【詳細】ロシア ウクライナに軍事侵攻(20日の動き)

ロシアによるウクライナに対する軍事侵攻が続いています。
ウクライナの各地でロシア軍とウクライナ軍が戦闘を続けていて、大勢の市民が国外へ避難しています。戦闘の状況や関係各国の外交などウクライナ情勢をめぐる20日(日本時間)の動きを随時更新でお伝えします。
(日本とウクライナとは7時間、ロシアのモスクワとは6時間の時差があります)

国連 “902人の市民の死亡確認 実際の犠牲者数さらに多い”

国連人権高等弁務官事務所は、ロシアによる軍事侵攻が続くウクライナで今月19日までに少なくとも75人の子どもを含む902人の市民の死亡が確認されたと発表しました。

この中には、首都キエフや第2の都市ハリコフのほか、東部のドネツク州やルガンスク州などの市民が含まれています。

ただ、激しい攻撃が続く東部のマリウポリなどは、市民が多数犠牲になったという情報があるものの詳しい確認が取れておらず、実際の犠牲者の数はさらに多いとしています。

「副市長が占領者に拉致」 エネルホダルの市長がSNS投稿

ウクライナ南東部、ザポリージャ州の都市、エネルホダルのドミトロ・オルロフ市長は、20日、SNSの「テレグラム」に投稿し「副市長が占領者に拉致された」と明らかにしました。

副市長は19日から連絡が取れなくなり、20日になってロシア側に拉致されたことが判明したとしています。

エネルホダルには、軍事侵攻したロシア軍によって掌握されているヨーロッパ最大規模のザポリージャ原子力発電所があります。

同じザポリージャ州では、今月に入って、11日にメリトポリの市長がロシア軍によって拉致され、その後、解放されたほか、13日にはドニプロルドネの市長も同じように拉致されたとウクライナ政府が発表しています。

日本とカンボジアの首脳会談 緊密に連携していくことを確認

カンボジアを訪れている岸田総理大臣は日本時間の20日夜、フン・セン首相と首脳会談を行いました。
ウクライナ情勢をめぐり、世界中のどの場所でも力による一方的な現状変更を認めない立場だという認識で一致し、国際秩序の根幹を守るため、緊密に連携していくことを確認しました。

日本とカンボジア 首脳会談始まる 国際社会の連携の重要性確認へ

カンボジアを訪れている岸田総理大臣は、フン・セン首相との首脳会談を行っています。
カンボジアがASEAN=東南アジア諸国連合のことしの議長国を務めていることも踏まえ、ウクライナ情勢をめぐる国際社会の連携の重要性を確認したい考えです。

マリウポリの市議会 “ロシア軍が芸術学校を爆撃”

ウクライナ東部マリウポリの市議会は20日、SNSの「テレグラム」に投稿し、「ロシア軍が19日、女性や子ども、高齢者などおよそ400人の市民が避難する芸術学校を爆撃した。建物は破壊され、市民ががれきの下に取り残されている」と明らかにしました。

そのうえで、被害の状況については「調査中だ」としています。

ウクライナ大統領「今後 何世紀も記憶されるテロ行為」

ウクライナのゼレンスキー大統領は20日、新たにビデオメッセージを公開し、激しい戦闘が続く東部のマリウポリについて、「マリウポリの封鎖は戦争犯罪として歴史に刻まれるだろう。ロシア軍が平和な都市に行ったことは、今後何世紀にもわたって記憶されるテロ行為だ」として、都市を封鎖して攻撃を続けるロシアを強く非難しました。
そのうえで、「ウクライナの人々が、このことを世界に伝えれば伝えるほど、私たちはより多くの支持を得ることができる。ロシアがウクライナにテロを行えば行うほど、ロシアにとって悪い結果となる」と述べました。
さらに、ロシアとの停戦に向けた交渉について、「交渉は簡単ではないが、人の命に関わるので必要なことだ。ウクライナは常に平和的な解決を求めている。平和に関心がある」と述べ、建設的な交渉をロシア側に呼びかけました。

マリウポリの市議会 “多数の市民がロシアに強制移送”

ウクライナ東部のマリウポリからこの1週間で、多数の市民がロシアへ強制的に移送されたと地元の市議会が訴えています。
マリウポリ市議会は19日、SNSに投稿した声明で、市民1000人以上が避難していた施設からロシア軍によって強制的に連れ出されたと主張しました。声明でマリウポリのボイチェンコ市長は、「21世紀にもなって、人々が他国へと強制的に移送されるとは信じられない。ロシア側のすべての戦争犯罪は最も厳しく罰せられるべきだ」と非難しています。

リビウ 教会など歴史的文化財を守る対策

ウクライナでは、キリスト教の教会など歴史的な文化財を守るための対策が各地で急がれています。
西部の主要都市リビウには中世の町並みが残りユネスコの世界遺産に登録されている旧市街にキリスト教の大聖堂があり、建物を攻撃から守るため周囲に土のうを積む作業が進められています。
また大聖堂の周囲に並ぶ聖人の像は、特殊なシートで巻かれているほか、色彩豊かなステンドグラスを覆うように板が打ちつけられていました。

大聖堂のアレクサンダー・クシー神父は、「ロシアの攻撃はあらゆるところに向けられている。貴重な文化財を少しでも守るためにできることをしていくしかない」と話していました。

ウクライナの穀物輸出に懸念

国際穀物理事会は、ロシアによるウクライナへの軍事侵攻を受けて、ウクライナの穀物の2021年から2022年にかけての輸出の予想を、トウモロコシが3190万トンから2100万トンへ1000万トン余り下方修正したほか、小麦も2450万トンから2080万トンへ400万トン近く引き下げました。

ウクライナは、小麦やトウモロコシなどの世界有数の輸出国で、理事会は、「軍事侵攻の継続と、それによる農産物価格の高騰は、特に中東やアフリカなど輸入に依存している国で、食料をめぐる安全保障リスクへの潜在的な懸念につながっている」と指摘しています。
ウクライナ政府の関係者は、「ウクライナには1年分の十分な穀物と食料の備蓄があるが、戦争が続けば、穀物を海外に向けて輸出できなくなり問題が起きるだろう」と述べ、ロシアの軍事侵攻が続けば世界の穀物市場への影響は避けられないという見通しを示したということです。

ポーランド 避難してきた人へのID発行手続き

ウクライナからおよそ200万人が逃れてきた隣国のポーランドでは、現地にとどまって生活したいという人のためにID番号を発行する手続きが進められていて、首都ワルシャワでは国立競技場が会場として開放され、大勢の人が訪れました。
家族と避難してきたという19歳の女性は「戦争が終わるまでここにとどまるつもりです。手続きを進めてここで新たに大学に通いたいです」と話していました。

UNHCR ウクライナ避難民330万人超に

UNHCR=国連難民高等弁務官事務所のまとめによりますと、ロシアによる軍事侵攻を受けてウクライナから周辺国など国外に避難した人の数は18日現在、330万人を超えています。
それによりますと
▼ポーランドでおよそ201万人、
▼ルーマニアでおよそ52万人、
▼モルドバでおよそ36万人などとなっています。
また▼ロシアに避難した人はおよそ18万人となっています。
一方で、IOM=国際移住機関は18日、ウクライナ国内で避難している人は16日時点の推計でおよそ648万人に上ると発表しています。

“市民847人の死亡確認” 国連人権高等弁務官事務所

国連人権高等弁務官事務所は、ウクライナで今月18日までに少なくとも64人の子どもを含む847人の市民の死亡が確認されたと発表しました。
ただ、激しい攻撃が続く東部のマリウポリなどは、市民が多数犠牲になったという情報があるものの、詳しい確認が取れておらず、実際の犠牲者数はさらに多いとしています。

また、国連難民高等弁務官事務所のまとめによりますと、ロシアによる軍事侵攻を受けてウクライナから周辺国など国外に避難した人の数は18日現在、330万人を超えています。

ウクライナ公共放送 攻撃受けた軍施設の様子伝える

ウクライナの公共放送はロシア軍との戦闘が続く各地の状況を連日、動画投稿サイト、ユーチューブで英語で国内外に発信していて、最新の投稿ではウクライナ南部の都市ミコライフの軍の施設が18日にミサイル攻撃を受けて少なくとも40人が死亡したと伝えました。
攻撃された現場を撮影したとする写真では、建物の一部がえぐられるように崩れ、兵士たちががれきを撤去する様子が写っています。

キエフ 市長が兵士視察の映像

ウクライナの首都キエフの市長室は19日、クリチコ市長が現場の兵士を視察する様子を撮影したとする映像を公開しました。また有刺鉄線や土のう、地雷も写っていて、AP通信は首都防衛に備えるキエフ郊外の検問所だとしています。
クリチコ市長はボクシングヘビー級の元世界王者としても知られ市民の人気も高く、映像の公開には首都防衛の決意を内外に示すねらいもあるとみられます。

日印首脳会談“力による現状変更は許してはならず”

インドを訪れている岸田総理大臣は日本時間の19日夜モディ首相と首脳会談を行い、ウクライナ情勢をめぐり、力による一方的な現状変更はいかなる地域でも許してはならず国際法に基づき紛争の平和的解決を求める必要があるという認識で一致しました。
会談のあと岸田総理大臣は「インドと連携し、戦闘の即時停止と対話による事態打開に向けた働きかけやウクライナや周辺国に対する人道支援を進めていきたい。わが国もすでにウクライナや周辺国に1億ドルの緊急人道支援を決定しているが、さらなる追加支援を行う」と述べました。

ウクライナの隣国モルドバで若者たちが抗議の声

ウクライナからの避難者をおおぜい受け入れている隣国のモルドバで、高校生たちが呼びかけて軍事侵攻に反対する抗議デモが行われました。
参加者たちは「私たちは平和を求めている」などと声をあげたあと、ロシア大使館に渡すため「目を覚ませ、戦争をやめろ」などとプーチン大統領にあてたメッセージを紙に書いていました。