ロシア軍 ウクライナ西部にも空爆 支援の動きけん制か

ウクライナで侵攻を続けるロシア軍は、首都キエフへの攻勢を強めるとともに西部の軍の施設にも空爆を行い、地元の知事によりますと、少なくとも35人が死亡、134人がけがをしたということです。プーチン大統領は、NATO=北大西洋条約機構の軍の動向を警戒するよう指示していて、ウクライナを支援する動きをけん制するねらいもあるとみられます。

ウクライナで侵攻を続けるロシア軍は、首都キエフ周辺の軍用の飛行場を攻撃したほか、部隊を主に3方向から前進させているとみられ、攻勢を強めています。

ウクライナのクレバ外相は12日「ロシア軍はキエフに侵攻し、占領しようという最初の試みを打ち破られ、甚大な損失を出した。しかしわれわれも代償としてキエフ郊外の町ブチャが壊滅的な被害を受けた」と述べ、首都をめぐる攻防は依然、切迫しているとの認識を示しました。

一方、ロシア国防省は13日、これまでに3687の軍事施設や車両などの標的を破壊したと発表しました。

またウクライナの軍当局は13日、ウクライナ西部にある軍の施設「国際平和維持治安センター」が空爆を受けたと明らかにしました。

この施設はポーランドとの国境からおよそ30キロのところにあり、地元の知事によりますと、30発以上のミサイルが発射されて少なくとも35人が死亡、134人がけがをしたということです。

ウクライナのレズニコフ国防相はツイッターで「センターでは外国人の教官が活動している」としたうえで「平和と安全への新たなテロ攻撃だ」と非難しました。

ロシア国防省は11日にはウクライナ西部のルツクとイワノフランキフスクにある飛行場も攻撃したと発表しています。

これに先立ってプーチン大統領は、11日に開催した国家安全保障会議で、アメリカなどがNATOに加盟するヨーロッパの国々に軍の部隊を派遣していることを警戒するよう指示しています。

ロシア外務省のリャプコフ外務次官も12日、ロシアのメディアに対し「多くの国がウクライナに兵器を供与するのは危険な行為だ。兵器を運ぶ車両はロシアの合法的な攻撃対象となる」と述べました。

ロシアは、ウクライナ軍が激しく抵抗を続ける中、NATOなど欧米側の軍事支援を強く警戒していて、ウクライナ西部への攻撃はこうした動きをけん制するねらいもあるとみられます。