大阪で避難生活 ウクライナ人親子 “日本は安全も不安尽きず”

ロシアによる軍事侵攻から逃れ大阪で暮らす家族を頼って避難生活を始めたウクライナ人の親子が取材に応じ、日本では安全に暮らせるものの先行きが見えず、不安が尽きないなどと心境を語りました。

ウクライナの首都キーウ、ロシア語でキエフの近郊で暮らしていたティホノヴァ・ナタリアさん(59)と、大学でジャーナリズムを学ぶ娘のアンナさん(20)は3月16日から日本での避難生活をスタートさせました。

大阪で暮らすアンナさんの姉、シラブ・アナスタシヤさんと夫のシラブ・ニールさんが呼び寄せ、2人は隣国のルーマニアを経由してドイツの首都ベルリンに逃れたあと現地の日本大使館で3か月間の滞在が認められる観光ビザの交付を受けて日本にやってきました。

2人は今、不動産会社がウクライナからの避難者を支援するために用意した大阪市内のマンションで暮らしています。

これについてアンナさんは「ウクライナには今も安全に暮らせず不安を感じている人がいる中で日本に避難できたのはとてもうれしいです」と話し、身の安全が確保できたことに安ど感を抱いていました。

ただウクライナ国内では犠牲者が増え続けているほか、日々の食料を得ることさえ難しくなっている人もいるとして「日本での暮らしは安全で快適ですが、現地に残る友人のことなどを常に考えてしまってつらい」と心境を語りました。

さらに今後の暮らしについては「もちろんウクライナに戻りたいですが戦争が続くかぎりここにいたい」としたうえで「長く日本にいるのなら仕事も探さなければいけませんが今は将来のことを考えるのは難しい」と話し、先行きの不透明さに強い不安を感じていると明かしました。

一方、母と妹を日本に避難させたシラブ・アナスタシヤさんは「早く来てもらえれば安心なのでずっと日本に来るように言っていました。コロナもあってしばらく会えていなかったのでうれしいです。今はゆっくりと日本のきれいな町を見せたり、おいしい食べ物を食べさせてメンタルが落ち着くまでは観光客として普通の生活をさせたい。落ち着いたら今後の生活について話したい」と話していました。

愛知 大府では支援金のサポートも

一方、愛知県大府市ではウクライナから親族を頼るなどして市内に避難してきた人たちを支援する窓口を設置し、避難してきた人に1人10万円の支援金を用意するとともに行政サービスを受けるために必要な手続きを手伝うなどのサポートを開始しました。

市では1日から支援金の申請の受け付けを始め、市内に住むイワニューク・リリヤさんを頼って先月、避難してきた母親と妹そして妹の子ども2人の4人が手続きに訪れました。

イワニュークさんは「支援に本当に感謝しています。支援金は衣服の購入や食費に充てたいと思います。これから住む場所の問題や子どもたちが日本の生活になじむことができるかなど不安も多いです。早く戦いが終わることを本当に願っています」と話していました。

大府市の岡村秀人市長は「今後は公営住宅や市内の不動産会社と連携するなどして住居の支援を進めるほか、子どもたちの学校に関するサポートなども進めていきたい」と話しています。