反プーチン政権のナワリヌイ氏 新たに懲役9年で刑期大幅延長

ロシアの反体制派の指導者で、刑務所に収監されているナワリヌイ氏についてロシアの裁判所は22日、新たに詐欺などの罪で懲役9年の判決を言い渡し、刑期が大幅に延長されることになりました。

プーチン政権を批判する急先ぽうとして知られるナワリヌイ氏は2020年8月、ロシア国内を旅客機で移動中に突然、意識を失い、ドイツの病院に搬送されました。

このときドイツ政府は、ナワリヌイ氏が旧ソビエトで開発された神経剤と同じ種類の物質で攻撃されたと発表し、ロシア政府の関与が疑われる毒殺未遂事件として世界に衝撃を与えました。

その後、療養先のドイツからロシアに帰国した直後、過去の経済事件を理由に逮捕されましたが、収監されている今も支援者を通じて刑務所からSNSで政権批判を続けています。

特にロシアによるウクライナへの軍事侵攻が始まってからは人々に反戦デモなどを呼びかけていて、神経をとがらせるプーチン政権としては、ナワリヌイ氏に対する締めつけを強めるねらいがあるものとみられます。

判決のあとナワリヌイ氏はツイッターで「人をだます、泥棒のようなプーチン政権に対抗し、この戦争犯罪人に反対するあらゆる行動を」と投稿し、人々に、政権への抵抗を続けていくよう訴えました。

米報道官「いかさまの裁判で弾圧の一例」

ロシアの裁判所による判決で、ナワリヌイ氏の刑期が大幅に延長されることになったことについて、アメリカ国務省のプライス報道官は22日、記者会見で「いかさまの裁判だ。反体制派や表現の自由に対するロシア政府による弾圧の1つの例だ」と強く非難し、ナワリヌイ氏の即時釈放を求めました。