ロシア ウクライナ侵攻 マリウポリの劇場破壊 救助活動続く

ロシア軍が侵攻を続けるウクライナでは東部マリウポリで多くの市民が避難していた劇場が破壊され、救助活動が続けられています。一方、両国は停戦交渉を進めていてウクライナの安全保障をめぐる枠組みで進展がみられるかが焦点となっています。

ウクライナへの侵攻を続けるロシア軍は首都キエフの包囲に向けた攻勢を強めているほか、南部の港湾都市、オデッサの近郊の町に攻撃をしかけたとみられ黒海沿岸でも戦闘を激化させています。

また東部のマリウポリでは子どもを含む多くの市民が避難する劇場が破壊されました。現地では救助活動が進められていますが、被害の全体像は明らかになっていません。

一方、ロシア国防省は17日、ウクライナがアメリカの支援で生物兵器の開発を進めていた疑いがあると改めて発表しました。アメリカなどはロシア軍がこの主張を利用して、逆にウクライナで生物兵器や化学兵器を使用するのではないかと警戒を強めています。

交渉 “安全保障めぐる枠組みで進展みられるか”

こうした中、ロシアとウクライナの停戦をめぐる交渉はオンライン形式で続いていてロシア外務省のザハロワ報道官は17日「軍事的、政治的、人道的な問題が話し合われている」と述べました。

交渉ではロシアが強く要求してきたウクライナの「中立化」をめぐり、NATO=北大西洋条約機構に加盟しない代わりになる別の安全保障の枠組みについて議論が続いているとみられます。

これについて双方の仲介役として動くトルコのチャウシュオール外相はウクライナのクレバ外相との会談後「国連安全保障理事会の常任理事国とドイツ、それにトルコが参加するウクライナの安全を集団で確保するための協定についてウクライナから提案があった」と明らかにしていて、安全保障をめぐる枠組みで進展がみられるかが焦点となっています。

ただウクライナ代表団のポドリャク大統領府顧問は双方の主張の隔たりは依然として大きく、合意にはまだ数日から1週間半ほどかかるという見通しを示しています

米国務長官「ロシアが化学兵器使用しうその主張する可能性も」

アメリカのブリンケン国務長官は17日の記者会見で「われわれはロシアが化学兵器を使ったうえでそれをウクライナがやったとうその主張を展開し、みずからのウクライナの人々に対する攻撃の強化を正当化しようとしているかもしれないと見ている」と述べ、ロシアが攻撃を正当化するため化学兵器を使ってそれをウクライナ軍が使ったことにする虚偽の主張をする可能性があるという見方を示し、けん制しました。そして「より大規模な軍事行動を正当化するためにジェノサイドをねつ造するのはロシアがこれまでもとってきた方法だ」と述べました。

またブリンケン長官はバイデン大統領がプーチン大統領について「戦争犯罪人だ」と述べたことに関連し「個人的には同意する」と述べました。

さらにウクライナ東部のマリウポリで大勢の人が避難する劇場や病院が攻撃されたとして「意図的に市民をねらう行為は戦争犯罪だ」と指摘しました。そのうえでアメリカ政府として戦争犯罪が疑われるロシア軍の行為を調査しているとして「われわれの調査が戦争犯罪を捜査し責任を追及する国際的な取り組みに役立つと確信している」と述べて、戦争犯罪や人道への罪などの捜査を担う国際刑事裁判所に協力していくとしています。