プーチン大統領 ロシアの天然ガス購入“ルーブル支払いのみ”

ロシアのプーチン大統領は非友好的と指定した国がロシアから天然ガスを購入する際には通貨ルーブルでの支払いしか認めない方針を示しました。値下がりしているルーブルの相場を支えるねらいがあるとみられます。

ロシアのプーチン大統領は23日、関係閣僚とのオンラインの会議で西側の各国がロシアの外貨準備を凍結したことを批判し「このような状況でドルやユーロなどの外貨でわれわれの商品の支払いを受ける意味はない」と述べました。

そのうえで「まず非友好国と地域に供給する天然ガスの支払いをルーブルに変更する。一連の措置を速やかに講じることを決定した」と述べて、ロシアが非友好的と指定した日本やアメリカ、それにヨーロッパなどがロシアから天然ガスを購入する際には通貨ルーブルでの支払いしか認めない方針を示しました。

ルーブルは西側の各国がロシアに厳しい経済制裁を科したことで大幅に値下がりしていて、天然ガスの調達に伴ってルーブルを買う必要がある仕組みにすることで相場を支えるねらいがあるとみられます。

ロシアの天然ガスはヨーロッパの各国が多く輸入していることから市場では供給の先行きが不透明になったとの見方が強まっていて、「オランダTTF」と呼ばれる天然ガスの指標価格が前日に比べて一時、30%以上、値上がりしました。

ロシア宇宙開発公社も海外取り引きをルーブル建てへ

ロシアの宇宙開発公社「ロスコスモス」は23日、海外との取り引きは通貨ルーブル建てにすると明かしました。

これは「ロスコスモス」のロゴージン社長の話としてロシア国営のタス通信が伝えたものです。

ロゴージン社長は、ルーブルでの支払いを求める動きは全国で始まっていると指摘したうえで、「われわれも海外との取り引きはすべてルーブル建てにする」と述べました。

今後もあらゆる分野でルーブルで支払うことを求める動きは広がる可能性があるとみられます。

サハリン天然ガスPJに出資の商社「事実関係確認中」

またロシア極東のサハリンで進められている天然ガスの開発プロジェクト、「サハリン2」に出資する大手商社の三井物産と三菱商事はNHKの取材に対して「事実関係を確認中です」とコメントしています。

日本と地理的に近い「サハリン2」が生産するLNG=液化天然ガスは日本の電力会社とガス会社が長期契約で購入していて、日本が輸入するLNGのおよそ1割を占めています。

官房長官「情報収集と分析に努めていく」

松野官房長官は、24日午前の記者会見で「プーチン大統領が、ロシアから非友好国へ供給される天然ガスについて、ルーブルでの支払いを行わせると指示したことは承知している。まずは日本の関係企業とも連携しながら情報収集と分析に努めていきたい」と述べました。

鈴木財務相「状況を精査中」

ロシアのプーチン大統領が、非友好的と指定した国がロシアから天然ガスを購入する際には通貨ルーブルでの支払いしか認めない方針を示したことについて、鈴木財務大臣は、24日午前に開かれた参議院の財政金融委員会で「発言の詳細を含めて、どういうことを意図し、どういう手立てをやっていこうとしているのかまだよく分からないのが実情であり、関係省庁と連携して状況を精査している。ロシアに対する経済制裁による副次的な効果として、わが国の経済や金融市場への影響を見極めつつ、ロシアに対して最大のコストを課すよう、引き続きG7=主要7か国をはじめとする国際社会と緊密に連携しながら適切に対応していきたい」と述べました。

電力・ガス会社「事実関係を確認中」

ロシアのプーチン大統領が非友好的と指定した国との天然ガスの取引を、通貨ルーブル建てにするとの方針を示したことについて、国内最大の火力発電事業者JERAは、契約分が今後、ルーブル払いに限定されるかは現時点では分からないとしたうえで、NHKの取材に対して「事実関係を確認し、情報収集を進めている」とコメントしています。

JERAはLNGの輸入量のうち、1割程度をロシアから調達していて、ほとんどはロシア極東のサハリンで行われている、天然ガスの開発プロジェクト「サハリン2」からの長期契約で調達しています。

また、LNGの輸入量の1割程度をロシア産が占めていて、大半がサハリン2との長期契約で調達している東京ガスも、NHKの取材に対して「事実関係を確認中」とコメントしています。