陸前高田から寄贈の松 根元近くから切断される 静岡

東日本大震災の教訓を引き継いでほしいという願いを込めて岩手県陸前高田市から贈られ、静岡市の三保松原に植えられた松が、何者かに切断されていたことがわかりました。

静岡市によりますと今月13日の朝、静岡市清水区の三保松原で、松1本が根元近くから切断され、50メートルほど離れた枯れ枝などの集積場に捨てられているのを、ボランティアの男性が見つけ、市に連絡しました。

この松は陸前高田市のNPO法人が、東日本大震災の津波に襲われる前の松原で採取された松の種を震災後に育て、教訓を引き継いでほしいという願いを込めて4年前、静岡市に寄贈しました。

松は公園の一角にくいとロープで囲って植えられ、説明文などの表示はなかったものの、震災から11年にあたる今月11日から12日にかけて、メディアや三保松原を管理する市の施設のツイッターで紹介されたばかりだったということです。

松は高さおよそ2メートル、太さおよそ8センチほどに育っていましたが、のこぎりのような刃物で3か所切断されているということで、静岡市は、枝を挿し木にして育てなおそうとしています。

一方、市から被害届を受けた警察は器物損壊の疑いで調べています。

復興の願い みんなの思いこもった大切な松

静岡市の三保松原文化創造センターの能口富所長は、「東北地方の松原の1日も早い復興を願って植えられた特別な松でした。植えられた当時は1メートル程度でしたが、成長して2メートル弱になっていました。日頃、保全活動をしている団体の人たちや植樹をした皆さんの思いのこもった大切な松なので、非常に憤りを感じています。被害にあったのは3月11日のあとだったのでなぜこんなことが起きたのかと信じられない思いです」と話していました。

寄贈したNPO理事長「大切に育ててくれていた 残念な気持ち」

被害にあった松を寄贈した岩手県陸前高田市のNPO「高田松原を守る会」の鈴木善久理事長は、「非常に驚いた。静岡市役所の担当者から2メートルまで育っていたと聞いて、静岡の人が大切に育ててくれていたのだと感じ、感謝の思いとともに、切った人がいると思うと残念な気持ちになった。二度とこういうことをしないでほしい」と話していました。

また、寄贈した松への思いについては、「震災の記憶や、津波が来たらすぐに高いところに逃げるという教訓を引き継いでほしいという思いを込めて植樹した。津波で唯一残った『奇跡の一本松』から、接ぎ木されて育っている松もあるので、被害にあった松もなんとか頑張ってほしい」と話していました。