濃厚接触者 定義は?家族が感染、自宅待機の期間は?

新型コロナウイルスのオミクロン株による「第6波」では多くの人が感染しました。

しかし、感染者数は「第5波」が収束したときのように大きく減少することのないまま、下げ止まりとも言える状況となっています。

自身が感染しなくても、家族や近くにいる人が感染して濃厚接触者になったという人はまだまだ多いのではないでしょうか。

家族が濃厚接触者になった場合、自分は『濃厚接触者の濃厚接触者』になるの?待機期間や家族が感染した場合の対応など最新の情報をまとめました。(2022年4月4日時点)

Q1.そもそも濃厚接触者の定義は?どこまでが濃厚接触?

濃厚接触者は、感染した人と近距離で接触したり、長時間接触したりして、感染している可能性がある人です。

厚生労働省などによりますと、濃厚接触者かどうかを判断する際の重要なポイントは次のとおりです。

【接触の期間】
・感染者がウイルスを排出しなくなる発症後10日間たつまでの間(感染者が無症状の場合は検査のための検体を採取してから7日間)

【接触の目安】
・マスクなどをつけずに感染者に手で触れたり、お互いに手を伸ばしたら届く距離で15分以上接触したりした場合
・感染者の体液などがついたものに直接触れた可能性のある場合など

●濃厚接触者とみなされないケースも
・家族に感染者がいる場合や感染者の介護をしている場合などはこの目安に当てはまることになると思われますが、医療機関や介護施設で行われているように、しっかりとした感染予防策がとられていた場合は濃厚接触者とはみなされません。

・また、15分以上の接触といっても、会話をしていたか、歌を歌ったり大声を出したりするうような環境だったか、換気が十分にできていたか、など、その場の具体的な状況によって、濃厚接触者と判断されるかどうかは変わってきます。

Q2.濃厚接触者にあたるか、誰が決めるの?

濃厚接触者の対応について厚生労働省は、感染状況が悪化している場合など地域の状況に応じて自治体が柔軟に判断することを認めています。

そのうえで、厚生労働省が示している考え方は次のとおりです。

濃厚接触者にあたるかどうかについては、感染者がどこで発生したかどうかによって対応が異なります。
1.同居する家庭に感染者が出た場合
保健所などが濃厚接触者を特定し、行動制限を求めることになっています。同居家族は感染しているリスクが高いためです。「特定」とは言っても、保健所が一人ひとりに聞き取りを行う必要はないとされています。

2.職場などで感染者が出た場合
同居家族に比べて感染のリスクが低いと考えられ、さらに職場などでしっかりと感染対策が取られている場合は、それ以上は拡大しないケースもあります。
このため、保健所による一律の濃厚接触者の特定は求められていません。
感染者が出た職場や接触した人などが自分で濃厚接触者にあたるかどうかを判断します。

3.医療機関、高齢者施設などで感染者が出た場合
オミクロン株であってもリスクの高い人が多くいる施設などでは、保健所が迅速に濃厚接触者を特定することになっています。

4.保育所、幼稚園、小学校、中学校などで感染者が出た場合
自治体や教育委員会などが連携して、あらかじめ濃厚接触者の特定をどうするか決めておくこととなっています。
特に未就学児と小学生以上ではマスクなどの対策の実施状況に差があると考えられるため、対応が異なる可能性があるということです。

Q3.家族が感染して濃厚接触者に…どうすれば?

【自宅待機の期間は?】
同居家族に感染者が出て濃厚接触者となった場合は、自宅待機が求められます。厚生労働省では、この場合の待機期間を7日間としています。

【待機する日数はいつから数える?】
1感染者が発症した日
2感染者が無症状の場合は検体を採取した日
3感染が分かって「感染対策」をとった日

この1~3の中で、最も遅い日を0日とします。
そこから7日間、自宅などで待機して、8日目から解除となります。
ただ、4日目および5日目に国が承認した迅速検査キット(抗原定性検査)を使って陰性だった場合は、5日目から解除できることになっています。
では「感染対策」とはどのような対策でしょうか?
厚生労働省によりますと、今回、想定されている「感染対策」は、完全に部屋を分けて一切の接触を無くすといった厳格な隔離では無いということです。

具体的には、日常生活を送る上で可能な範囲で、▽マスク着用▽手洗い・手指消毒▽物資等の共用を避ける▽消毒の実施などとされています。

また、厚生労働省によりますと、幼い子どもでマスクの着用を徹底するのが難しい場合などは、手洗いを徹底したり、タオルなどの共用を避けたりするなどの対策が考えられるということです。

このほかにも、換気をする、極力接触を避けるなど、基本的な感染対策はできるかぎりとる必要があります。

【待機期間中に別の家族が発症した場合は?】
最初に感染が分かった家族とは別の家族が、待機期間中に感染確認された場合は、改めて日数を数え直すことになります。
【子どもが感染した場合は?】
●軽症の場合
子どもの感染が確認され、軽症で自宅待機となり、すぐに家庭内での感染対策をとった場合を考えてみます。

子どもの発症日を0日として、家族は7日間自宅待機となります。
そして8日目に解除となります。

また、感染した子ども自身は、発症日を0日として10日間、かつ症状が治まって72時間たっていれば、検査を受けなくても療養が終了となります。(※症状が悪化するなどした場合は必ず相談窓口などに相談してください)

●無症状の場合
感染した子ども本人は、検体を採取してから7日間たてば療養を解除できます。

そして、濃厚接触者についても、感染した子どもが検体を採取した日を0日として7日間が自宅待機期間となります(検体採取日から家庭内で感染対策をとった場合)。
つまり、感染した子どもも家族も同時に解除できる可能性があります。

ただ、当初は無症状でも、その後発症した場合は、改めて発症日を0日として数え直すことになります。

いずれの場合も、検査結果が分かった日が起点ではありませんから、検査を受けた日に結果を待たずに感染対策を始めれば、濃厚接触者の自宅待機もその分早く解除される可能性があります。

【自宅待機が解除されたら普通に生活してもいい?】
濃厚接触者の自宅待機が解除されれば、通勤や通学などができるようになります。

ただ、感染者の療養期間が終わるまでは発熱が無いか検温するなど自分で健康状態を確認したり、リスクの高い場所の利用や会食を避けたりするなどの感染対策が求められています。(※療養期間や待機期間にかかわらず、一般的な感染対策は継続することが必要です)

また、国立感染症研究所によりますと、オミクロン株に感染した場合、7日目までに発症する確率は94.5%、10日目までに発症する確率は99.2%となっています。

つまり、7日間の待機期間では5%程度のリスクが残るとされています。

このため、厚生労働省では待機が解除されたあとも、10日間たつまでは、検温など自分で健康状態を確認することや、リスクの高い場所や会食などを避けたり、マスクを着用したりするなどの感染対策を徹底することを求めています。

Q4.家庭以外の場所で感染者と接触…どうすれば?

【職場で感染者が出た場合】
厚生労働省は、事業所などの職場で感染者が出た場合は、基本的には自宅待機などの行動制限は設けないとしています。

ただ、感染者と接触があった人は、接触した最後の日から目安として7日間は、リスクの高い高齢者や高齢者施設などへの訪問、不特定多数での飲食や大規模イベントの参加など、感染リスクの高い行動を控えるよう、周知するということです。

また、職場でマスクの着用などの対策をせずに感染者と飲食をした場合などは、例えば5日間の待機に加え、自主的に検査をして陰性を確認するなど、感染拡大防止の対策を取るよう求めています。

【医療機関や高齢者施設などの場合】
医療機関や高齢者施設などの場合は、基本的にこれまでと同じように、7日間の待機が求められます。

ただ、4日目と5日目に抗原検査で陰性を確認した場合は、エッセンシャルワーカーでなくとも、5日目から待機を解除できるとしています。

また、医療従事者については、濃厚接触であっても毎日の検査を行って陰性を確認すれば、出勤は可能だとしています。

Q5.自宅待機している間はどう生活すればいいの?

自宅待機の際には、不要不急の外出はできるかぎり控え、やむをえず外出する場合には、マスクの着用や手洗いなどの感染対策を行って、人との接触を避けることとされています。

また、通勤や通学も控える必要があるということです。

東京都の新型コロナ対策を担当する東京都の感染症対策部では次のようにしています。

▽不要不急の外出は控え、職場や学校には行かずに自宅で待機。
▽待機中は、毎日、朝と夕方の2回、体温を測って体調に異常がないか確認。
▽発熱やせきなどの症状が出たらかかりつけ医か、新型コロナの検査や診療が可能な医療機関を受診。
▽なるべく公共交通機関の利用を避ける。

濃厚接触者になった場合は、決められた期間がすぎるまでは「もしかしたら感染しているかも」と考えて行動することが重要です。
(※東京都のHP:身近な人が新型コロナウイルス感染症になった方へ~自分が濃厚接触者だと思ったら~も参照)

Q6.「濃厚接触者の濃厚接触者」はどうすればいい?

家族に濃厚接触者が出た場合について、東京都の感染症対策部によりますと、「『濃厚接触者の濃厚接触者』という概念はないため、濃厚接触となった人を除いて家族全員が行動を制限されることはなく、行政としても行動は制限していない」ということです。

ただ、勤務先や通学先などで個別にルールを定めている場合もあるため、会社や学校と話し合って、それぞれのルールにしたがってほしいということです。

もちろん、濃厚接触者が待機中に発症するなどして、実は感染していたことが分かる可能性もあります。
万が一感染していた場合に備えて、濃厚接触者となった家族の待機期間中は、
▽家庭内でのタオルの共用を避けたり、食事の時間をずらしたりするなど、できるかぎり空間を分けて生活する
▽マスク着用などでせきエチケットを守る、手洗いやアルコール消毒などを心がける
▽ドアノブやテレビのリモコンなど頻繁に触れるものの消毒
▽定期的に換気をするなどの注意をしてほしいということです。

オミクロン株は重症化する割合が低くなったと言われていることから、ついついこれまでよりも軽く考えてしまうこともあるかもしれませんが、それでも高齢者や基礎疾患がある人などを中心に、重症化する人が世界中で報告されています。

油断せずに、特に、基礎疾患があったり高齢だったりして、重症化のリスクが高い家族がいる場合は注意が必要です。

Q7.感染の再拡大?!何に注意すればいいの?

オミクロン株は家庭内で感染する場合が多いことが知られています。

オミクロン株の感染経路は、これまでの新型コロナウイルスと変わらず、飛まつ感染、特に換気の悪い場所でのいわゆる「マイクロ飛まつ」(エアロゾル含む)による感染が中心だとされていて、従来からの感染対策を徹底することで防ぐことができると考えられています。

厚生労働省が作成している注意の呼びかけイラストでは、家族に感染者が出た場合に次の注意点を挙げています。

1.部屋を分ける
2.窓を開けて換気
3.マスクを着用
4.こまめな手洗い、手で触れる部分を消毒
5.汚れたリネンや洋服は洗濯
6.ゴミは密閉して捨てる

また、オミクロン株になって濃厚接触者への制限は以前に比べると緩和されていますが、一人ひとりの感染対策は引き続き重要です。

厚生労働省の専門家会合のメンバーで、国際医療福祉大学の和田耕治教授によりますと、特に重要なのが、体調の悪い人が外出を控えることだということです。
(和田教授)
「いちばん大事なことは、体調の悪い人は外に出ないで、なるべく早く検査を受けてもらうことだ。軽い症状の方でもマスクを外すような会合にはできるだけ避けていただくことが重要だ。大学や会社が始まるなかで会合をするにしても、できるだけ少人数で短時間でやっていただくことを呼びかけていきたい」