【詳細】ロシア ウクライナに軍事侵攻(23日の動き)

ロシアによるウクライナに対する軍事侵攻が続いています。

ウクライナの各地でロシア軍とウクライナ軍が戦闘を続けていて、大勢の市民が国外へ避難しています。戦闘の状況や関係各国の外交などウクライナ情勢をめぐる23日(日本時間)の動きを随時更新でお伝えします。

(日本とウクライナとは7時間、ロシアのモスクワとは6時間の時差があります)

ロシア報道官「国の存亡に関わる脅威あれば核使用ありうる」

ロシア大統領府のペスコフ報道官は、アメリカのCNNテレビとのオンラインでのインタビューで「どのような条件で核戦力を使用するのか」という質問に対し「わが国の存亡に関わる脅威があれば、ありうる」と述べ場合によっては核戦力を使用する可能性を排除しない姿勢を示しました。

ロシア 空と陸に加え海から攻撃強めるも ウクライナの反撃続く

ロシア国防省のコナシェンコフ報道官は23日、ウクライナ軍のヘリコプターや無人機など軍用機合わせて430機を撃墜したと発表しました。

一方、アメリカ国防総省の高官は、22日、黒海につながるアゾフ海に展開するロシア軍の艦艇から東部マリウポリへの砲撃が始まるなど空と陸からに加え海からも攻撃が強まっていると明らかにしました。

一方で首都キエフの周辺や東部のイジュームなど一部の地域では、反撃も続いているとしています。

ゼレンスキー大統領の国会演説 ウクライナのテレビ局でも中継

ウクライナのゼレンスキー大統領による国会での演説はウクライナのテレビ局でも中継され、リビウ市内では、日本からの人道支援などに期待する声が聞かれました。

このうち、運転手のオレクシー・ディアビンさん(45)は、妻や子どもたちとともに自宅の居間に集まり、テレビを通して放送される演説を真剣な表情で見ていました。

ディアビンさんは「日本にはあらゆる面での支援を期待しています。日本から中古車などがあればウクライナの軍に提供してほしいです」と話していました。

また、妻のオレクサンドラさん(44)は「日本からのこれまでの支援に本当に感謝しています。何よりも子どもたちに対する人道的な支援をお願いしたいです」と話していました。

長女のダリアさん(17)は「日本からはどのようなことであっても、できるかぎりの支援を期待しています。日本政府が行動することを心から望んでいます」と話していました。

ゼレンスキー大統領が国会演説 ロシアに対する制裁継続求める

ウクライナのゼレンスキー大統領は23日午後6時から日本の国会でオンライン形式で演説し「日本とウクライナはお互いの自由を感じる気持ちに違いはありません。日本がすぐに援助の手を差し伸べてくれたことに感謝申し上げます」と述べてこれまでの日本政府の対応に謝意を示しました。

ロシアがウクライナの原発を攻撃したことについて「ロシアは核物質の処理場を戦場に変えました。戦争のあとにこの処理にどれほどの時間がかかるか想像してみてください」と述べたほか「ウクライナではすでに数千人が犠牲になり、そのうち121人は子どもでした」として、ウクライナの惨状に思いをはせてほしいと訴えました。

そのうえで「日本はアジアで初めてロシアに圧力をかけました」と述べ、日本の対応を評価したうえで、ロシアに対する制裁の継続を求めました。
ゼレンスキー大統領の国会演説は、衆議院第1議員会館にある国際会議室と多目的ホールでオンライン形式で行われました。会場には岸田総理大臣や衆参両院の議長、ウクライナのコルスンスキー駐日大使のほか、各党の衆参の国会議員およそ500人が出席しました。そしてゼレンスキー大統領の演説が始まると出席者は真剣な表情で聞き入り、演説が終わると出席者は立ち上がって拍手を送りました。

子ども121人死亡 ウクライナ検察当局(23日時点)

ロシアによるウクライナへの軍事侵攻で犠牲になる子どもが増え続けていて、ウクライナの検察当局は23日の時点で少なくとも121人の子どもが死亡し、167人がけがをしたと発表しました。

被害を受けた子どもが最も多いのは、
▽キエフ州で61人
▽東部のハリコフ州で41人
▽東部のドネツク州で40人
▽北部のチェルニヒウ州で32人などとなっています。

また爆撃や砲撃で被害を受けた学校などの教育施設は548に上り、このうち72の施設は完全に破壊されたということです。

ウクライナ議会議員「大統領の演説から痛み感じ取って」

ウクライナのゼレンスキー大統領が23日に日本の国会向けに演説するのに合わせて、ウクライナ議会議員がNHKの取材に答え、この演説を通し、世界が一丸となってロシアに対じする必要があると訴えました。

ウクライナのゼレンスキー大統領は各国の議会で支援を求める演説を行っていますが、23日午後6時からは日本の国会向けにオンライン形式で演説をする予定です。

これを前に、首都キエフを拠点にしているウクライナ議会議員のインナ・ソフソンさんが、NHKのオンラインインタビューに答え、「日本にとっては地理的には遠い話かもしれないが、ロシアによるウクライナの軍事侵攻で多くの子どもたちが犠牲になっています。とても容認できることではありません。私たちの痛みを演説から感じとってほしいのです」と述べました。

そのうえで、ロシア側が日本との北方領土問題を含む平和条約交渉を中断する意向を表明したことについても触れ「プーチン大統領は、ウクライナだけでなく、世界に対する脅威だ」としたうえで、「ゼレンスキー大統領は、ロシアの侵略の最初の犠牲者であるウクライナ国民を代表して各国で発言し、世界が団結してロシアと戦う必要があることを世界に説明しているのです」と述べ、ゼレンスキー大統領の演説を日本の人たちもしっかりと受け止めてさらに支援をしてほしいと訴えました。

ゼレンスキー大統領「マリウポリには市民約10万人」

ウクライナのゼレンスキー大統領は22日、ビデオメッセージを発表し、2週間以上にわたりロシア軍の激しい攻撃にさらされている東部のマリウポリから、新たに7000人余りが避難したと明らかにしました。

その一方で「食料や水、医薬品もなく、砲撃や空爆を受ける、非人道的な状況下で、いまもおよそ10万人が取り残されている」と述べ、深刻な人道危機が続いていると訴えました。

そして「住民のための避難ルートを安定的に確保しようとしているが、すべての試みはロシア軍の攻撃によって妨げられている」と述べ、両政府が合意したはずの「人道回廊」と呼ばれる避難ルートへの攻撃が続いていることを指摘しました。

また、オンライン形式の停戦交渉については毎日、続いているとしたうえで「交渉は困難で、時に対立することもあるが、一歩ずつ前進している」と述べました。

そのうえでゼレンスキー大統領は、24日にベルギーで開催が予定されている、G7=主要7か国やNATO=北大西洋条約機構の首脳会議などの会合で、ロシアに対する制裁の強化やウクライナへの新たな支援が決まることに期待を示しました。

ゼレンスキー大統領 NATO首脳会議に参加へ調整

ウクライナの通信社によりますと、ベルギーの首都ブリュッセルで24日に開催が予定されているNATO=北大西洋条約機構の首脳会議に、ゼレンスキー大統領がなんらかの形で参加するための調整が行われているということです。

ウクライナ大統領府の報道官が22日、テレビ番組で明らかにしたもので「ゼレンスキー大統領はビデオ演説を行うか、オンラインで議論のすべてに参加することになるだろう」と述べたということです。

参加の形式については「数日中に決まる」見通しだとしています。

子ども117人死亡 ウクライナ検察当局(22日時点)

ロシアによるウクライナへの軍事侵攻で犠牲になる子どもが増え続けていて、ウクライナの検察当局は、22日の時点で、少なくとも117人の子どもが死亡し、155人がけがをしたと発表しました。

被害を受けた子どもが最も多いのはキエフ州で58人、次いで東部のハリコフ州で40人、北部のチェルニヒウ州で31人などとなっています。

また、爆撃や砲撃で被害を受けた学校などの教育施設は548にのぼり、このうち72の施設は完全に破壊されたということです。

少なくとも953人の市民が死亡 国連人権高等弁務官事務所

国連人権高等弁務官事務所は、ロシアによる軍事侵攻が始まった先月24日から今月21日までにウクライナで少なくとも953人の市民が死亡したと発表しました。このうち78人は子どもだということです。

亡くなった953人のうち、271人が東部のドネツク州とルガンスク州で、682人はキエフ州や東部ハリコフ州、北部のチェルニヒウ州、南部のヘルソン州など各地で確認されています。

犠牲者の多くは砲撃やミサイル、空爆などによって命を落としたということです。また、けがをした人は1557人に上っているということです。

国連人権高等弁務官事務所は、激しい攻撃が続く東部のマリウポリなどは、多数の市民が犠牲になったという情報があるものの確認が取れておらず、実際の犠牲者の数はさらに多いとしています。

ウクライナ公共放送 “ヘルソンで抗議デモ ロシア軍が催涙弾”

ウクライナの公共放送は動画投稿サイト、ユーチューブで国内各地の状況を連日、国内外に英語で発信しています。

ロシア軍が掌握したと発表している南部のヘルソンで22日、市民が再び抗議デモを開き、ロシア軍がこれを抑え込もうと催涙弾を発砲したと伝えたほか、前日にはデモをめぐる衝突で2人がけがをしたとしています。

“国営テレビはプーチン政権のプロパガンダ” 辞職の職員が告発

ロシア国営テレビ「第1チャンネル」でニュースキャスターも務めた女性職員が軍事侵攻に抗議して辞職し、国営テレビのニュースはプーチン政権のプロパガンダだと告発しました。

ロシア国営テレビ「第1チャンネル」の職員ジャンナ・アガラコワさんはロシアでニュースキャスターを務めた後、フランスなどで特派員として取材活動をしてきましたが、今月17日、SNSで軍事侵攻に抗議して辞職したことを明らかにしました。

22日、パリにある「国境なき記者団」の本部で辞職後、初めてメディアの取材に応じたアガラコワさんは「私たちのニュース番組は権力者とその取り巻きの姿しか伝えていない」と述べ、国営テレビのニュースはプーチン政権のプロパガンダだと告発しました。

国連グテーレス事務総長 即時停戦を改めて呼びかけ

ロシアがウクライナに軍事侵攻して、1か月になるのを前に、国連のグテーレス事務総長は22日、ニューヨークの国連本部で記者会見し、「1か月前、ロシアは国連憲章に違反してウクライナへの大規模な侵攻を開始した。組織的な爆撃や、病院や学校、避難所への砲撃によって、市民は恐怖に陥れられている」とロシアを非難しました。

そのうえで「このあと何人の命が失われなくてはならないのか。ウクライナで戦争を続けることは、道徳的に許されず、政治的にも弁解の余地がなく、軍事的にも意味がない。いまこそこの愚かな戦争を終わらせるときだ」と述べ、即時停戦を改めて呼びかけました。

ロシア 反体制派指導者ナワリヌイ氏の刑期を大幅に延長

ロシアの反体制派の指導者で、刑務所に収監されているナワリヌイ氏についてロシアの裁判所は22日、新たに詐欺などの罪で懲役9年の判決を言い渡し、刑期が大幅に延長されることになりました。

判決のあとナワリヌイ氏はツイッターで「人をだます、泥棒のようなプーチン政権に対抗し、この戦争犯罪人に反対するあらゆる行動を」と投稿し、人々に、政権への抵抗を続けていくよう訴えました。

仏大統領 ロシアに停戦求める

フランスの大統領府によりますとマクロン大統領は22日、ロシアのプーチン大統領と電話会談し、停戦の条件について意見を交わしたということです。

大統領府は、意見の一致はないとしたうえで「マクロン大統領は努力を継続する必要があると確信している。停戦しロシアが誠意を持ってウクライナと交渉に臨む以外に道はない」として、プーチン大統領との協議とウクライナへの支援を続けるとしています。

米高官 化学兵器兆候なしも監視継続

アメリカ国防総省の高官は22日、記者団に対し、ウクライナへの軍事侵攻を続けるロシア軍が生物兵器や化学兵器の使用に踏み切るおそれがあるとの指摘が出ていることについて「差し迫った兆候は見られない」と指摘しました。

一方、ロシアがウクライナ側が化学兵器を使用する可能性があると非難していることについて「これはロシアの戦術であり、他人を非難しながら多くの場合、みずからが計画している」と指摘し、注意深く状況を監視していると強調しました。

米大統領ヨーロッパ訪問で新たな制裁発表へ

ホワイトハウスのサリバン大統領補佐官は、22日の記者会見で「この戦争は簡単に、そしてすぐには終わらないだろう」と述べたうえで、バイデン大統領がヨーロッパを訪問した際に、西側諸国とともにロシアに対する新たな制裁を発表すると明らかにしました。

また、バイデン大統領は訪問中にヨーロッパ各国が石油や天然ガスの輸入でロシアに依存している状態から脱却するための共同の取り組みについても発表する方針です。

仏エネルギー大手 ロシア石油購入停止を発表

フランスの大手エネルギー会社「トタルエナジーズ」は、22日、遅くとも年内にロシアからのすべての石油や石油製品の購入を停止すると発表しました。

トタルは、今月1日、ロシアのウクライナへの侵攻を受けてロシアへの新規投資は行わない方針を表明していましたが、いま行っているロシアでの事業は継続するとしたことから、国内外の消費者や環境保護団体などから批判を受けていました。

JICA調査団 モルドバの避難所視察

ウクライナの隣国モルドバは、人口の1割を超える36万人以上の避難者を受け入れていますが、財政状況が厳しく、国際社会に対して支援を呼びかけています。

こうした中、日本から派遣されたJICAの調査団がモルドバの首都キシニョフに入り、22日、ウクライナから逃れてきた人たちが滞在する避難所を視察しました。

調査団は、医療施設などを見て回ったほか、避難所を運営する担当者から避難者の人数や世話役のスタッフの態勢について聞き取ったり、医療支援にあたるスタッフに課題を質問したりしていました。

避難民にことばの壁 支援始まる ポーランド

ウクライナからの国外への避難先として最も多い200万人を超える人が入国したポーランド政府によりますと、避難してきた子どものうちすでにおよそ7万人がポーランド国内の学校に通っているということですが、言語が異なるため、子どもが授業の内容を理解することが難しいなどの課題が指摘されているということです。

国境から70キロほど離れたポーランド南東部のジェシュフの大学では、避難してきた人たちを対象にした無料のポーランド語教室が始まりました。