国連安保理の会合始まる ゼレンスキー大統領演説へ

ウクライナの首都近郊の町で多くの市民の遺体が見つかり、ロシアに対する国際的な非難が高まる中、国連の安全保障理事会の会合が先ほど日本時間の午後11時すぎから始まりました。
会合では、ウクライナのゼレンスキー大統領がオンラインで演説を行い、国際社会に現地の惨状を訴えるものとみられます。

ウクライナの首都キーウ、ロシア語でキエフの北西の町ブチャでは、ロシア軍が撤退したあと、多くの市民の遺体が路上などで見つかり、各国からロシアの責任を問う声が強まっています。

こうした中、国連安保理では5日午前、日本時間の先ほど5日午後11時からウクライナの人道状況について話し合う会合が始まりました。

会合ではウクライナのゼレンスキー大統領がオンラインで演説を行う予定です。

ロシアによる軍事侵攻以降、ゼレンスキー大統領が国連で演説するのは初めてで、大統領はみずから訪れたブチャの状況についても国際社会に惨状を訴えるものとみられます。

これに対し、ロシア側はブチャでの市民の犠牲への関与を否定していて、会合でも各国からの非難に強く反発するものとみられます。

また、会合には、国連のグテーレス事務総長も出席し、ロシアとウクライナの停戦交渉に進展が見通せない中、人道危機に歯止めをかけるため、人道的な停戦の実現を呼びかける見通しです。

国連事務総長「世界平和への最大の挑戦」停戦呼びかけ

会合の冒頭、国連のグテーレス事務総長は、「ウクライナでの戦争は、国連憲章に基づく国際秩序と世界平和に対するこれまでで最も大きな挑戦の一つだ」と述べ、強い危機感を示しました。

また、首都キーウの北西のブチャで多数の市民の遺体が見つかったことについて「ブチャで殺害された市民の恐ろしい映像を決して忘れることができない」と述べ、説明責任を明確にするための独立した調査の必要性を改めて強調しました。

そのうえで「ウクライナでの戦争はいま止めなければならない。平和のための真剣な交渉が必要だ」と述べて、市民の犠牲に歯止めをかけるための人道的な停戦を呼びかけました。

さらに「国連安全保障理事会は連帯して平和を維持する責任を負っている。戦争を終わらせ、ウクライナで苦しんでいる人々や弱い立場の人々などへの戦争の影響を和らげるためすべての権限を行使するよう求める」とも述べ、常任理事国のロシアを含め安保理のメンバー国に対して、平和の実現に向けて取り組むよう促しました。