ロシア ウクライナ東部に重点方針 近く対面形式で停戦交渉か

ロシアは、ウクライナ東部での軍事作戦に重点を置く方針を示し、東部での戦況を有利に進めることでウクライナ側との停戦交渉を優位に進展させたいねらいもあるとみられます。その両国の停戦交渉が近く、対面形式で行われる見通しとなり、具体的に前進させられるかが焦点です。

ウクライナへの軍事侵攻を続けるロシアの国防省は、親ロシア派の武装勢力が影響力を持つウクライナ東部に軍事作戦の重点を置く方針を示し、東部の要衝マリウポリの完全掌握などに向けて戦闘を続けています。

イギリス国防省は27日、「ロシア軍は、ハリコフ方面からとマリウポリ方面からそれぞれ前進して、東部地域のウクライナ軍を包囲する試みに集中しようとしている」と分析し、東部に戦力を投入する動きがみられると指摘しました。

こうしたロシア軍の動きについて、アメリカのシンクタンク「戦争研究所」は、「当初は、首都キエフなどを占領し、ウクライナの政権交代を実現させようとしていたが唯一、進展が見られる地域に国内の目を向けさせようとしている」と指摘し、想定外の苦戦を強いられているとされる中、ロシア国内の世論を意識した動きだという見方を示しています。

一方、両国の停戦交渉について、ウクライナ側の代表団は27日、双方の仲介役を担ってきたトルコで、28日から30日まで対面形式で行われると明らかにし、ロシア代表団のトップ、メジンスキー大統領補佐官も29日と30日に交渉が行われるとしています。

双方の代表団は、最近はオンライン形式で交渉を進めていましたが、今回対面で行われると、ベラルーシで今月7日に実施されて以来となります。

ロシアとしては、東部での戦況を有利に進めることで、停戦交渉を優位に進展させたいねらいもあるとみられます。

ただ、戦闘の停止やロシア軍の撤退などを求めるウクライナ側と、ロシア側の主張の隔たりは埋まっておらず、今回対面での交渉を再開させることで具体的に前進を図ることができるかが焦点です。