ロシア クリミア併合でイベント“国民も侵攻支持” アピールか

ロシアがウクライナ南部のクリミアを併合してから8年となるのを祝う政府主導のイベントは18日、ロシア各地で行われ、ウクライナへの軍事侵攻が国民に広く支持されていると内外にアピールするねらいがあるとみられます。

このうち、極東のウラジオストクでは、市内中心部に1000人以上が集まり、参加者はロシアの国旗やロシアが一方的に独立国家として承認したウクライナ東部地域の旗を掲げながら「ロシアのために」などと声をあげて海岸沿いを行進しました。

参加した30代の女性は「プーチン大統領や東部地域の住民たちを応援するために、来ました。私たちは困難な時代を迎え、応援が必要です」と話していました。

また60代の男性は「誇りを感じます。大多数がプーチン大統領を支持しています。反対する人がいるなら説得しようと思いましたが、そんな人は1人もいません」と主張していました。

また、サハリン州の中心都市ユジノサハリンスクでは、ロシア国内では軍事侵攻を支持するシンボルとなっている「Z」のマークをつけたおよそ40台の車が、当局の誘導を受けながら市内中心部を走りました。
そのあと人々は公園に集まり「ロシア」と繰り返し叫んで、団結を呼びかけていました。

一方で、参加者の中には「祖母が東部地域出身で本当に胸が痛みます。私は軍事作戦を支持しているわけではありません。軍事作戦ではなく、兵士を支援するために来ました」と話し、一刻も早く兵士たちが家族の元に戻ることを願う人もいました。

プーチン政権としては、ロシア各地でイベントを行うことで、ウクライナへの軍事侵攻が国民に広く支持されていると内外にアピールするねらいがあるとみられます。

元副首相 財団代表を辞任 軍事侵攻に反対の発言が影響か

ロシアのプーチン政権でかつて副首相も務めたドボルコビッチ氏が、ロシア政府肝煎りの技術革新の開発促進を担う機関「スコルコボ財団」の代表を辞任し、ウクライナへの軍事侵攻に反対する発言が影響したものとみられています。

財団は18日、ドボルコビッチ氏が代表を辞任し、教育プロジェクトの開発に専念すると発表しました。

ドボルコビッチ氏は今月14日、アメリカの雑誌のインタビューで「戦争はいかなるものであれ人生で直面する最悪のものだ。この戦争もそうだ」と述べて、ウクライナへの軍事侵攻を批判したうえで「私の思いは、危険にさらされているウクライナの人々にある」と述べていました。

この発言を受けて、政権与党の幹部は「国家への裏切りであり、大統領が触れた『第5列』の行動にほかならない」と述べ、スパイを意味する「第5列」ということばを使い、財団の代表解任を訴えていました。

プーチン大統領は、今月16日「欧米は『第5列』を使ってロシアの破壊を目指している。本物のロシア人であれば、真の愛国者と裏切り者を、口の中に入ったハエを吐き出すように区別できるだろう」と述べ、国内の情報統制を一層、強化する考えを示していました。

ドボルコビッチ氏は、2018年までの6年間、プーチン政権のもとで副首相を務め、プーチン大統領が出場したアイスホッケーのイベントにほかの側近とともに参加したこともありました。