日本ロシア文学会の会長 学術交流が途絶えることを懸念

ロシアのウクライナへの軍事侵攻を受けて、日本ロシア文学会の会長を務める大学教授はロシア文学の学術交流が途絶えることを懸念しています。

日本ロシア文学会の会長を務める京都大学の中村唯史教授はロシア文学が専門で、その文学的背景や歴史、民族を研究し、トルストイの小説の翻訳などを行なっています。

これまでロシアやウクライナの研究者と年に数回シンポジウムを開き、学術的な意見交換を日常的に行なってきましたが、今月上旬から連絡がつきにくくなっていて安否を心配しているということです。

中村さんによりますと、ロシア文学の研究はソ連崩壊後に情報公開が進み急速に進歩したということですが、中村さんは「元の資料にアクセスできなくなったり、ロシアの研究者と交流できなくなったりしている。情報統制によるものであれば文学研究にとって大きな痛手になる」と危機感を募らせています。

また、交換留学生も途絶える可能性があるとして「今回の事態を受けて、ロシアやスラブのことを学ぶ学生が減ることを危惧している」と話していました。

そのうえで、ロシア政府と一般市民の考えを同じと捉えないためにも文学や文化を知ることが大事だとして「戦争が早く終結して、人と人が自由に交流できるようになってもらいたい」と話していました。