ロシア軍が攻勢強めるマリウポリ 避難支援は難航した状態続く

ロシア軍が掌握を目指して攻勢を強めているウクライナ東部の要衝マリウポリで多くの住民が取り残されている中、ロシア側が設置した住民の避難ルートでバスを使った避難計画を進めた国際機関のチームが引き返し、依然として避難支援は難航した状態が続いています。

ロシア国防省は、ウクライナ東部に軍事作戦の重点を移す方針を示していて、4月1日、東部のウクライナ軍の軍事施設をミサイルで攻撃したほか、包囲する要衝マリウポリの完全掌握に向け攻勢を強めています。

マリウポリには多くの住民が取り残され、人道危機への懸念も高まる中、フランスなどの要請を受けてロシア国防省は「人道回廊」と呼ばれる避難ルートを設置し、1日、ICRC=赤十字国際委員会は54台のバスを使う計画で支援チームが現地に向かいました。

しかし、その後、ICRCは声明を発表し、チームが引き返さざるを得なくなったことを明らかにしました。

「人道回廊」について地元、東部ドネツク州の知事は1日、「支援物資が届かず、実質的に機能しなかった」として、ロシア側が合意を守らなかったと批判しました。

ICRCは2日に再び、支援活動を目指す予定ですが、住民の避難は依然として難航した状況が続いています。

一方、首都キーウ・ロシア語でキエフをめぐっては、イギリス国防省が1日、周辺の村をウクライナ側が奪還する動きがみられるとする一方、「キーウ周辺などはロシア軍の継続的な空爆とミサイル攻撃にさらされている」と指摘しています。
停戦交渉をめぐっては、ロシアのプーチン大統領が1日、ウクライナとの仲介役となっているトルコのエルドアン大統領と電話で会談し、エルドアン大統領がプーチン大統領とゼレンスキー大統領との首脳会談の開催を改めて呼びかけたということです。

停戦交渉は1日、オンライン形式で再開され、ウクライナ側が提案したNATO=北大西洋条約機構への加盟を断念する代わりとなる新たな安全保障の枠組みなどに対し、ロシア側の対応が焦点となっています。

ただ、ロシア代表団のトップ、メジンスキー大統領補佐官は1日、「われわれのクリミアとドンバスの立場は変わらない」と述べ、一方的に併合した南部クリミアや、親ロシア派の武装勢力が影響力を持つウクライナ東部の主権について譲歩しない姿勢を強調するなど、双方の主張の隔たりが続いています。