ロシア軍 ウクライナ東部要衝 完全掌握目指し 戦闘激化

ウクライナへの軍事侵攻を続けるロシアは、東部の要衝の完全掌握を目指しミサイル攻撃も強めるなど、戦闘を激化させています。
ロシア側としては、東部での戦局を有利に展開することで、今後の交渉で優位に立ちたい思惑があるとみられます。

ロシアの国防省は、軍事作戦の重点をウクライナ東部に移す方針を示していて、31日には、東部にあるウクライナ軍の複数の燃料基地を巡航ミサイルで破壊し、東部での掌握地域を拡大したと発表しました。

東部でのロシア軍の動きについて、アメリカ国防総省は、ロシアの民間軍事会社「ワグネル」の武装警備員、およそ1000人がウクライナ東部に展開しているほか、空爆が優先的に行われていると分析しています。

東部の要衝マリウポリでは深刻な人道危機が続き、包囲を続けているロシア軍が数日以内に、市内を完全掌握するという見方も出ています。

マリウポリの現状について、イギリス国防省は「激しい戦闘が続いているが、ウクライナ側が市の中心部を掌握している」と指摘しました。

一方、ロシア側は29日の停戦交渉の結果、首都キエフ周辺と北部のチェルニヒウでの軍事作戦を大幅に縮小するとし、ロシア国防省は30日「キエフとチェルニヒウ方面での主な任務はすべて完了した」と発表しました。

ただ、これについてイギリス国防省は31日「チェルニヒウ周辺では激しい攻撃が続いている。また、一部の部隊は撤退したが、キエフの東側と西側ではロシア軍が陣地を維持し、キエフ郊外では数日以内に激しい戦闘がおきる可能性もある」と指摘しています。

また、アメリカ国防総省も、ロシア軍の部隊の一部が、ウクライナと国境を接するベラルーシに移動し、再編成や補給を行う可能性があると指摘するなど、キエフ周辺にも、依然としてロシア軍の脅威が残されているとみています。

こうした中、ウクライナ代表団は、4月1日にオンライン形式での停戦交渉が再開されると明らかにしています。

さきの交渉で、ウクライナ側が提案した新たな安全保障の枠組みなどに対する、ロシア側の対応が焦点となっていて、ロシアとしては、要衝マリウポリの完全掌握など、東部での戦局を有利に展開することで今後の交渉で優位に立ちたい思惑があるとみられます。

一方、アメリカ ホワイトハウスは30日の記者会見で、ロシアのプーチン大統領が、ウクライナに侵攻したロシア軍の苦戦の状況や、欧米による制裁のロシア経済への打撃について、側近から誤った情報を伝えられていたとみられると明らかにし「側近は、プーチン大統領に本当のことを伝えるのを恐れたとみられる」と指摘しています。

ロシア大統領府“アメリカが本当の情報持ってないとわかった”

ロシア軍の状況などをめぐり、プーチン大統領が側近から誤った情報を伝えられていたとみられると、アメリカ ホワイトハウスが明らかにしたことについて、ロシア大統領府のペスコフ報道官は31日、「彼らが本当の情報を持っていないことがよくわかった。クレムリンで何が起こっているのか理解しておらず、プーチン大統領についても理解していない。われわれの意思決定の仕組みやスタイルがわかっていない」と反論しました。

そのうえで「こうした理解不足は単に残念なだけでなく、アメリカ側の間違った判断につながり、非常に悪い結果をもたらすことになる」と批判しました。

トルコ大統領“目標は両大統領を直接会わせること” 報道

トルコメディアは、エルドアン大統領が記者団に対し「プーチン大統領とゼレンスキー大統領に対して『私の目標はすぐにでもあなたたちを直接会わせることだ』と伝える。会談を開く用意はできている」と述べたと報じました。

両国のトップによる会談を実現させたい考えを改めて示した形です。

また、3月29日にイスタンブールで行われた停戦交渉について、エルドアン大統領が和平プロセスを進めたとして評価したと伝えています。