ウクライナ マリウポリ 市民避難の劇場が破壊 救助活動難航か

ロシア軍が侵攻を続けるウクライナでは、東部のマリウポリで大勢の市民が避難していた劇場が破壊されましたが、依然として被害の全容は明らかになっておらず、救助活動は難航しているとみられます。
一方、アメリカ国防総省の高官は、これまでにロシア軍が発射したミサイルが1000発を超え、民間人に対する攻撃が増えていると指摘していて、人道危機への懸念が強まっています。

ウクライナへの侵攻を続けるロシア軍は、首都キエフの包囲に向けた攻勢を強めています。

こうした中、東部のマリウポリでは、子どもを含む大勢の市民が避難していた劇場が破壊されましたが、依然として被害の全容は明らかになっておらず、救助活動は難航しているとみられます。

マリウポリの市議会は17日、SNSの「テレグラム」に投稿し「ロシア軍による攻撃が連日のように続き、1日当たり50発から100発の砲撃を受けている」としたうえで「街は16日間にわたって封鎖されていて、およそ3万人が脱出したものの、35万人以上の住民がシェルターや地下室に隠れて生活を続けている」と明らかにしました。

また、ICRC=赤十字国際委員会のペーター・マウラー総裁は、キエフからのオンラインでの記者会見で、マリウポリでの支援活動が全くできない状況になっているとして、人道危機が深まっている現状に強い懸念を示しました。

一方、アメリカ国防総省の高官は17日、これまでにロシア軍がウクライナ全土に発射したミサイルが1000発を超え、民間人に対する攻撃が増えていると指摘しました。
また、キエフの北西と北、それに北東にいるロシア軍の地上部隊には、目立った前進はないものの、キエフ中心部に最も近い北西15キロの地点の部隊に、後方から進んできた砲兵部隊が合流する動きが見られると明らかにしました。
さらにこの高官は、ロシア軍が長距離からキエフを砲撃し「街を徐々に破壊しようとしている」としたうえで「引き続きキエフを包囲したいと考えており、遠くから砲撃する能力を向上させようとしている」という分析を示しました。

ロシア軍の被害状況について、アメリカの有力紙、ニューヨーク・タイムズは16日、これまでに7000人以上が死亡し、1万4000人から2万1000人が負傷したとみられると伝えています。

一方、ロシア国防省は17日、ウクライナがアメリカの支援で生物兵器の開発を進めていた疑いがあると改めて主張しました。

これに対し、アメリカのブリンケン国務長官は「ロシアがうその主張を展開し、みずからを正当化しようとしている」と非難しました。