ロシア軍 極超音速ミサイル「キンジャール」で軍施設破壊 発表

ロシア軍は、音速をはるかに超える速さで飛行する最新兵器「極超音速ミサイル」を使ってウクライナ西部にある軍の施設を破壊したと発表しました。

ロシア軍は予想以上に苦戦しているとされるなか、軍事力を誇示したい思惑もあるとみられ、今後、攻撃を一層エスカレートさせることが懸念されます。

ロシア国防省は19日、西部イワノフランキフスクにあるウクライナ軍の地下の弾薬庫に対し、極超音速ミサイル「キンジャール」を使って破壊したと発表しました。

音速をはるかに超える速さで飛行し、迎撃が非常に困難とされる極超音速ミサイルが今回ウクライナで使用されたのは初めてとみられます。

アメリカやイギリスの国防当局が、ロシア軍部隊はウクライナ軍の激しい抵抗にあって予想以上に苦戦していると分析するなか、ロシア軍は最新兵器を実戦で使用したと発表することで軍事力を誇示したい思惑もあるとみられます。

一方、両国は14日からオンライン形式で停戦交渉を進めています。

イギリスの公共放送BBCはトルコ高官の話として、ロシアのプーチン大統領は17日、トルコのエルドアン大統領との電話会談でウクライナがNATO=北大西洋条約機構に加盟しないことを含めた「中立化」や、ロシアの脅威となる兵器を撤去させる「非軍事化」などが停戦の条件になることを改めて説明したと伝えています。

またプーチン大統領は、要求を達成するためにウクライナのゼレンスキー大統領との直接会談に意欲を示したということです。

ただ、ロシア軍が「極超音速ミサイル」に続いて今後、化学兵器を使用するなど、攻撃を一層エスカレートさせることが懸念されるなか、イギリスのトラス外相が両国の交渉について「ロシア側は残虐な攻撃を隠そうとしているだけではないか」と指摘するなど、交渉に臨むロシアの姿勢や協議の進展に懐疑的な見方もあがっています。

極超音速ミサイル「キンジャール」とは

「キンジャール」は、ロシアが開発した極超音速ミサイルです。
最大マッハ10の速さで飛行し、射程は2000キロと言われ、戦闘機にも搭載が可能です。
2月19日にはプーチン大統領が直接指揮をとって行われたミサイル演習で発射する様子が公開されました。
プーチン大統領は去年12月も国営テレビの番組で「われわれは、極超音速兵器の開発で世界をリードしている」とアピールしていました。
一方、去年11月には「ウクライナ領内にミサイルシステムなどが配備された場合、数分でモスクワに到達する。極超音速兵器ならわずか5分だ」と述べ、アメリカがウクライナに対して続けている軍事支援は脅威だと反発していました。
しかし、プーチン政権は今回、みずから極超音速兵器を使った形となり、国際社会がロシア軍の動きを注視するウクライナで実戦使用することで、ロシアの軍事力を誇示したい思惑もあるとみられます。