ロシア想定以上の苦戦 ミサイル攻撃強化 大統領が兵士鼓舞も

ウクライナへの侵攻を続けるロシア軍は、西部リビウの軍施設をミサイルで攻撃するなど遠距離からの攻撃を強化しているとみられます。
一方、プーチン大統領は27日、前線の兵士を鼓舞するメッセージを発表し、想定以上の苦戦を強いられるなか、兵士の士気が低下しないか神経をとがらせている様子もうかがえます。

ロシア国防省の27日の発表によりますと、ロシア軍は、ウクライナ西部の主要都市、リビウ近郊にあるウクライナ軍の燃料施設や市内の軍の修理工場を26日、ミサイルで攻撃したほか、首都キエフ近郊にあるウクライナ軍の対空ミサイルシステムにもミサイル攻撃を行ったということです。

リビウの地元当局は、一連のミサイル攻撃で合わせて7人がけがをしたと発表しました。

またロイター通信などはリビウ市長の話として、こうしたミサイルはロシアが8年前に一方的に併合し、リビウからおよそ900キロ離れた黒海沿岸のクリミアの軍港都市セバストポリから発射されたと伝えています。

イギリス国防省は「ロシア軍は、人口密集地を含むウクライナ全土の標的に対し、空軍の戦力とミサイルによる攻撃を続けている」として、ミサイルなどを使った遠距離からの攻撃を強化していると26日、分析しました。

ロシア軍は現在、ウクライナ東部の親ロシア派の武装勢力が影響力をもつ地域での軍事作戦に重点を置く方針を示し、東部の要衝マリウポリの全域を掌握することを目指しています。

これについてアメリカのシンクタンク「戦争研究所」は26日「ロシア軍は比較的近い将来、マリウポリを掌握する可能性があるが、激しい戦闘が続き、ロシア軍も大きな被害を受けている」としたうえで、マリウポリの攻防が、ウクライナ東部の今後の戦局を左右するという見方を示しました。

一方、ロシアのプーチン大統領は27日、ウクライナの前線にも派遣されている大統領直属の準軍事組織、国家親衛隊の記念日にあわせてメッセージを出しました。

この中で、プーチン大統領は「ウクライナでの作戦に参加している兵士に特に伝えたい。確かに、現実の戦闘の状況にはリスクの上昇が伴う。このような状況で、勇敢に、プロとして、最も複雑な任務を解決しているあなた方を、国全体が誇りに思っている」と述べ、前線の兵士を鼓舞しました。

ロシアは、今回の軍事侵攻で当初の想定以上の苦戦を強いられているとみられていて、プーチン大統領が、兵士の士気が低下しないか神経をとがらせている様子もうかがえます。