ロシア軍 マリウポリの一部掌握か 市長が市外退避との報道も

ウクライナに侵攻を続けるロシア軍は、東部の要衝マリウポリの一部を掌握した模様で、南東部で支配地域を広げることに力を注いでいるとみられます。

ウクライナの地元メディアは、マリウポリの市長がすでに市外に退避したと伝えています。
また、アメリカのシンクタンク「戦争研究所」は、「ロシア軍は24日、マリウポリの中心部のキリスト教の教会を占拠し、市の全域の掌握に向けて部隊を展開している」との分析を示しています。

ロシア軍が攻勢を強めている東部マリウポリについて、ロシア側とともに戦闘を続けている親ロシア派の武装勢力は、指導者のプシリン氏が24日、市内に入ったと明らかにしました。

プシリン氏らは、市内西側のショッピングセンターにロシア側が設置した食料などの配布所を訪問し「ウクライナから解放されたら、再建を始める」と伝えたとされ、マリウポリの一部地域がロシア側に掌握されたことがうかがえます。

こうした中、ウクライナ政府は24日、マリウポリの市民がパスポートなどを没収されたうえで、ロシアに強制的に移送されていると批判しています。

これまでに1万5000人のうち少なくとも6000人が実際に移送されたとし、市民には移送先としてロシア北部の地域などが提示され、その中には極東のサハリンも含まれているということです。

一方、首都キエフについて、ロシア国防省は25日「近郊のウクライナ軍の最大の燃料施設を巡航ミサイル『カリブル』で破壊した」と発表しました。

ただ、イギリス国防省は25日、ロシア軍が伸びきった補給線を後退させたことなどによって、ウクライナ軍がキエフの東35キロまでの町と防御陣地を取り戻していると指摘しています。

ロシア軍は、マリウポリなど南東部で支配地域を広げることに力を注ぐ一方、首都キエフ周辺では、ウクライナ軍の激しい抵抗にあい、戦況はこう着状態に陥っているとみられます。

国際赤十字 “物資や医療品枯渇 市民の安全な避難困難”

ロシアによるウクライナへの軍事侵攻が続く中、国際赤十字の活動状況を紹介する報告会がオンラインで開かれ、戦闘地域での人道支援の状況などが説明されました。

ロシアによる軍事侵攻が続く中、国際赤十字は中立的な立場で、ウクライナや周辺国での人道支援に当たっていて、ハンガリーで開かれた国際会議に出席した日本赤十字社の佐藤展章国際救援課長が、支援の状況や課題をオンラインで報告しました。

それによりますと、戦闘地域では、負傷者の救護や搬送、それに市民を対象にした応急手当の臨時講習などを行っているものの、物資や医療品が枯渇し、市民の安全な避難が困難な状況になっているということです。

また西部を中心におよそ650万人に上っているウクライナ国内の避難者については、これまでに1000トンの物資を届ける一方、医薬品の補充が課題となっていて、海外から物資を効率よく送り込む供給網の整備を最優先で行う必要があると指摘しました。

また周辺国やドイツなどには避難で離散した家族も多く、国際赤十字は心のケアにも取り組んでいるということです。
佐藤課長は「国内から避難できない人への支援が大きな課題で、日本赤十字社も他国と連携し医療や物資の支援に取り組みたい」と話しています。