ人によるロシアへの新規の投資を大統領令を出して禁止するとしています。

また
▽プーチン大統領の成人した娘2人や
▽メドベージェフ前大統領
それに
▽ラブロフ外相の妻や娘などについて
アメリカ国内の資産を凍結するとしています。

バイデン大統領は6日「ウクライナで起きていること以上の犯罪はない。アメリカはプーチンに対し、これからも代償を払わせ続ける」と述べ、プーチン大統領を改めて強く非難しました。

バイデン政権は日本を含むG7=主要7か国やEU=ヨーロッパ連合と連携を取りながら、さらにロシアへの制裁を強化していく方針です。

プーチン大統領の2人の娘 制裁対象としたねらいは

アメリカのバイデン政権が6日に発表した制裁対象には、プーチン大統領の2人の娘、カテリーナ・チホノワ氏とマリヤ・ボロンツォワ氏が含まれています。

2人の娘を制裁対象としたねらいについて、バイデン政権の高官は「プーチン大統領とその多くの取り巻きたちが家族のもとに財産を隠していると、信じるだけの根拠がある」と述べ、制裁の抜け穴を塞ぎ実効性を高めることにあると強調しました。

このうち、次女のカテリーナ・チホノワ氏はサンクトペテルブルク大学で東洋学を専攻し、日本語を勉強したことでも知られています。リズミカルな音楽に合わせて、ダンスの動きや体操の技を披露する「アクロバット・ロックンロール」と呼ばれるスポーツにも取り組み、2013年の世界選手権では5位に入賞しました。

地元メディアなどによりますと、現在はモスクワ大学の数理学系の研究所の副所長のほか、研究支援などを行う財団のトップを務めているということです。

この財団と深いつながりがあるとされるのが「イノプラクティカ」という組織で、その理事会のメンバーには、ロシア最大の石油会社「ロスネフチ」のセーチン社長や、最大の政府系ガス会社「ガスプロム」のミレルCEO、さらに国営軍事企業「ロステク」のチェメゾフCEOなど「オリガルヒ」と呼ばれる富豪たちが名を連ねています。

一方、長女のマリヤ・ボロンツォワ氏は、遺伝子工学の発展計画に関する政府の評議会の役員のほか、保健省の研究機関の主席研究員を務めているということです。

制裁対象のズベルバンクとは

ズベルバンクは、ロシア国内最大の資産を有する政府系銀行です。

会社のホームページによりますと、1841年に帝政ロシア時代の皇帝ニコライ1世が設立を命じた貯蓄銀行が前身で、ロシア全土に1万3000余りの支店を展開しています。

個人の顧客数は、2019年の時点でおよそ9600万人、去年の純利益は11月までの時点でおよそ1兆4000億ルーブル、日本円にして2兆1000億円余り、自己資本比率は23.7%だということです。

イギリス政府も追加制裁を発表

イギリス政府も6日、アメリカに歩調を合わせる形でロシアに対する追加制裁を発表しました。

▽ロシア最大の金融機関「ズベルバンク」の資産を凍結するほか
▽ロシアへの新規投資を禁止するなどとしています。

おととしのイギリスのロシアに対する投資額は110億ポンド余り、日本円でおよそ1兆7000億円で、新たな措置はロシア経済に大きな打撃を与えるとしています。

松野官房長官「国際社会と連携し適切に対応」

松野官房長官は、午前の記者会見で「わが国は、一刻も早くロシアが国際社会の声に耳を傾け、侵略をとめるよう、G7=主要7か国の各国や国際社会とともにロシアに対して強力な制裁措置をとっていくことが必要と考え、迅速に厳しい措置を打ち出している。追加の制裁措置については現時点で予断することは差し控えたいが、引き続きG7をはじめとする国際社会と連携して適切に対応していく」と述べました。