【詳細】ロシア ウクライナに軍事侵攻(3日の動き)

ロシアによるウクライナに対する軍事侵攻が続いています。

ウクライナの各地でロシア軍とウクライナ軍が戦闘を続けていて、大勢の市民が国外へ避難しています。戦闘の状況や関係各国の外交などウクライナ情勢をめぐる3日(日本時間)の動きを随時更新でお伝えします。

(日本とウクライナ、ロシアのモスクワとは6時間の時差があります)

ウクライナ 穀物輸出量が4分の1に 価格高騰など懸念

ウクライナ経済省は、ロシアによる軍事侵攻の影響で先月の主な穀物の輸出量が前の月の4分の1に減少したと公表しました。ウクライナ経済省は「いままで輸出に使っていた黒海の港がロシアに封鎖されている。ウクライナはアフリカや中東の国々に食糧を輸出しているため、ロシアの軍事侵攻はウクライナだけでなく全世界を脅かしている」などとコメントしています。ウクライナは小麦やトウモロコシなどの世界有数の輸出国ですが、価格の高騰や供給不足への懸念が広がっています。

EU 民間人の殺害などを強く非難

ウクライナの首都キーウ近郊からロシア軍が撤退し、激しい戦闘による被害の実態が伝えられるなか、EU=ヨーロッパ連合は民間人の殺害などを強く非難しています。

このうちEUのミシェル大統領はツイッターに「ロシア軍による残虐な行為の映像に衝撃を受けている。EUはさらなる制裁に向けた準備を進めている」と投稿しました。またフォンデアライエン委員長もツイッターに「独立した調査を早急に行うことが必要だ。戦争犯罪者は責任を問われるだろう」と投稿しています。

リトアニア ロシアからの天然ガス輸入 完全停止と発表

リトアニアは今月2日にロシアからの天然ガスの輸入を完全に停止したと発表しました。今後の需要はLNG=液化天然ガスで満たしていくとしています。

リトアニアのナウセーダ大統領はツイッターで「今月からリトアニアにロシア産ガスは存在しない。私たちができるなら、ヨーロッパのほかの国々もできる」と投稿し、ほかのEU加盟国にもロシアからのガスの輸入をやめるよう呼びかけました。

ロシア オデーサ近郊 製油所や燃料施設をミサイル破壊

ロシア国防省は3日、ウクライナ南部の黒海に面する港湾都市オデーサ・ロシア語でオデッサ近郊の製油所や燃料施設をミサイルで破壊したと発表しました。

AFPが配信した映像では、タンクのような建物などが激しく燃え、真っ黒な煙が上がる様子が確認できます。また、地元オデーサの市議会は、SNSのテレグラムに「オデーサは空から攻撃された。一部の地域で火災が報告されている」などと投稿しています。

キーウ奪還 避難民「早く戻りたい」

ウクライナ西部の主要都市リビウにはロシアによる攻撃から逃れてきた人たちが国内各地から集まっていて、郊外にある教会にはおよそ150人の人たちが身を寄せ合っています。

キーウ州のイルピンから避難してきた70代女性は「キーウを奪還したと聞いてとてもうれしいです。地雷が危険かもしれないけど早く帰りたいです。ただ、ロシア軍がまた戻ってくるかもしれないと思うと怖い気持ちもあります」と話していました。

首都キーウから避難してきた女性は「家族が残るキーウに帰りたいですが、ロシア兵が森の中に隠れているかもしれないし、安全ではないと思います。ロシアはキーウを制圧することができなかったので、何らかの『勝利』を得るために東部での攻撃を強めるのではないかと思います」と心配そうに話していました。

英国防省「ロシア海軍 黒海とアゾフ海沿岸を封鎖」

イギリス国防省は3日、ウクライナの戦況分析を公表し、「ロシア海軍が黒海とアゾフ海沿岸を封鎖し、海からのウクライナへの補給を妨害している」と分析しています。

そのうえで「黒海に機雷が設置され、海上輸送にとって深刻なリスクになっている。どのように機雷が設置されたかはわからないが、ロシアの軍事侵攻がいかに市民の利益に影響しているかを示している」と指摘しています。

ゼレンスキー大統領「ロシア軍あらゆる場所に地雷設置」

ウクライナのゼレンスキー大統領は、北部に展開していたロシア軍が少しずつ撤退していると明らかにしたうえで「ロシア軍はあらゆる場所に地雷を設置している。彼らは街なかの住宅や装備、それに殺害された人の遺体にまで地雷を仕掛けている」と述べ、避難している住民に対し安全が確認されるまでは戻らないよう呼びかけています。

今月2日の首都キーウ北部の様子としてAP通信が配信した映像では、ウクライナ軍の兵士が道路上に散乱したがれきの下をのぞきこんで地雷が設置されていないか確認していました。

ロシア軍による地雷の使用をめぐっては、国際的な人権団体「ヒューマン・ライツ・ウォッチ」が先月29日、ロシア軍が国際条約で使用が禁止されている対人地雷を使用したと発表し、ロシアの行動を非難すべきだと指摘しました。

「ヒューマン・ライツ・ウォッチ」によりますと、使用された地雷は通称「メダリオン」と呼ばれ、人の接近を感知するセンサーを備えていて、爆発すると半径16メートルの範囲内の人を殺傷する能力があるということです。一定程度の時間が経過したあとに自爆する機能も備えられているとみられています。

人を殺傷することを目的とした対人地雷については1999年に発効した対人地雷禁止条約で使用や製造が全面的に禁止され、これまでウクライナを含む160以上の国と地域が加盟していますが、ロシアは加盟していません。

ゼレンスキー大統領「できるかぎりの支援を」

ウクライナのゼレンスキー大統領は、3日公開したビデオメッセージで、ロシア軍が作戦を強化している東部について、要衝マリウポリでは、ウクライナ側の強い抵抗によって、大部分のロシア軍の前進を抑え込んでいることを明らかにしました。

そのうえで各国に対し「私たちの自由と独立、そしてウクライナの存続のために、この戦争に耐えられるよう、できるかぎりのことをしてほしい」と述べ、ミサイル防衛システムや軍用機の供与など、さらなる軍事支援を求めました。

ブチャ市長「300人超の住民殺害」

首都近郊からのロシア軍の撤退にともない、激しい戦闘が伝えられた地域の被害の実態が明らかになっています。

ロイター通信が、首都キーウの北西にあるブチャの様子を2日に撮影した映像では、多くの建物が焼けて倒壊し、軍用車両が放置されているのが確認できます。

住民の男性は「2週間地下室にいたが、光がなく、暖まるための暖房もなかった」と話していました。

ブチャの市長はロイター通信の取材に対し、300人以上の住民が殺害されたと明らかにしたうえで「犠牲者の遺体はまだ路上に多く残されている。手を縛られ、頭を撃たれた人もいる。この地域でいかに違法なことが行われていたのか想像できる」と話しています。

英外相「ロシア軍の残虐行為にがく然 責任を追及する」

イギリスのトラス外相は2日、ツイッターに「ブチャやそのほかの町における残虐行為にがく然としている。ロシア軍が無実の市民を標的にしていたという報告は忌まわしいものだ」と投稿しました。

そして「イギリス政府は、国際刑事裁判所が行う戦争犯罪の捜査のため各国と協力して証拠を集め、責任を追及する」としています。

ロイター通信やAP通信が配信した首都キーウの北にあるブチャの映像では、武装したり軍服を着たりはしていない複数の遺体が道路脇などに横たわっているのが確認できます。

ザポリージャ州で捕虜の交換 ウクライナの公共放送伝える

ウクライナの公共放送は動画投稿サイト、ユーチューブで現地の状況を連日、国内外に英語で発信しています。

2日に公開された放送では、4月1日に南東部ザポリージャ州でウクライナ軍とロシア軍の捕虜の交換が行われ、86人ずつが相手方に引き渡されました。

ウクライナ大統領府のティモシェンコ副長官によりますと、ウクライナ兵86人のうち、15人は女性だということで、捕虜だった人たちは医療など必要な支援を受けたということです。

首都キーウ近郊 ウクライナ軍が奪還 ロシア軍 “地雷設置”

首都キーウ近郊ではウクライナ軍が複数の町を奪還するなど戦闘の主導権を握っているとみられますが、ロシア軍は撤退する際に地雷を設置しているとして、ウクライナのゼレンスキー大統領は住民たちに戻らないよう呼びかけています。

イギリス国防省は2日、ウクライナ軍が首都キーウの東にある複数の村を奪還したほか、北西にあるイルピンから、さらに北のブチャやホストメリに向けて前進を試みていると指摘し、首都近郊で戦闘の主導権を握っていると分析しています。

ウクライナ政府は30を超える町や村を奪還したとしていて、ゼレンスキー大統領は2日に発表した声明で、北部にいたロシア軍は少しずつ撤退していると明らかにしました。

ただ「ロシア軍は地雷をあらゆる場所に埋めている」として、安全を丁寧に確認する必要があるとして避難している住民に対し、まだ戻らないよう呼びかけています。

ロシア軍 ウクライナ東部の作戦を強化

ロシア軍はウクライナ東部での作戦を強化し、ロシア国防省は2日、ハルキウ州とドニプロペトロウシク州にある鉄道の駅の付近をミサイルで攻撃し、ウクライナ軍の装甲車や燃料タンクなどを破壊したと発表しました。

ロシア国営のタス通信によりますと、ロシア大統領府のペスコフ報道官は2日「ウクライナの軍事インフラの大部分を破壊した。軍事作戦の目的が一刻も早く達成され、敵対行為が停止されることを望む」と述べ、東部地域の解放を理由に戦闘を続けると改めて強調しました。

マリウポリからの住民避難 4217人

またロシア軍が包囲し、深刻な人道危機が起きている東部の要衝マリウポリからの住民の避難について、ロイター通信は2日、ウクライナのベレシチュク副首相の話として4217人が戦闘地域から避難したと伝えました。

ただ、いまだおよそ10万人以上が取り残されているとみられ、水や電気の供給が止まり医薬品なども届かない中、住民の避難を加速させられるかが大きな課題となっています。

フランシスコ教皇 首都キーウ訪問「検討している」

ローマ・カトリック教会のフランシスコ教皇は2日、ウクライナ政府が首都キーウ訪問を要請していることについて記者団に問われ、「検討している」と明らかにしました。

このあと、フランシスコ教皇は訪問先の地中海の島国マルタで行った演説でウクライナの状況について「私たちは他国への侵略や残酷な市街戦、それに核の脅威は過去の恐ろしい記憶だと考えてきた。しかし今回の戦争は、死と破壊と憎しみだけをもたらし、多くの人々の命と暮らしを徹底的に奪い去った」と述べました。

そのうえで「残念ながら一部の権力者は時代錯誤にも自国の利益を主張することにとらわれ、紛争を誘発してあおっている。人類は戦争に直面しているが、どうか平和の夢を消し去らないようにしよう」と訴えました。

原発がある南東部の都市 エネルホダルで住民集会中に爆発音

ウクライナ国営の原子力企業は、南東部のザポリージャ原発がある都市エネルホダルで、2日に撮影されたとする映像をSNS上で公開しました。

住民たちが広場で集会を開いていたところ、突然、大きな爆発音や銃声が響き渡ったということです。

映像では、大きな爆発音が何度も聞こえ、白い煙がいくつも立ち上っている様子が確認できます。
また、爆発現場の近くには多くの人が集まっている様子もわかります。

この爆発で4人がけがをしたということです。

国連 “ウクライナで4月1日までに1325人の市民が死亡”

国連人権高等弁務官事務所は、ロシアによる軍事侵攻が始まったことし2月24日から4月1日までに、ウクライナで少なくとも1325人の市民が死亡したと発表しました。
このうち120人は子どもだということです。

死亡した人のうち
▽448人は東部の2つの州で、
▽877人はキーウ州や東部のハルキウ州、北部のチェルニヒウ州、南部のヘルソン州などで確認されています。
また、けがをした人は2017人に上るということです。

ただ、ロシア軍の激しい攻撃が続く東部マリウポリなどでは確認が取れていないため、実際の死者やけが人の数はこれよりはるかに多いとしています。

ポーランド 避難した人への衣類の支援続く

ウクライナで家を追われた人の多くが避難生活が長引く中、国境に近いポーランド南東部のジェシュフでは、地元の人たちが寄付した服を無料で提供する取り組みが続けられています。

避難した人の多くが突然の攻撃で混雑する列車やバスに乗るためわずかな荷物しか持ち出せませんでした。
季節が冬から春へと移り変わるなかで、会場では春物の古着や靴などが所狭しと並べられていて訪れた人たちが手に取ってサイズを確認していました。

運営担当者によりますと避難先で新たな仕事を始めたり、子どもを学校に通わせたりするための衣類を必要とする人も多いということです。

また、寄付されるのは古着が多く、新品の下着や靴下などが最も不足しているということです。