米バイデン大統領 ポーランドの防衛に責任果たすと強調

アメリカのバイデン大統領はポーランドでドゥダ大統領と会談し、NATO=北大西洋条約機構の加盟国として、ウクライナに接するポーランドの防衛に責任を果たすと強調しました。

ヨーロッパを訪問しているバイデン大統領は26日、ポーランドの首都ワルシャワでドゥダ大統領と会談しました。

冒頭でバイデン大統領は「ヨーロッパの安定はアメリカの国益や世界にとって極めて重要だ」と述べるとともに「プーチンが、NATOを東側と西側で分断できると考えたことは明らかだが、そうはできなかった」と述べ、ロシアの試みはNATOの結束を前に失敗に終わったと強調しました。

そのうえでNATOの加盟国が攻撃を受けた場合、加盟国全体への攻撃とみなして反撃などの対応をとる集団的自衛権の行使を定めた条約を踏まえ「われわれは北大西洋条約第5条を神聖な義務だととらえている。信頼してもらってかまわない」と述べ、ポーランドの防衛に責任を果たすと強調しました。

そして、ウクライナの避難民10万人をアメリカが受け入れる考えを伝え、人道支援でもポーランドなどを支えていく姿勢を示しました。

これに対しドゥダ大統領は、ロシアによるウクライナへの軍事侵攻を受けて国防予算の増額を決めたことを伝え、アメリカが開発した高性能の武器を自国に配備したいと要望しました。

両国をめぐっては、ポーランドがミグ29戦闘機をドイツにあるアメリカ軍基地を経由させる形でウクライナに提供したいと申し出たのに対し、アメリカが、ロシアを過度に刺激しかねないと拒否したことでぎくしゃくしましたが、今回の会談で両首脳は連帯を強くアピールした形です。

米バイデン大統領 避難民施設訪問し激励

アメリカのバイデン大統領は26日、ポーランドの首都ワルシャワで、ウクライナの避難民が身を寄せている施設を訪問しました。

幼い女の子を抱き上げたり女性の手を握って話を聞いたりしたあと、記者団に対し「ここにいる子どもたちは皆、『お父さん、おじいさん、お兄さんのために祈ってください』と話していた。戦場に家族を残すとはまさにこういうことだと知らされた」と述べました。

そして「こうした人たちにプーチン大統領がしたことをどう思うか」と問われると、「彼は残忍な殺人者だ。そう思わざるをえない」と強いことばで非難しました。

米の人道支援や踏み込んだ対応に期待する声

アメリカのバイデン大統領のポーランド訪問についてウクライナとポーランドの国境検問所付近では26日、ウクライナから逃れてきた人たちの間からアメリカの人道支援や踏み込んだ対応に期待する声が聞かれました。

このうち55歳の女性はウクライナ北部のチェルニヒウ州から生後7か月の孫を連れて避難してきました。

女性は孫の父親は祖国の防衛のためにウクライナ国内にとどまっていることを涙ながらに語りました。

そのうえで「ロシア兵は食料を運ばせないように邪魔しているのでこのままでは人々は飢えて死んでしまいます」と訴えたうえでアメリカに有効な対策を取るよう求めました。

また15歳の少年はロシア軍の攻撃で多数の子どもが犠牲になったと伝えられている東部のハリコフ州から母親と3歳の弟とともに避難してきました。

少年は自宅の近くで連日、爆撃が続いていたと語ったうえで「バイデン大統領は好きですが、もっと助けが必要です。空を閉じてほしいです」と述べウクライナ上空に飛行禁止区域を設定するなど、アメリカに踏み込んだ対応を取ってほしいと訴えていました。

ウクライナ西部主要都市リビウでは飛行禁止区域の設定求める声

アメリカのバイデン大統領がヨーロッパを訪問し、各国と連携してロシアの脅威に対抗していく姿勢を強調する中、ウクライナの人たちからは飛行禁止区域の設定など、さらなる支援を求める声が聞かれました。

ウクライナ西部の主要都市リビウには、ロシアによる攻撃から逃れてきた人たちが国内各地から押し寄せていて、中央駅には大きな荷物を持った人たちが集まっています。

このうち、妻と息子だけを国外に避難させ、みずからはこれから北東部のハリコフに戻るという40代の男性は、「地上戦用の武器は十分支援してもらっていると思いますが、必要なのは戦闘機や飛行禁止区域の設定です。そうすれば、私たちはもっと戦えると思います」と話していました。

また、これから東部のドニプロにある自宅に戻るという50代の男性は、「欧米からの支援は十分ではないと思います。私たち、ウクライナ人が最前線でポーランドやドイツを守っているようなものです」と訴えたうえで、「欧米の国々は助けてくれると言っていたのに今となっては『こんなことになって申し訳ない』としか言ってくれない」と憤っていました。